随筆76 「初質問となった圃場整備

 寒い。遊説車から出す手が凍りつくほどだ。暗闇の中にかがり火が浮かぶ。 田んぼの中に材木のヤグラが組まれ、勢いよく燃え上がる火が天をこがすばかりだ。 たくさんの人が集まっていた。「遠藤さん、待っとったで。早よう、あたらんかい。遊説の人も皆、降りてあたっていきなさい。早よう、早よう!!」支持者の皆さんの暖かい歓迎だった。
 日和佐町赤松。昭和58年12月、私が初当選させていただいた衆議院選挙の思い出である。
今もあの時の温かい人々の手のぬくもりを私は忘れない。
 翌年1月28日、徳島県土地改良事業50周年記念大会に衆議院議員になったばかりの私は、来賓で出席させていただいた。この席で土地改良事業の歴史を学ぶとともに、徳島県の水田の圃場整備が全国に比べて大変に遅れていることを知った。
  圃場整備は農業生産の基幹といえる。工業で言えば工場を作ることに当たる。 何故、徳島県は遅れているのか。私は徹底的に研究した。私なりに理解したことは(1)徳島県は中山間地が多い(2)中山間地も平地も採択基準が同じというのはおかしいのではないか(3)日本全体をみれば大変な東高西低で格差がありすぎる。(4)格差是正をはかるためにも中山間地に対する採択基準は緩和すべきだ。こんな方針で資料を集めた。
 そして3月10日衆議院予算委員会第5分科会でとりあげた。これが私の国会での初質問となった。圃場整備の格差是定を迫ると新聞も報道してくれた。以来、中山間地に対する採択基準は緩和され、徳島県でも各地で圃場整備が進むことになった。今は全国平均に近づく整備率になったと聞く。
  日和佐町の赤松地区でも、圃場整備事業が採択され、完成した。現在、土地改良事業完成を記念する大きな石碑が建立されている。当時の土地改良事業にたずさわった方々をはじめ、赤松地区の皆さんから感謝されたことも、きのうのことのように思い出す。土地改良事業は今後の農業を展望するにつけても、一段とその重要性を増している。土地という農家の私有財産を改良する事業に何故公金である税金を使うのか、という議論があることを私は充分承知している。
  しかし、農地を改良することは、自然環境の保全や豊かな農村づくりのための基礎的な社会資本の整備であることも知ってもらいたい。土地改良事業の推進のため、私は初質問の精神を貫き、今後も一生懸命に取り組みたいと決意している。