今月の俳句

2017年5月

石庭に白き一叢馬酔木咲く

満天星の真白き鈴の犇めける

渓谷のみどりの風に五月鯉

大歩危を舟で下れば岩躑躅

新緑のまばゆき秘境かずら橋

かずら橋揺らすほどなる若葉風

逆巻ける渦に怯まず観潮船

大潮を選び鳴門の観潮に

街中に小流れのあり杜若

小石敷く清き流れに紫蘭かな

外堀の土塁は躑躅また躑躅

城跡へ躑躅明かりの道を行く

混み合ひてゐて重ならず躑躅咲く

近寄りて眺めてみたき躑躅かな

暗きにも浮き立つ白や著莪の花

ひっそりと咲きて気品や著莪の花

亀鳴くをのんびりと待つ日和かな

長閑かな亀寄り添ひて甲羅干す

中世を模せし庭園青柳

内堀の岸辺一面花菖蒲

鶯の声の美濃田の淵渡る

若葉風淵の水面をさ揺らせて

もう一度見頃の薔薇を見に来よと

見頃待ち来たる薔薇園香り濃し

薔薇園に今が見頃と案内され

マーガレットメリルなる薔薇白眩し

薔薇が好きマリアカラスの赤が好き

イングリッドバーグマンなる薔薇も赤

インカなる黄色い薔薇の秘密めく

クイーンエリザベスなるは一際高き薔薇

ヨハンシュトラウスなる薔薇さ揺れをり

クイーンスウェーデンなる薔薇小振りかな

アメジストなるはピンクの美しき薔薇

深紅なる薔薇は一目でカルメンと

ブルームーンなる薔薇昼も青かりき

ミケランジェロなるは黄色き八重の薔薇

キューガーデンなる懐かしき名の白い薔薇

リンカーンレーガンなるも赤い薔薇

シャルルドゴールなるは青薔薇凛として

甘き香にむせぶほどなる薔薇祭

一巡りして薔薇園の高台に立つ

もんどりを打って堰跳ぶ稚鮎かな

鳥威し吊るせし魚梯鮎上る

跳び損ね跳び損ね堰上る鮎

小太りな稚鮎の堰を跳び損ね

軽々と堰跳ぶ鮎のスリムさよ

似鯉来て稚鮎の群れの散り散りに

音立てて稚鮎吸い込みたる似鯉

群れてゐる稚鮎に忍び寄る似鯉

稚鮎には鮫のやうなる似鯉来し

雨の日の浜豌豆の濃紫

大堰の岸辺ひろびろ花茨

鳴き声の喧嘩腰なる行々子

子ら遊ぶ栄華の跡地芝青む

実休を偲ぶお茶席燕来る

そのかみの栄華を偲び新茶汲む

茶の好きな殿さま偲び新茶汲む

城館の跡青々と芝茂る

初夏の風とはこんなにも心地よく

母の日の母へケーキのサプライズ

庫裏の庭ひっそりとして擬宝珠咲く

鎌倉は路地多き町擬宝珠咲く

鎌倉の裏路地行けば花擬宝珠

雨の日の擬宝珠の花の色淡く

一夜さにこれなる仕業根切り虫

正体を見せることなき根切り虫

怪獣か忍者か夜の根切り虫

芍薬の白のまばゆき日向かな

芍薬の花は清楚でありにけり

後ろ見てよりの遠投鱚を釣る

空港の浜辺遠浅鱚を釣る

砂丘越へ遠州灘に鱚を釣る

芋蔓をたぐるが如く鱚を釣る

晴れの日の続き一気に夏めける

デパートの売場一夜に夏めける

服脱ぎて下校する子ら夏めける

2017年4月

藩主墓仰ぐ足下犬ふぐり

蜂須賀の墓所に蜂須賀桜見る

はくれんの散り敷く墓所の広さかな

日向ぼこしてゐるやうな家祖の墓

蜂須賀の墓所の蒲公英丈低し

初蝶の藩主墓より現れし

春水を鰡一列になりてゆく

木瓜咲ける藩祖の墓の小さかり

はくれんのこはれるやうに散りし墓所

花も葉も赤き蜂須賀桜かな

墓白く雪柳なほ白き墓所

雪柳見上ぐる空の青さかな

犇めける白のまぶしき雪柳

お江戸より花見の便り届けども

花遅き阿波にお江戸は満開と

まだ咲かぬ阿波に江戸より花便り

咲くを待つ阿波に上野の花便り

鎌倉の残花も見たる虚子忌かな

寿福寺へ人波続く虚子忌かな

廣太郎出迎えくれし虚子忌かな

顔見知り探し探さる虚子忌かな

虚子の忌の鎌倉山は丸くなる

実朝と政子の墓も見て虚子忌

椿さんと墓参済ませて虚子の忌へ

麗人と墓参も済ませ虚子の忌へ

窓開けて走る自動車風光る

裾野ゆく真っ赤なポルシェ風光る

ひろびろと耕せる畑揚げ雲雀

黒点となりゆく速さ揚げ雲雀

広き野に雲雀の声の降ってくる

戯れに草笛吹いてみたくなる

草笛の一節鳴りてそれっきり

菜の花に引き寄せられて畦に入る

菜の花や平和な日本ありがたく

菜の花に散歩の足の止まれる

菜の花の花粉まみれの家路かな

チューリップ真っ赤やこれぞチューリップ

マーガレット犇めき咲ける白さかな

鳴門かな漁港直売桜鯛

とれとれを浜値でいかが桜鯛

べっぴんや渦の鳴門の桜鯛

大漁旗立てて即売桜鯛

山二つ越へ来し里も竹の秋

地面まで明るき光竹の秋

茶室へと竹の秋なる小径ゆく

のどけしやどこか寄り道したくなる

長閑かな折り込みチラシまでも読み

ロッキングチェアで転寝のどけしや

のどけしや予定も入れずのんびりと

ドア開けて待てるタクシー長閑かな

ありがとうのお声の耳朶に昭和の日

皇居へと招かれし日や昭和の日

裕次郎ひばりも昔昭和の日

はるかより見えて真っ赤や木瓜の花

平らかに犇めき咲ける棚の梨

城山の裾に真白き著莪畳

木洩れ日を返して白し著莪の花

しなやかにまたたおやかに糸桜

やうやくに咲きし桜を仰ぎ見る

咲き満てる染井吉野の白さかな

咲き満てる花に虚子の句諳んじる

朝刊に見頃とありし桜散る

あっけなきほどなる早さ桜散る

オフィーリアのごと清流に花筏

小流れの澄みたる水に花筏

花屑となりゆく桜さくらかな

雨傘に花屑乗せて来られたる

待ちかねし花の散りゆく早さかな

見るうちに花屑積もりゆくベンチ

花屑を払ひて入るけふの句座

雨の日の桜の幹の黒さかな

海峡も指呼の鳴門の花見かな

はんなりとしだれてしだれ桜かな

しだれ桜しだれ桜とつづく道

輝いて並ぶ原色チューリップ

太陽を真面に受けてチューリップ

太陽へ背伸びしてゐるチューリップ

ほかほかの土にたんぽぽ咲き満てる

咲き満てるたんぽぽの土ほかほかや

闌けてゆく春を眺めてゐるベンチ

うっとりと闌けゆく春の中にゐる

鶯を途切れなる間なく聞きもして

大の字に寝て春風に身をさらす

見下ろせば桜吹雪の帯となる

たんぽぽの野に散り満ちてゆく花弁

あふれゐる春の季題の野山ゆく

石積みの里に明るき芝桜

段畑の土をとどめて芝桜

石積みの段畑毎の芝桜

門前に鉢植を売り藤まつり

大鉢の藤の先駆け満開に

曇天となりて牡丹の色めける

白牡丹には午後の日の強過ぎる

ぼうたんの白に見惚れてしまひけり

巡り終へもう一度見る白牡丹

ぼうたんの白のひときわまぶしかり

うっすらとうっすらと紅白牡丹

虚子の句のとおりと思ふ白牡丹

鐘の鳴るたびにさ揺れて白牡丹

一株に五十を数ふ白牡丹

見て飽きぬ富貴と気品白牡丹

金色に輝ける蕊白牡丹

ぼうたんの白を極める空の青

若葉風寄進の名前いろは順

若楓御手洗の水こんこんと

弟の逝きたる春の早やも行く

年毎に春の過ぎ行く速さかな

散るを待ちをりたる如く春の行く

行く春や静けさ戻る金丸座

桜餅葉まで食べる派食べない派

和菓子屋の道後の老舗桜餅

坊っちゃんの団子より好き桜餅

2017年3月

青空に蜂須賀桜より赤く

早咲きの桜にどっと目白来て

鈴生りのやうな目白や初桜

一本の桜尋ねて人絶えず

地図になき桜尋ねて人の来る

緋毛氈敷きし茶席や初桜

初桜仰ぎいただく抹茶かな

久闊の友とも会へし初桜

武家屋敷より桜見る平和かな

花冷えに熱き善哉ありがたく

薔薇の芽の色に変はりのなかりけり

ブラックティーなる薔薇の芽も赤かりし

黒白の施肥せし土に薔薇芽吹く

海越えて蜂須賀桜見に来しと

城山を仰ぎ蜂須賀桜見る

蜂須賀の世より咲き継ぐ桜見る

二百五十年咲き継ぐ桜幹黒く

幹黒き蜂須賀桜花赤く

全国へ蜂須賀桜この木より

母樹なりし蜂須賀桜仰ぎ見る

蜂須賀の殿の愛せし桜見る

維新も見空襲も見し桜見る

平和なる阿波に蜂須賀桜見る

もてなしはボランティアなる花の

啓蟄よ嘴ゐるぞしばし待て

啓蟄の畑をつつき返す鷺

啓蟄か旅行案内読んでみる

啓蟄か重い上着にさやうなら

啓蟄の空広々と青々と

白酒と云へど酒なり酒はだめ

白酒に酔って仕舞ひしおばあちゃん

紅の濃き蜂須賀桜川面にも

育ちたる蜂須賀桜見て宴

植えし日のこと思ひつつ桜見る

善哉をおもてなしされ桜見る

植えし人育てし人と見る桜

音のして椿丸ごと落ちにけり

干上がらんばかりの池に残る鴨

呼び合へるやうな鳴き声残る鴨

牡丹の芽ダイヤのやうな雨滴抱き

引鴨とならざる鴨のよく太り

どすんてふほどの音して椿落つ

去りゆく日間近き鴨の鳴き交す

石庭にいよいよ白き花馬酔木

天平の古刹の庭に馬酔木垂る

春泥を長靴で行く鴨猟へ

宮内庁の鴨猟春泥を行く

鴨猟へ春泥の道乱れなく

皇族は春泥の道上品に

白梅に紅梅の枝接木され

苗木屋の畑挿木の整然と

美しき写真の添へてある挿木

芽の数多付きたる枝も挿木され

新横綱我が世の春の勝ちっぷり

春場所を我が世の春と勝ち進む

黒椿見てより広き園巡る

風痛みなき椿はと園巡る

極まれる真紅なるかな黒椿

挿木せし椿に真白なる蕾

接木さる椿大きな花付けて

取木さる椿に注がるる眼

採り木さる椿に代理母をふと

熱帯の樹木のやうな大椿

確と見る椿の花の大きさよ

風痛みなき大椿あるロビー

椿詠む虚子の椿の軸を掛け

白魚に暴れ逃げらる躍り食ひ

白魚の暴れて逃げる舌の上

こんなにも背丈のありし犬ふぐり

孔雀園跡一面の犬ふぐり

蛇穴を出でし途端に謗らるる

穴出でしばかりの蛇と出合ひたる

霾や阿波の松島遠のきぬ

霾や洗車料金値上げさる

洗車待ちをりたる如く霾れる

泣く如く軋むワイパー霾れる

霾れば賑はふコインランドリー

春歌ふいけばな展の明るさよ

華やかに春来しを告ぐ華道展

蕾なる垂れ桜の紅殊に

咲くを待ちきれず花見にダウン着て

仰ぎ見る羽の大きさ初燕

その羽で海越え来しか初燕

山下りて来たる町にも初燕

初燕高さ競へるやうに舞ふ

をばさんのお花見まづはお弁当

強東風に蜂須賀桜散り急ぐ

尖ってをらねど寒さ残る東風

東風吹かば鰆来るぞと舟を出す

トンネルを抜け来し山も笑ひをり

ふくよかに膨るる眉山笑ふかに

見渡せば山それぞれに笑ひをり

山寺の和尚饒舌山笑ふ

2017年2月

はみ出せるバレンタインのチョコ売場

義理チョコのバレンタインの日も遠く

子の好きな節分の鬼すぐ逃げる

節分のどれもやさしき鬼の面

おもちゃ屋になき節分の鬼の面

節分に笑顔の鬼の面作る

子の描く節分の鬼愛らしく

紙丸め豆まきの豆作りし子

巻き寿司を節分に食ふ恵方向き

節分に巻き寿司食ふも時勢かな

春立つ日寒緋桜も満開と

春立つ日シークワーサーも完熟と

琉球の桶柑届く春立つ日

雨の日の紅梅どこか艶めかし

紅梅の幹黒ければ紅ことに

笹鳴きを聞かんと笹の見ゆ崖に

裏山を独り登れば笹鳴ける

うつむきて咲く臘梅に雨やさし

雨滴置く臘梅ことに透け通る

孕猫らしきはでんと歩き行く

恋猫の足取り重くずぶ濡れに

孕猫らしくゆったりゆっくりと

恋猫のぬっと出て来てさっと去る

麗かや今日もランチに誘はれて

麗かやランチの話長くなる

麗かや猫の欠伸のながながと

大阿蘇の野焼千里の果てまでも

茫々の阿蘇舐め尽くし野火走る

向かうところ敵なき如く野火走る

逆巻ける風を起こして野火猛る

国分寺ここも寺領や畑を焼く

薄氷の吹き寄せられて突っ張れる

融け始めたる薄氷にひび走る

薄氷の昼まで持たぬ命かな

一際の明るさなりし雛飾

一目見んとて手作りの吊るし雛

雛飾りせし一隅の明るさよ

来る春を見ずに逝きたる弟よ

春を逝く六十六は若過ぎる

余生なく逝きし弟春寒し

春めける日和となりぬ見送る日

春寒の遺骨の壺の白さかな

ものの芽の吹けど弟もうゐない

天上の桜を見んと逝かれしか

天上の父母と花見に参られよ

あれほどの鱵の刺身これっぽっち

透き通るほどの鱵の黒き腹

小鳴門を突っ切ってゆく鱵かな

帯となり小鳴門抜けてゆく鱵

お屋敷に野梅の如く茂る梅

干上がらんばかりの水に蝌蚪の紐

大福のやうにふっくら蝌蚪の紐

黒トリュフかけしゼリーか蝌蚪の紐

けきょけきょとただそれだけも初音かな

聞くうちにほけきょも言へて初音かな

ほうほけきょ言へし初音も存分に

山一つ越え来し里も初音して

蜜蜂の羽音の唸る梅仰ぐ

次々に四十雀来る古刹かな

山寺の日差し昼まで春寒し

日溜りにゐても背ナより春寒し

眠るごと逝きし弟春寒し

弟の逝きて十日や春寒し

雛飾るロビー明るく華やかに

自信なささうなお顔も雛人形

2017年1月

定番の炬燵に蜜柑懐かしく

炬燵の手触れてときめく日の遠く

綿々と内緒の話炬燵の間

虎落笛能登の籬の高さかな

出稼ぎの父待つホーム虎落笛

虎落笛能登の外浦海荒れて

虎落笛止むことのなき岬の村

寄り合ひて牛鍋つつく年の暮

御節にと身欠き鰊を持ち来し子

黒門の市の河豚持ち来たる子も

いただきし猪肉持ちて来たる子も

搗き立ての餅のお隣より届く

年の瀬の市の大鰤贈りくれ

生牡蠣と鰻も添へて鰤届く

年越しの蕎麦より河豚のてっちりと

子の作る鰭酒に酔ひ年を越す

十五人分の雑煮の餅を焼く

十五人家族総出の初詣

三台の車を連ね初詣

頑なに新札揃へお年玉

仏前に揃ひし孫にお年玉

子の親となりたる子にもお年玉

お年玉なる散財の嬉しさよ

生きてゐること確かめる年賀状

出せど来ぬ人の気になる年賀状

初夢に出てくる人の皆若く

初夢は白黒映画なる世界

初夢の覚めてしまへばそりっきり

孫とする百人一首お正月

爺の読む歌留多を孫ら競ひ取る

歌留多取り取れずに泣く子励ます子

独楽廻す手本見せてとせがまれて

子も孫も独楽の廻せぬ世代とは

元日の夜は今年も牛鍋と

正月の妻の助っ人なるや嫁

数の子の薄皮剥ぐを教えもし

正月を嫁三人の分業で

初めての猪肉鍋の二日かな

薬喰せし猪肉の淡白さ

薬喰せし猪肉に舌鼓

初めての猪肉嫁も完食す

三ケ日三食付きの帰省かな

ワイワイとガヤガヤガヤで三ケ日

三日過ぎがらんどうなる冷蔵庫

帰省子の去りたる家のがらんどう

初旅の天の橋立股のぞき

臘梅の丘より天の橋立を

初湯浴び越前蟹に舌鼓

越前蟹一人三杯平らげて

門松の凛と立ちたる外湯かな

城崎のどの湯宿にも松飾

城崎の老舗の湯宿注連飾

どの湯宿にも門松の立ちし町

店頭に餅花飾り客を待つ

寒鯉や出湯の城崎川の町

着流しで外湯巡りの初湯かな

足湯にも初湯の客の絶え間なく

新蕎麦の小皿に盛られ出る出石

買初の人かき分けて買初に

福笹を揚げ買初の列に着く

病院の中はマスクの人ばかり

好きな色聞きて手袋編みくれし

編みくれし手袋の指すらり伸び

編みくれし手袋かくも温かく

編みくれし手袋を持ち丹後へと

手編みなる世に二つなき手袋よ

自転車に乗れて竹馬乗れない子

竹馬の最初の一歩出せない子

竹馬に乗れれば偉くなる気分

悴める身のおのずから日溜りに

探梅の日溜りを抜け出せずゐる

冬晴れの翡翠ことに輝きて

吹き寄せられたる薄氷ひび走る

寒風に小便小僧の裸像立つ

庭園の丸太の椅子の温かく

門松の中に小さな獅子頭

梅咲いて椿も咲ける小正月

薔薇園にぽつりぽつりと冬薔薇

色のなき園に真っ赤な冬薔薇

門前に咲き継ぐ二輪冬薔薇

冬薔薇小さけれども色の濃く

刈り込みを終へし薔薇園冬薔薇

闇深き里の冬の灯いと赤し

寒灯の星のやうなる祖谷の夜

寒林に曝け出されし蔦蔓

遍路墓傾く径に時雨来る

遍路転がしを来て笹鳴を聞く

挨拶の礼儀正しき寒稽古

除かれし橙の山どんど跡

弛みゐる産土神の注連飾

松過の寺全域が掃除され