2023年5月6日

 

 連休に帰省した長男の運転する車で2日に倉敷市の美観地区、3日に小松島市の日の峰山と徳島市の大神子海岸、4日に姫路市の姫路城と3日続けて観光してきました。

 

 倉敷の美観地区には大勢の観光客が来ていました。外国人の姿も散見されました。イタリアで修業してきた方が開店したレストランでいただいたピザはとても美味しかったです。

 

 美観地区の川端柳は若葉が美しく、観光船からの眺めを楽しむ人もいました。大原美術館の創設者となる大原孫三郎さんの私邸兼迎賓館として1928年に誕生した有隣荘も特別公開されおり、拝見しました。

 

 小松島市の日の峰山では展望台から小松島港や大神子海岸、そして淡路島までよく見えました。吉野川や新町川に完成したばかりの高速道路の橋も眺めることができました。

 

 姫路城は修復工事が終了して初めて行ったのですが白鷺城の白さが際立って見えました。城内には歌舞伎の舞台も建ち上っていて幟が薫風にそよいでいました。

 

 今回の旅行でこんな句っができました。

 

煉瓦塀覆ひ尽して蔦若葉

青柳そよぐ川辺に二人して

両岸に若葉の柳並木かな

若楓美しき倉敷美観地区

風薫る倉敷の町舟で行く

洋館に真っ赤や躑躅群れ咲いて

犇きて咲ける躑躅の白であり

海渡る橋に五月の空青く

新緑の山より下界眺めもし

鶯を背に淡路までよく見えて

連休を家族で初夏の海岸で

松林キャンプの人もちらほらと

みどりの日白鷺城を木陰より

白鷺城五月の晴に真白かな

初夏の日に城の白さの極まりぬ

大手門前にビールと穴子めし

薫風に歌舞伎の幟立つお城

緑陰で登城されたる人を待つ

眠る子と大樹の陰にみどりの日

天守閣見ゆるお濠で舟遊び

遊船の客の笠なる夏帽子

海峡の大橋越えて燕来る

大橋の花壇に躑躅金盞花

2023年4月15日

 

 私は4月の2日から11日にかけ美馬市脇町のデ・レイケ公園や北島町のチューリップ公園、鳴門市の観音寺と阿波市土成町の神宮寺の牡丹、美馬市脇町の広棚の芝桜を鑑賞してきました。

 

 こんな句ができました。

 

並ぶとは美しきことチューリプ

オランダは自転車の国チューリップ

オランダの風車懐かしチューリップ

チューリップ何色が好き赤が好き

白もまた美しき色チューリップ

オランダは山を見ぬ国チューリップ

バブル生みたるはこの花チューリップ

チューリップ運河を訪ひし日の遠く

デ・レイケの堰見ゆ岸辺チューリップ

その先に風車も見えてチューリップ

デ・レイケの堰ある川辺桜散る

チューリップ畑の中に散る桜

六十種五万本てふチューリップ

ログハウス風車も出来てチューリップ

カタカナの名札ばかりやチューリップ

これがまあてふものもありチューリップ

年毎に増える新種やチューリップ

家族皆来て楽しめるチューリップ

チューリップ畑に子らは走り出す

年配の夫婦は椅子にチューリップ

私らが植ゑたと木札チューリップ

畝毎に競ひて咲けるチューリップ

原色といふ美しさチューリップ

一巡しも一度赤いチューリップ

今日よりの牡丹祭りの牡丹見る

我独り初日の牡丹見て回る

初日より咲き満ちてゐる牡丹かな

住職も今年の牡丹早咲きと

雨の日の牡丹は午後も生き生きと

大輪の牡丹の凛とあでやかに

百五十種四百五十株の牡丹かな

牡丹咲き塵一つ無き朝の寺

晴れの日の牡丹の金の蕊光る

日の差してまぶしかりけり白牡丹

遠目にも際立ちをりし白牡丹

赤い牡丹白い牡丹と見て回る

庫裏の庭までも牡丹の続く寺

犇きて咲ける牡丹に犇ける

戻り来て同じ牡丹に見入りをり

ちらと見し赤い牡丹をしかと見る

とりどりの牡丹それぞれ美しく

百種三百五十株なる牡丹

三姉妹皆で育てし芝桜

総理より表彰されし芝桜

煙草畑今一面の芝桜

何たって除草除草よ芝桜

仰ぎ見て眼下にも見て芝桜

青空の戸口にまでも芝桜

日当りて影の無かりし芝桜

芝桜まつりはこれでお仕舞と

傘寿なほ好きで育てる芝桜

芝桜育てることが生き甲斐と

2023年4月1日

 

 私は3月26日に徳島市の徳島中央公園で雨の日曜日の桜を祖谷の句友の皆さんとともに吟行しました。3月27日には晴天となった勝浦町の桜まつりに足を伸ばしました。3月29日には神山町のしだれ桜を見て来ました。この日も絶好のお花見日和となりました。

 

 この三日間にこんな桜の句ができました。

 

花咲けど人来ぬ雨の日曜日

城中の桜を一つづつ巡る

濠の上までも迫り出し咲く桜

濠にまでしだれ咲き満つ桜かな

満開の桜を雨に独り占め

とりどりの桜の色でありにけり

美しき若葉をつけしこの桜

垂るるほど犇めき咲ける桜かな

雨の日のしだれ桜のしつとりと

ほんのりと紅差すしだれ桜かな

花冷えの城山巡り花巡る

咲き満ちてゐてもお花見できぬ雨

雨の日の桜を独り見て歩く

ゆつくりと花見る雨の日曜日

日本の野球に見惚れ桜見る

お花見の平和な日本いつまでも

出し物も揃へてさくら祭りかな

桜見てフラダンスも見る祭り

釣り堀もあるてふさくら祭かな

川沿いの桜並木に店も出て

満開の桜が川の両岸に

咲き満てるさくら祭りの桜かな

舟下りしながら桜眺めもし

舟からのお花見子供にも人気

順番を待って乗り込む花見舟

お花見の舟にも救命胴衣して

滝のごとしだれてしだれ桜かな

青空を透かししだるる桜かな

地に触るるほどにしだるる桜かな

やはらかにしだれしだるる桜かな

しなやかにしだれしだるる桜かな

満開のしだれ桜のあでやかさ

とりどりの色美しき糸桜

里山にしだれ桜の咲き競ふ

青空にしだれ桜のくつきりと

日本一しだれ桜を咲かさうと

花の下結婚式の前撮りも

お花見に丸太の椅子も用意され

2023年3月13日

 

 NPО法人である蜂須賀桜と武家屋敷の会の皆さんがコロナ禍のためにできなかったお花見会を四年ぶりに再開しました。今年は徳島市の中央公園の助任川南岸のみの開催ですが3月11日から12日にかけて午前10時から午後4時まで行われました。

 

 私は11日は助任川南岸の蜂須賀桜の並木路を歩きました。大勢の方々がお花見に来ていました。蜂須賀桜と武家屋敷の会の皆さんからコーヒーをいただき、用意された椅子に座ってゆっくりと満開の蜂須賀桜を鑑賞させていただきました。

 

 12日には徳島市内の原田家住宅の蜂須賀桜を見て来ました。原田家住宅は武家屋敷でありこの日は部屋の窓が開かれていて山茱萸の花が飾られていました。

 

 原田家住宅の庭にある大きな蜂須賀桜は明治維新の折、この桜を愛してきた蜂須賀の殿様から、育てるようにと原田家がお預かりしたものと伝えられています。

 

 毎年、花を咲かせていますが、今年も見事に咲き満ちていました。見上げるほどの大樹となり、次々に来る人が満開の蜂須賀桜を四方から撮影していました。

 

 この桜が蜂須賀桜の母樹となり、挿木して増えた苗木が徳島県はもちろん日本中にそして海外にまで運ばれ、蜂須賀桜を咲かせていると聞きました。

 

 原田家住宅の蜂須賀桜を見た後、私はもう一度、助任川南岸の蜂須賀桜を見に行きました。この日も大勢の人々がお花見に来ていました。

 

 外国人の姿も見受けられました。助任川を行く観光船からお花見をする人たちもいました。記念撮影のお手伝いをするカメラマンもいました。

 

 どの人も早咲きの蜂須賀桜を見て、一足早く来た春を楽しんでいるようでした。お花見のできる平和な日本が本当にうれしくなりました。

 

 この二日間でこんな句ができました。

 

いそいそと四年振りなるお花見に

川面まで赤く蜂須賀桜咲く

咲き満ちて赤き蜂須賀桜かな

お花見のできる平和のありがたく

花嫁も花婿も来るお花見に

朱に染めて蜂須賀桜咲き満てる

青空に赤き蜂須賀桜かな

船からも水の都のお花見は

早々と咲きて蜂須賀桜かな

早咲きの桜に小鳥鈴生りに

早咲きの桜に人も鳥も来て

母樹となる蜂須賀桜聳え立ち

蜂須賀の殿の愛せしこの桜

蜂須賀の世をさながらの桜かな

戦災も生き抜きて来し桜咲く

この桜見んと来る人絶え間なく

四方から仰ぎて眺むこの桜

2023年3月7日

 

 徳島県勝浦町で第35回ビッグひな祭りが2月25日から3月31日まで開かれています。私は3月5日に勝浦町にある人形文化交流館まで出かけてゆっくりと鑑賞してきました。

 

 私は第1回目のビッグひな祭りにも参加しました。風の強い日で受け付けのテントが膜れ上がるほどだったことを今でもよく憶えています。

 

 あれから35年。このひな祭りは多くのボランティアの方々に支えられて発展し続けてきました。今では展示される雛人形は3万体を数え、毎年、人口5000人の町に3万人の観光客が訪れるイベントとなっています。

 

 2016年には全国のひな祭り振興団体を集めた「ひな祭りサミット」の開催や平和とスポーツの祭典である「リオ五輪」での展示を行い、2021年の「東京五輪」でも雛人形の展示をしてきました。

 

 今年のテーマは「美女と野獣」。勝浦町は町内の古い地層から恐竜の化石が相次いで発見され恐竜の町としても知られるようになりました。そんなことから雛人形とともに恐竜のモニュメントも会場に展示されていました。

 

 会場では毎日のように様々なイベントがあり、人形浄瑠璃の公演や化石発掘体験なども行われていました。徳島県に避難してきたウクライナの家族を会場に招待して友好を深める催しもされていました。

 

 広い会場にはお茶席もあり、ボランティアの方々が淹れてくださった抹茶や桜餅をいただきながら雛を鑑賞することもできました。

 

 お茶席ではボランティアの方々からこのひな祭りを続けて来られた苦労談をゆっくりとお聞きすることができ、私にとって思い出深いひとときとなりました。

 

 この日、こんな句ができました。

 

雛人形三万体のひな祭り

ビッグひな祭り今年三十五回目と

ひな祭り見んと三万人が来る

恐竜の町美女と野獣のひな祭り

人形の浄瑠璃も見て雛も見て

品の良き笑みたたえゐる古雛

選ばれし三万体の雛飾る

三万の雛を箱から出し飾る

丁寧に保ちて来たる雛飾る

子供らも混じり総出で雛飾る

とりどりの光を浴びし雛の顔

ウクライナから来し人も雛を見に

お茶席も設へビッグひな祭り

お抹茶を頂きながら雛を見る

泣き上戸一人をりけり仕丁雛

お澄ましの雛より仕丁雛が好き

見るほどに味あるお顔仕丁雛

仕丁雛ばかりを眺め雛巡る

どの顔も面白かりし仕丁雛

仕丁雛喜怒哀楽のお顔かな

表情の豊かなりけり仕丁雛

2023年2月17日

 

 雛人形の変遷をたどった「ひな人形の世界」が今年も徳島市の徳島城博物館で開催されています。

 

 私は昨年、俳句結社「祖谷」の皆さんとともに吟行しました。江戸時代以降の雛人形や関連資料などが飾られ、説明員がついて丁寧な解説をしてくださいました。

 

 展覧会では江戸後期の「立雛」をはじめ、座った形で観賞用として豪華になった「享保雛」や公家の装束を再現した「有職雛」、目玉にガラスを使った「古今雛」などさまざまな様式の雛人形が並んでいました。

 

 私はこの時の吟行でこんな句を作りました。

 

五節句の故事より雛を語らるる

天冠にガラス鏤め古今雛

首傾げゐるも御洒落や古今雛

贔屓雛引目鉤鼻おちよぼ口

丸顔は次郎左衛門雛かな

狆を曳く官女雛の柳腰

小さきてふ贅もありけり芥子雛

雛段の天児に涙らしき跡

東光斎玉翁作の内裏雛

雛祭守住貫魚の四季図掛け

欠けしもの何一つ無き雛飾

その中に泣き上戸なる仕丁雛

 

 古い雛人形にはそれぞれに味わいがあります。最近、我が家にも神奈川県の友人から飾ってみませんかと今は飾ることのなくなった古雛を送ってくれる人がありました。

 

 早速、宅急便の梱包を解いて我が家に飾ってみました。こんな句ができました。

 

飾りくれますかと届く古雛

飾りしは一度切りてふ古雛

古雛なれどお顔の若々し

色白で見目麗しき古雛

雪洞を灯せば雛のかしこまる

雪洞を灯してこその雛飾

 

 もうすぐ三月。どこのご家庭でも雛飾りをされるかと思いますが、我が家では初めて雛飾りをしました。

2023年1月16日

 

 新年あけましておめでとうございます。今年もたくさんの方々から心温まる年賀状をいただきました。ありがとうございました。

 

 初暦めくり傘寿の日をめくる 私はこんな句を新年に詠みましたが、この一年を元気に過ごしてまいりたいと思っています。

 

 昨日は小正月でありましたが、私の所属する俳句結社の祖谷では徳島市内の渭水苑で新年句会を開催しました。

 

 この句会にはいつもの句会とは違って男性も多く参加されました。女性の方々も晴れがましく集われました。

 

 参加者は18人でしたが、岩田公次主宰を囲んで小正月の美味しい料理をいただいた後、新年句会を開催しました。

 

 出句は五句.互選も五句。どの句も選びに選び抜かれた句ばかりで緊迫感のある新年句会になりました。

 

 私はこの日、こんな句ができました。

 

門松の立つ料亭で初句会

一番に来て門松の門くぐる

門松の脇に正月飾りかな

葉牡丹を芯に正月飾りして

屋敷まで正月飾り続く道

小さくとも正月飾り勢あり

老松に寄り添ふように実万両

日の差して赤の極まる実万両

庭園の岩抱けるかに実万両

遠目にも赤美しき実万両

庭園の箒目にある淑気かな

箒目の一際美しき小正月

山茶花のこぼれては咲き続く庭

山茶花を散らしてゆきし昨夜の雨

寒鯉の固まり合ひて動かざる

ぢつと見てをれば寒鯉動き出す

寒鯉の一つ動けば三つ四つと

寒鯉の水を蹴立てて走り出す

庭園を見てより新年句会へと

小正月ですと繭玉飾られて

繭玉に触れて大玄関に入る

雑煮も出女正月の日の句会

はじかみを添へて鰆の菜種焼き

数の子もごまめ雑煮も出る句会

小正月どなたも健啖なりしかな