2018年

2018年4月26日

 

 安倍総理主催の「桜を見る会」にご招待をいただきましたので4月18日から25日まで一週間ほど上京して東京では上野東照宮の牡丹苑や深大寺、浅草のスカイツリーを散策しました。

 

 新宿御苑の「桜を見る会」は残念ながら八重桜の残花を少し見ただけでした。諸般の事情から開催された時期が少し遅かったようです。

 

 みちのくの残花でも見ようかと福島県まで足を伸ばしました。南会津郡にある大内宿を訪ねたのですが、行く先々の山間部では桜がまさに満開のところもあり、車中からでしたがお花見を堪能することができました。

 

 江戸時代、下野街道の宿場町であった大内宿では茅葺き屋根の葺き替えを見ることもできました。大内宿の周辺は戊辰戦争で激しい戦場となったのですが、幸いにも宿場町は戦禍を免れ茅葺の家が軒を並べる町並みがそのまま残されたとのことでした。葱一本でいただく名物の葱蕎麦も堪能しました。

 

 郡山市の磐梯熱海温泉は開湯から約800年。京の都の歌姫がこの温泉で不治の病を治したとの伝説が伝わっています。湯質は肌にやさしく「美人をつくる湯」として人気を呼んでいます。私も宿泊して湯に入りましたが肌が若返るような気分がしました。

 

 茨城県の国営ひたち海浜公園にも行ってきました。ここは450万本のネモフィラのお花畑で有名ですが「みはらしの丘」に見渡す限り咲き並ぶ風景は絶景でした。ここではチューリップのお花畑も広々と広がっていました。

 

 帰郷する前日には私の好きな吟行地でもある皇居東御苑にも行ってきました。花菖蒲はまだ見られませんでしたが、躑躅が満開で外国人が大勢来ていました。新装された東京駅の駅前広場にも行ってきました。

 

 今回の旅行でこんな句ができました。

 

外つ国の人で賑はふ牡丹苑

雨後の牡丹の色でありにけり

牡丹には日除けの和傘よく似合ふ

黄牡丹に甘い香りのありにけり

卯の花の白を際立て雨上がる

本堂になんじゃもんじゃの白い花

ひっそりと御苑の庭の藤の花

青楓さ揺らす風のありにけり

スカイツリーに目高のやうな五月鯉

スカイツリーに纏はる小さき五月鯉

大きかり大内宿の鯉幟

茅葺の家に大きな鯉幟

みちのくの大内宿の鯉幟

山笑ふ中に大内宿の里

打水のされて大内宿の道

庭先のサイダー冷やす雪解水

茅屋根の葺き替へ工事寄り合ひて

葺き替への掛け声もなく手際よく

一本の葱でいただく宿の蕎麦

春風の蕎麦屋の暖簾揺らしゆく

薫風にネモフィラの花さざめける

麗かにネモフィラの咲き満てる丘

春光にネモフィラ青く煌めける

ネモフィラの丘より春の海を見る

緑陰の三つ葉躑躅の明るさよ

見渡せば視野の果てまでチューリップ

畳敷き詰めたるやうに著莪の花

池の端を埋め尽くして紫蘭咲く

犇めきて咲ける躑躅の明るさよ

外つ国の人も御苑の躑躅観に

浜茄子の花の御苑の薔薇園に

霾晴れて東京駅の美しく 

2018年3月29日

 

 日本伝統俳句協会の徳島地区研修会として3月18日の日曜日に阿南市椿町の椿自然園で俳誌祖谷の吟行句会が開催されました。私も出席いたしました。

 

 椿自然園の送迎バスが徳島駅まで来てくれましたのでこの日は観光旅行のような気楽な気分で吟行句会を楽しむことができました。

 

 お目当ての一つとして楽しみにしていた椿川での白魚漁は残念ながら見ることはできませんでした。今年は不漁と聞いていましたが、椿川に行って見ますと白魚を捕る四手網は挙げられたままで川には寒鯔が群れを成していました。

 

 こんなに大きな寒鯔が泳ぐようでは白魚は来ないだろうと思いました。天候異変のためとはいえ誠に残念なことでした。

 

 椿自然園の昼食にも白魚は全く姿を見せませんでした。昨年は生きたままの白魚を踊り食いできたのですが、これもできませんでした。

 

 それでもこの日は温暖な天候に恵まれ、広い園内に咲き乱れる700種類の椿を心ゆくまで堪能することができました。

 

 例年よりは潮痛みや風痛みが少ないようにも見受けられました。温室では挿木や接木、取木などの手法でたくさんの新品種の椿が作られ逞しく育っていました。

 

 昼食後の句会では互選の後、岩田公次祖谷主宰の選が発表され、私も句も特選1句、並選2句が選ばれました。嬉しかったです。

 

 この日できました私の句は次の通りです。

 

白魚の川寒鯔の川となり

取木さる椿の負傷兵のごと

尻擦りつつ椿山上るバス(公次主宰特選)

その奥に侘助楚々と咲き残る

断崖の絶壁にまで咲く椿(公次主宰並選)

落椿たどれば順路見えて来し(公次主宰並選)

椿咲く尾根は水師の逃げし道

椿咲く径に群れ咲き黄水仙

濡れてゐるやうな椿の艶やかさ

椿咲く幹より直に咲くもあり

2018年2月23日

 

 上京する機会がありましたので、上野東照宮の牡丹園で開かれていた冬牡丹祭りを見てきました。今年は東京にも寒波が押し寄せ雪の日が多かったそうですが、穏やかな日差しに恵まれたこの日は多くの観覧者が訪れていました。

 

 観覧者の多くはご婦人でしたが外国人も来ていました。藁囲いされた寒牡丹は一層可愛く見えました。一つ一つの寒牡丹をのぞき込むように丹念に見て行く人もありました。

 

 写真を撮る人もいました。椅子に座って寒牡丹を眺めながら俳句を詠む人もいました。即興で作った俳句を展示するコーナーもあり、小学生や外国人の作品も自由自在に展示されていました。

 

 寒牡丹を鑑賞する道の両脇には名人の俳句が立札にして掲げられてもいました。この牡丹園は俳句を愛する人たちに親しまれていることがよくわかりました。

 

 私も一回り吟行した後、お気に入りの寒牡丹がよく見える椅子に座って俳句を詠ませていただきました。そして一句を展示させていただきました。

 

 この牡丹園ではいろんな種類の寒牡丹と共に満作や蠟梅、馬酔木、三椏の花なども咲いていました。土を割って出た福寿草も綺麗な花を付けていました。

 

 早春を感じさせてくれる花が一度に見られて大変うれしい気分になる上野東照宮の冬牡丹祭でした。こんな句ができました。

 

気負はずに咲きていぢらし寒牡丹

寒牡丹散り初め金子兜太逝く

恋知らぬ乙女のやうな寒牡丹

美しく生きるは難し白牡丹

のぞき込むやうに眺めて寒牡丹

黄牡丹にほのかな香りありにけり

楽日にも蕾をつけし寒牡丹

藁囲されて可愛ゆき寒牡丹

美しき和名の名札寒牡丹

黄金の蠟梅の香のほのかなる

蠟梅の犇めき咲ける明るさよ

満作の赤を満作かもと見て

満作の満作らしくちぢれ咲き

土割りて出でしものあり福寿草

ほころべる黄のみづみづし福寿草

東京の寒波の緩み馬酔木咲く

穏やかな日差しとなりて馬酔木咲く

三椏の花はほぐれを解きて咲く

三椏の花は質素でありにけり

2018年2月18日

 

 2月12日、徳島市でベートーヴェン「第九」演奏会が盛大に行われました。これはアジア初演100周年を記念するもので3000人の合唱団がオーケストラの素晴らしい演奏とともに歓喜の歌を歌いあげました。

 

 今から100年前の1918年6月、当時の徳島県板野郡板東町の板東俘虜収容所にいたドイツ人捕虜たちが「ドイツさん」と呼んで接待してくれた地元の人たちへの感謝の思いを込めてベートーヴェンの「第九」を演奏しました。これが「第九」のアジア初演となったのです。

 

 3000人の合唱団は地元の徳島県ばかりでなく、日本全国から希望する方々が大勢参加しました。外国からも友好都市の関係にあるドイツの高校生が参加しました。

 

 また台湾からも婦人の合唱団46人が駆けつけてくれました。台湾からはお世話係として参加された8人を加えると総勢54人が徳島に来てくれたのです。

 

 2年ほど前に私が台湾に行った時に合唱団の代表の方々とお会いしたことが御縁となり、今回の徳島での「第九」演奏会への参加となったのですが、人と人との縁は不思議なものだと思います。

 

 演奏会の後、台湾の合唱団の皆さんと夕食を共にしたのですが、皆さん徳島は初めての方ばかりでしたが徳島と「第九」の不思議な縁も深く理解されており、大変に感激されたようでした。

 

 この夕食会には私の紹介で徳島県婦人団体連合会の副会長さんと事務局長さんにも参加していただきましたが、ご婦人同士お互いに意気投合して日本の唱歌を合唱するなど大いに盛り上がりました。

 

 台湾の代表からはぜひ次の機会には台湾でお会いしましょうとの提案があり、徳島県婦人団体連合会としても台湾を訪問することを検討されるとのことでした。今回の「第九」演奏会をきっかけにして国際交流が始まれば私としてもうれしい限りです。

2018年2月2日

 

私は一月二十九日から三十一日にかけ北陸路を旅行してきました。日本列島を大きく包み込んだ大寒波と立春寒波の間の少し寒波のゆるんだ期間でしたが、雪は毎日降り続け、昼間の気温も摂氏零度前後という北国らしい寒さのなかでの初旅となりました。

 

一日目は徳島空港から羽田空港を経由して石川県の小松空港へ。そこからホテルのバスで片山津温泉の佳水郷に。佳水郷では柴山潟の眺望できる部屋から白銀の世界に陣を張る鴨がゆっくりと観察できました。

 

二日目は能登半島に足を伸ばして輪島の朝市や白米の千枚田を観光しました。輪島の朝市は降り積もる雪を踏んでの散策となりましたが、お目当ての干鮑やするめなどを買い求めることができました。「私が手作りしたもの、味は保証する」と語る朝市の人懐こいおじさんは徳島のデパートもお得意さんだと徳島通を自慢していました。

 

白米の千枚田も雪で覆われていました。最近では千枚田で米作を営む農家が一軒だけとなり、自治体が助成して観光資源としての千枚田を保全していると聞きました。

 

穴水駅からは人気を呼んでいる観光列車「のと里山里海号」に乗り込み、波一つない内浦の景観を楽しみながら和倉温泉に参りました。寒鯔を待つ櫓などが車窓から眺められました。

 

 和倉温泉では昨年も全国の観光旅館の中で一番人気だった「加賀屋」に宿泊。能登島の眺望できる部屋に宿泊し温泉も食事もゆっくりと堪能しました。館内に展示されている加賀の伝統美術工芸品を鑑賞して回るツアーにも参加したのですが、一巡すると一時間もかかるのにはびっくりしました。

 

三日目は金沢でひがし茶屋街や主計町を散策しましたが、雪の降り続くなかで眺めた古都の風景はしみじみとした味わいがありました。雪の兼六園も散策。薄氷の張りつめた霞ヶ池や雪の降り積もった琴柱灯籠や松の雪吊の風景が印象に残りました。新幹線の開業とともに出来上がった大きな鼓門が人気を呼んでいる金沢駅や雪の積もった安宅の関も訪ねました。

 

 久しぶりに訪れた雪の北陸路は味わい深い初旅となりました。こんな句ができました。

 

噴水の柴山潟の凍返る

白銀の世界に鴨の陣を張る

奥能登の雪の山里抜けて行く

藁屋根に積もりし雪の嵩を聞く

買初めは輪島朝市干鮑

店先は雪退かしあり朝の市

冬の海猛る白米千枚田

白雪の荒ぶ白米千枚田

雪積もる駅舎のポストいと赤く

解け始む氷柱の放つ光かな

寒鯔を待ちし櫓の高さかな

内浦の里は静かや春を待つ

能登島も和倉も雪の朝明ける

湯煙や雪の和倉は静かなる

加賀屋なる正月飾り残る宿

弾初の琴の調べを聞く湯宿

海荒れて寒風荒ぶ渚かな

冬波になぎさドライブ中止さる

音もなくしんしんと降る古都の雪

レトロなる街に静かに雪の降る

寄鍋の老舗の今も主計町

路地端に雪に埋もれし寒椿

雪積もる園に真っ赤な傘の人

雪吊の兼六園へ雪の日に

雪乗せし琴柱灯籠見て飽きず

雪溶かし辰巳用水滾々と

薄氷の霞ケ池を埋め尽くし

薄氷に内橋亭も閉ざされて

降る雪や昭和も遠くなりにけり

雪晴れて鏡のやうな浅野川

初旅の金沢駅の鼓門

春めける彩り並ぶロビーかな

雪被る弁慶富樫義経も

雪しまく安宅関は海までも

2018年1月7日

 

 私の住む徳島県では穏やかな天候に恵まれて新年が明けました。ベートーヴェンの「第九」がアジアで初めて徳島県で演奏されて今年はちょうど100年目に当たります。

 

 今年2月12日にはそれを記念してベートーヴェン「第九」演奏会が徳島市で行われることになっています。これには私が台湾でお会いした婦人合唱団の皆様が参加されるとのことでどんな演奏会になるのか今から楽しみです。

 

 1918年6月、当時の徳島県板野郡板東町(現在の徳島県鳴門市大麻町板東)の板東俘虜収容所にいたドイツ人俘虜たちが、地元の人々との交流の中で感謝の思いを込めベートーヴェン「第九」を演奏したことが「第九」のアジア初演と言われています。

 

 徳島県では全国初となる二度の国民文化祭の開催を通して徳島県をベートーヴェン「第九」の聖地として「第九」の魅力を発信し続けてきました。今年は特に「第九」アジア初演100年目の記念すべき演奏会であり、準備にもことのほか熱がこもっているようです。

 

 我が家では昨年10月に8人目の孫が誕生し、今年は3人の息子、3人の嫁、8人の孫が勢ぞろいして一家16人の大家族で年末年始を過ごしました。

 

 嬉しいことに全員健康そのもの。8人の孫たちは兄弟姉妹のように毎日元気一杯に遊びまわっていました。息子たち、嫁たちも仲が良く一家和楽を絵にかいたような正月を過ごさせていただきました。

 

 この正月にこんな句ができました。

 

初夢の途切れ途切れでありにけり

初夢のハッピーエンドまで行かず

初夢や富士鷹茄子のちらりとも

ゼロ歳の赤子が主役初詣

十六人家族総出の初詣

揃ひたる孫八人にお年玉

年酒とて大吟醸の飲み比べ

お雑煮の餅は一つで結構と

正月の餅を詰まらせ逝く人も

正月を無事に過ごせし嬉しさよ

子ら去にて元の二人の薺粥