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随筆59 「三頭トンネルが開通」
平成9年3月30日、待望の三頭トンネルが開通した。私も開通式に出席し、テープカットさせていただいた。美馬町と坂出市を結ぶ国道438号は、これまで未通の国道だった。徳島と香川の県境、寒風越近辺が未通だったからである。
三頭トンネルの開通で、国道438号は県境付近を最短距離で結び、完通したのだ。私は開通式で祝辞を述べた。「このトンネルの開通は、美馬町と坂出市を直結しただけではありません。日本海側の大山と徳島の剣山を直結したのです。朝、大山を出発すると高速道路で直接、瀬戸内海を渡り、この三頭トンネルを経て、夕方には剣山に登れるのです。このルートを私は大山ー剣山ルートの開通と呼びたい」と。参加者から笑いとともに大きな拍手をいただいた。
美馬町の人達の喜びは大きかった。徳島の高速道路、美馬ー脇町の開通式にも私は出席したが、その時以上の喜びようだった。それだけ身近かな生活道路だったからかも知れない。
開通祝賀会は、香川県の琴南町でも行われたが、こちらも大変な盛り上がりだった。町の人達が大勢駆け付けていた。その昔、田植えを終えた“キタガタ”の人達は、早乙女となって、牛とともに峠を越えて香川県に働きに出たという。“カリコ牛”の風習だ。それほどに、徳島県の農家と香川県の農家の結び付きは古い。それだけに三頭トンネルの開通は、年配の人ほど感慨深いものがあったに違いない。祝賀会場では、いたるところで徳島と香川の人達の熱い交歓風景が見られた。
三頭トンネルの開通は、美馬町ばかりでなく、県西部各地の観光客の増加にもはっきりあらわれている。貞光町の道の駅・貞光ゆうゆう館でも「お陰様で、最近は香川ナンバーの車がうんと増えました」とうれしい話を聞いた。各種の調査でもその傾向は、はっきりと見てとれる。道は町と町を結び、人と人を結ぶ。そして文化を伝えゆく。地域の時代は地域と地域が互いに競争し合う、大交流、交競争の時代でもある。三頭トンネルがいよいよ活用されることを期待したい。
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