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随筆85 「福祉は人、人は心と中村博彦さん」
今年(平成11年)6月14日、中村博彦さんが全国老人福祉施設協議会会長に就任したことを祝賀するパーティーが東京で開かれた。野中広務官房長官はじめ多数の政財界の来賓が出席し、私も神崎武法代表とともにお祝いに駆けつけた。徳島県からは圓藤寿穂知事をはじめ大勢の方々が上京し「全国の会長が、わが県から誕生したことはうれしい限りです」と喜びを分かち合っていた。
来年4月1日から介護保険制度がスタートする。在宅介護にしても施設介護にしても、社会全体で介護を支える仕組みをつくりあげなければ少子高齢社会の介護問題を解決することはできない。国会ではここ10年来、さまざまな議論を重ねたうえで介護保険制度の導入を決断した。
私は永く厚生委員会理事をつとめ医療、保健、福祉、年金問題に取り組んできた。とくに宮沢、細川、羽田、村山内閣総理大臣からは社会保障制度審議会委員を委嘱され、介護保険制度の創設を提言してきただけにとりわけ関心が深い。初めての試みだけに、果たして介護保険制度がうまくスタートできるのかどうか、保険者となる全国の地方自治体の皆さんの御苦労はなみたいていではない。サービスを提供する当事者である老人福祉施設協議会やデーサービス協議会加盟団体の皆さんも、準備はしてきたものの心配はつきない。
国としても万全の態勢を整えなければならない。ことに高齢者の保険料は是非とも軽減したい。その分、国庫負担を増大しなければならない。その財源をどうするか。頭の痛い問題ではある。とともに万が一にも、保険あって介護なしの地域があってはならない。日本全国どこに住んでいても介護のサービスが受けられるように施設やマンパワーを配置しなければならない。これは喫緊の課題である。中村さんはじめ関係者の皆さんの御努力に心から期待したい。
ところで、中村さんは昭和54年12月19日社会福祉法人 健祥会を設立し、翌55年3月29日特別養護老人ホーム水明荘を落成、この小さな一歩から老人福祉の世界に飛び込んだ。以来20年。いつも心に刻み続けてきたのは「福祉は人、人は心」という父君の教えだった。父、中村輝孝さんは徳島大学につとめた教育者で、附属中学校長も併任されたことがある。昭和51年4月定年退官されたあと、健祥会の初代理事長に就任。いつもこの言葉を通して、草創の職員に福祉に携わる基本精神を教えられたという。
今、吉野川を見下ろす川島城の隣にある健祥会本部の広場には、この言葉を刻んだ中村輝孝初代理事長の胸像が建立されている。
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