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随筆50 「夏の日のコンニャク橋」
徳島県出身の写真家・三好和義さんの写真集にコンニャク橋を背にした麦わら帽子の少年が写っている。
三好さん自身、それは私自身の少年時代であると述懐されている。三好さんと私とはかなり年齢が離れているのだが、「そう、それは私自身の少年時代の姿でもあります」と私も相ヅチを打ちたくなる。
鮎喰川に架かるJR高徳線の鉄橋から2、300メートル下流にある潜水橋、それがコンニャク橋である。洪水のときには橋ケタだけが残り、木で作った橋は流失することによって、水をせきとめない。つまり、洪水になることを防ぐ。自らを破壊することによって住民の生命と財産を守る。そんな悲愴な決意を持った橋なのである。
平時のときには、橋ケタの上に板を乗せただけだから、歩くとカタカタ揺れる。自転車で走ると、欄干がないから今にも川に飛び込みそうになる。それでも、子供のころは毎日のようにこの橋の近くの水辺で遊んだ。とくに夏の日は、1日中いたような気持ちがする。
澄んだ水のなかには、ハゼや小さなカニやエビがたくさんいた。川で泳ぎ疲れると、コンニャク橋の上に大の字になって寝た。麦わら帽子にソデなしのランニングシャツ、そして半ズボン。腰には手ぬぐい。まさに、三好さんの写真と同じ姿だった。
今、コンニャク橋のあたりを訪れると、コンニャク橋そのものは昔のままだが、少年達はいない。川は危険だから、みんなプールに行ってしまったのだろうか。
私達の夏の日は、遠い思い出となってしまったようである。
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