今月の俳句

2019年2月

バーゲンの赤札ずらり春隣

春隣滞貨一掃できるかな

ダウン皆七割引や春隣

この店もバーゲンセール春隣

琉球のタンカン蜜柑届く朝

新聞に包み琉球より初荷

初荷とて大きなトマト鞘豆も

家籠りして仕舞ひたる寒波の日

テレビ見て過ごす一日寒波来る

マスクする湿った空気が吸ひたくて

梅咲いて寺苑明るくなりにけり

青空へ白梅の白際立ちて

梅を見て芭蕉其角の句碑も見て

ほつほつと梅咲く芭蕉句碑の上に

志士之碑に座して一服梅探る

節分の日の句座滝のやき餅屋

正面に黄花亜麻見る二月句座

黄花亜麻見上げ二月の滝仰ぐ

黄花亜麻咲き雛飾るやき餅屋

雛の間を横目に句会始まりぬ

滝茶屋の池の寒鯉よく動く

滝落つる池の寒鯉元気よく

やき餅を食べて始まる二月句座

柊に節分をふと鰯ふと

立春の日差まぶしき芭蕉句碑

春光の朽ちし其角の句碑にまで

立春大吉苗床作り始めねば

立春大吉藍蒔く準備急がねば

立春大吉朝搾りたる生原酒

針供養鯨尺ふと母をふと

端切れとて無駄にせぬ母針供養

師の句碑の二つある宮針供養

朱の鳥居高く立つ宮針供養

バレンタイン知らねどバレンタインチョコ

バレンタインチョコを自分へご褒美に

ばあちゃんとバレンタインのチョコ売場

孫からのバレンタインの白いチョコ

お遍路もチョコ持つバレンタインの日

義理チョコもなくなりバレンタインの日

チョコ並ぶバレンタインの日の句会

春寒し昨日は昨日今日は今日

最強の寒波来し報春寒し

還付なき確定申告春寒し

左から鶯鳴けば右からも

聴くうちに鶯の声本調子

鶯の破調の声の正調に

鶯の正調の声遠くまで

ガリバーのやうな足元下萌える

下萌えるとは一斉に隔てなく

坪庭の犇めき合ひて下萌える

白梅に始まる道を釈迦堂へ

奥院へ梅の参道続く寺

耳澄まし待てば初音の立て続け

奥宮の裏より初音続けざま

いきなりにホーホケキョと初音して

鶯が鳴いていますと皆を呼び

初音せるあそこあそこと木を仰ぐ

鷹の飛び鶯の鳴く寺苑かな

臘梅の盛りの花の艶やかさ

奥院に臘梅の花明かりかな

梅林を突っ切り独り遍路来る

遍路宿ありたる庭に初桜

ひろびろと犇めき満ちていぬふぐり

青空の大地にもありいぬふぐり

戦ぐにも一糸乱れずいぬふぐり

福寿草かと見る黄色クロッカス

土もたげいきなりの花クロッカス

門前に迎春花咲く野の札所

猪の糞鹿の糞踏み梅探る

猪罠の民家の隣にも置かれ

梅林の奥に竹林猪の罠

寄せ餌してありし竹林猪の罠

カルストの岩の転がる梅の里

落し角ありしこの道糞の道

お隣のこの梅林は風もなく

小鳥来るらし師の句碑に糞一つ

いぬふぐりなづなつくしと句碑囲み

ふきのたう植ゑられてをり句碑の辺に

師の句碑を囲みおのおの日向ぼこ

句碑守のやうな辛夷も芽を吹きて

冬日和の句碑を見てゐる冬日和

草青む園に馴染てをりし句碑

句碑を守り土筆を植ゑてくれし人

句碑守の春の七草植ゑもくれ

大甕に初桜活け門前に

盛り塩のされし門前初桜

旧正はいつかと暦見てをりぬ

春節の日本旅行が人気とか

大甕にどかっと活けし猫柳

大甕に一抱へもの猫柳

ぎんねずの花穂まぶしさ猫柳

猫柳ありたる岸はこの辺と

猫柳ほほける前の艶やかさ

猫柳きりりと立ちし華道展

本降りの雨となりたる雨水の日

雪国も雨てふ今日は雨水の日

俊寛と縁ある寺に聞く初音

平康頼建てしてふ寺初音して

山寺の鶯前後左右より

鶯を下の谷から聞く寺に

遠音にも鶯の声はっきりと

供華のごと朽ちたる墓に落椿

鶯のこの一声の長きこと

竹林に行けば鶯立て続け

せせらぎの奥より初音また初音

いぬふぐりキャベツ畑を埋め尽くし

千年の大楠茂り草萌ゆる

2019年1月

去年今年去年今年とて数へ喜寿

見ゆるもの何も変らず年変る

電子辞書新しくして年迎ふ

改元の年穏やかに明けにけり

変らねど変りて見ゆる初景色

太陽の光やさしき初景色

平成を惜しみ新年参賀へと

平成の御代の最後の年賀へと

七回も新年参賀に応へられ

老友の今年限りと云ふ賀状

大家族なりし正月母の味

手作りの料理の並ぶお正月

箱で買ふ林檎と蜜柑お正月

待ちに待ちをりし正月早や四日

子ら去にて元の二人となる四日

正月に閉店セールする店も

お歳暮の解体セールレジに列

日食に寒梅の紅蔭るかに

臘梅の臘を透かせて雨上る

咲き初めし臘梅の香のほんのりと

注連飾きりりと宮のさざれ石

初句会蜜柑と菓子を賜りて

改元の年の正月晴れ続く

一月の川一月の水の街

一月の山一月の川と海

遠き日の井戸に汲みたる寒の水

寒の水供へし母のやさしき手

寒の水沁み落ちてゆく胃の腑まで

御下がりの餅を寒九の水に浸け

動くものなき山里の初景色

音一つなき古里の初景色

坪庭に雀来てゐる初景色

門松の迎へてくれし岬の宿

初旅は淡路の宿に鳴門見る

初旅の福良の海は波もなく

初旅に鳴門観潮する人も

水仙の五百万本咲ける崖

日蔭ほど水仙の色鮮やかに

水仙を見上げ見下ろし崖登る

見下ろせば水仙崖の底にまで

水仙の崖の果てまで咲き満てる

見上ぐれば水仙の香の降りて来る

水仙の崖の果てまで咲き満てる

水仙の傾れ咲き落つ海の青

塩害に水仙疎らなる崖も

佇めば水仙の香に包まるる

闊歩する成人の式の日の着物

町中に着物成人の式のあと

成人の式へ初めて着物着て

大方は借り成人の日の着物

内股のぎこちなき成人の日よ

成人の日の着物はや着崩れて

星仰ぐかに奥祖谷の寒灯は

家中の寒灯灯し客を待つ

遠くより寒灯目指しつつ帰る

北国の里の寒灯いと赤く

群れ咲きて孤高でありし寒の薔薇

満身に創痍のありし寒の薔薇

はやばやと満開なりし白梅は

蜂須賀の松の庭園八重の梅

無患子の転がってゐる磴登る

無患子の二つ三つ四つ七つ八つ

本丸の跡へ無患子拾ひつつ

鳴らしては無患子ですと手渡しぬ

ポケットの無患子はやも粘着きて

無患子を振れば乾ける音のして

追羽根と石鹸と云ひ無患子を

無患子は後生大事に玉抱へ

本丸は何もなき原梅一輪

白梅の咲き紅梅の咲き初める

城山の原生林に枇杷の花

本丸の跡は寒禽鳴くばかり

遠き日に帰りて竜の玉探す

竜の玉探せし昭和遠くなり

竜の玉昭和いよいよ遠くなり

まさぐれば二つもありし竜の玉

寒の雨眉山城山鎮もれる

城山も濠も鎮もり寒の雨

日当たりに移せぬままに室の蘭

大きくて重さう室の胡蝶蘭

水遣りはせぬがよろしと室の蘭

室咲きの梅の大鉢土佐の宿

室咲の梅の香りの部屋中に

春近し四国三郎煌めきて

春隣遠き北方領土かな

障子越ゆ日差明るき春隣