2015年

2015年12月17日

 

 衆議院議長招待の前議員懇親会が議長公邸でありました。それに先立ち衆議院第一議員会館で恒例の講演会がありこれにも出席させていただきました。

 

 今年の講演会は京都大学名誉教授の中西輝政さんが「危機に立つ日本の安全保障」の演題で1時間30分にわたって世界各地の事例を引きながら熱弁を振るわれました。

 

 懇親会では記念撮影のあと各会派の皆さんと旧交を温めました。90歳をはるかに越えてもお元気なご様子の先輩も多く、私も健康に気を付けて元気に長生きすることを決意しました。

 

 これらの行事に先立って前日には東京国立博物館平成館で開かれている「始皇帝と大兵馬俑展」も見てきました。

 

 今から約2200年前に「最初の皇帝」として中国大陸に統一王朝を打ち立てた秦の始皇帝。地下軍団「兵馬俑」を通して始皇帝が目指した「永遠なる地下世界」の実態が垣間見られる展示となっていました。

 

 絶対権力者として築き上げた壮大な秦の都も始皇帝が50歳で病没すると3年ももたず滅亡します。永遠を求めた始皇帝の世界は現在は地下にのみあるのです。

 

 前議員懇親会のあった日の午前中は旧芝離宮恩賜庭園に行ってきました。玄関に紅葉の見頃ですとの案内板がありましたがその通りの光景でした。

 

 雪吊の終った松や手入中の松もありました。紅葉の映った池には鴨が浮寝をしていました。冬桜の咲き満つ庭園には水仙も花をつけていました。

 

 今度の旅行でこんな句ができました。

 

銀杏散る野口英世の像の背に

紅葉見て大兵馬俑展も見て

始皇帝逝きしは五十紅葉散る

没後すぐ滅びし都紅葉散る

都心にも静寂のあり鴨浮寝

紅葉の水面に鴨の水尾かな

羽白とは魚食ふ鴨と教へくれ

暖冬に渡り来る鴨少なきと

鴨浮寝旅の疲れを癒されよ

シベリアの寒風越えて来し鴨よ

雪吊の松それぞれの形かな

霜除の菰巻きてより松手入

松手入とは根気よく根気よく

遠目にも紅ほんのりと冬桜

咲き満ちて疎らなりけり冬桜

咲き満ちてゐても侘しき冬桜

公園の死角にありし花八手

其処此処に群れて水仙花開く

吹く風に水仙の花たぢろがず 

2015年11月20日

 

 皇室ゆかりの新宿御苑の菊花壇展を見てきました。毎年11月1日から15日まで、新宿御苑の日本庭園で開かれているのですが、今年は天候にも恵まれ見事な咲きっぷりでした。

 

 新宿御苑の菊花壇は、回遊式の日本庭園内に上屋(うわや)といわれる建物を設け、特色あふれる花々を独自の様式を基調に飾り付けた花壇であり、順路に従って行くと最も美しく鑑賞できるようにデザインされています。

 

 私も順路に従って「断崖作り花壇」「伊勢菊・丁子菊・嵯峨菊花壇」「大作り花壇」「江戸菊花壇」「一文字菊、管物菊花壇」「肥後菊花壇」「大菊花壇」と鑑賞しました。

 

 どの花壇も見ごたえがありましたが、明治17年から作り始められた「大作り花壇」は新宿御苑独自の技術で作られており、一本の株から何百というたくさんの花がこんもりと半円形に整然と咲き満ちるさまは圧巻でした。

 

 「江戸菊花壇」は明治11年から作り始められ、新宿御苑の菊花壇の中で最も古い歴史のある植え込み様式で全体の色彩の変化と配列が美しい花壇でした。

 

 江戸菊は花びらがさまざまに変化することから狂菊とも呼ばれ、江戸において流行したもので花びらは平たいもの、管のようになったもの、匙のようになったものがありました。

 

 最後に見た「大菊花壇」は明治17年から作り始められたもので、よしず張りの上屋に神馬の手綱の模様のように植え込まれたもので手綱植えと呼ばれています。一本一本の花の美しさはもちろんのこと各列に並んだ花の整形美や色彩の変化、これに調和する上屋のたたずまいに見ごたえがありました。

 

 この菊花壇展を鑑賞してこんな句ができました。


紅葉且散る大胆に細心に

御苑かな紅葉且散る大銀杏

森々と紅葉且散る御苑かな

大胆にしてしなやかに銀杏散る

満開といえどちらほら冬桜

やはらかき日差を集め冬桜

寒禽の森抜けて来て菊花展

はるかより明るきあたり石蕗の花

日蔭ほど明るき石蕗の花明かり

日蔭ほど鮮やかなりし石蕗の花

懸崖の揃ひ咲きたる野菊かな

懸崖の野菊いづれも上向きに

伊勢菊の素麺の如咲きにけり

伊勢菊のもそもそもそと咲きにをり

向日葵のやうなる形丁子菊

丁子なる花はしらねど丁子菊

嵯峨菊の閃光発する如く咲き

一株に六百輪の菊の花

一株の菊六百の花をつけ

大菊の六百の花揃ひ咲く

江戸菊のほつれるやうに咲きにけり

一文字菊は単弁しとやかに

肥後菊の花火のやうな咲きっぷり

大菊の花壇鉢なく綱植え

大菊の手綱植えてふ土黒く

土植えの大菊の背の揃ひ咲く

大菊のどれも満開なる花壇

2015年11月13日

 

 私は5日から6日にかけて高校の同窓会で白糸の滝、音止めの滝、田貫湖、陣場の滝、本栖湖、精進湖、富士山本宮浅間大社を訪問してきました。

 

 高校の同窓会では毎年、日本各地を訪問旅行しているのですが、今年は幹事の皆さんが「田貫湖から望む富士の絶景と紅葉狩り」と名付けた旅行を4月に計画してくださり、実現したものです。

 

 終日天候に恵まれ、田貫湖の湖畔にある休暇村富士から眺めた夕焼の富士、朝焼の富士は素晴らしいものでした。

 

 特に朝日の出る直前の富士は見事なものでした。雲一つない空は五色に彩られ、黒々とした富士の稜線を浮かび上がらせました。

 

 田貫湖でも本栖湖でも精進湖でも富士の全容が見られましたし、湖面に映る逆さ富士もはっきりと眺望できました。

 

 参加者全員がこんなに晴れ渡った中で終日、富士を眺められたのは初めてと言っていました。富士の裾野に広がる紅葉も強く印象に残りました。

 

 今回の旅行でこんな句ができました。

 

柿を干す富士の裾野の山家かな

白糸の滝のまぶしき小春かな

小春日の滝の冷気の心地よく

滝落つる紅葉の谷に虹を差し

滝壺の水青々と澄みにけり

滝を見て茶屋のおでんのありがたく

冬夕焼富士の山容紅仄か

夕焼の富士を映せる湖静か

日の出前静寂を破り鴨の鳴く

日の出前五彩の空に冬の富士

黒々と稜線長き冬の富士

朝日出て富士も紅葉も色生まれ

朝日出て湖面の鴨の動き出す

稜線の裾より出し冬日かな

富士を見る雲一つなき冬日和

北面に初冠雪の残る富士

真っ赤なる紅葉も眺め富士も見て

本栖湖の水青々と澄みに澄み

山粧ふ空青ければいよいよに

冬の富士野山の錦下にして

雲一つなき富士を見る冬の旅

富士よりの伏流水の澄みに澄み

澄む水に鴨の水輪のくっきりと

一隅に明るき菊の展示会

咲き揃ふことのめでたき菊花展

母も子も揃ひの和服七五三

七五三まづは記念の写真撮り

手を引く子手に引かれる子七五三 

2015年10月27日

 

私は15日から24日にかけてスロヴェニア、クロアチア、モンテネグロ、ボスニアヘルツェゴビナ、オーストリア、ドイツを周遊してきました。

 

 スロヴェニアではブレッド湖で手漕ぎボートに乗り、リュブリヤーナの市内を観光した後、ボストイナの鍾乳洞をトロッコと徒歩で観光しました。

 

 クロアチアでは世界遺産であるプリトヴィッツェ湖群国立公園をハイキングした後、遊覧船にも乗りました。アドリア海の真珠と言われる世界遺産のドブロヴニクでは城壁にも登りました。

 

 モンテネグロでは世界遺産のコトルの旧市街を観光しました。この後再び、夜のドブロヴニクに戻って伝統料理も楽しみました。

 

 ボスニアヘルツェゴビナでは世界遺産のモスタル旧市街を観光しました。旧市街の真ん中にある橋は内戦で破壊されたのですが見事に復興されていました。

 

 再びクロアチアに戻って世界遺産のトロギールとスプリットの旧市街を観光し、シベニクでも世界遺産の大聖堂を見学し、オパティアではアドリア海の海岸を歩きました。

 

 オーストリアのザルツブルグでは世界遺産であるミラベル庭園を散策しました。ここは映画「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台で、紅葉が綺麗でした。モーツアルトの生家の近辺で食事もしました。

 

 ドイツのミュンヘンでは市庁舎の時計台で人形が踊り出す時刻にも遭遇し、中世の雰囲気を味わいました。

 

 この旅行でこんな句ができました。

 

紅葉濃し氷河作りし湖に

鴨の水尾波なき湖に長々と

大木の樹下の落葉の森々と

中世の道化真っ赤な冬衣裳

柿と栗並べ中世よりの市

入るほどに身に入む寒さ鍾乳洞

鍾乳洞流るる水の澄みにけり

地の底を流るる水の澄みにけり

錦なす紅葉の崖を落つる

澄みに澄むプリトヴィッツェの湖群かな

木道を行けばいよいよ紅葉濃し

犇めける屋根のまぶしき小春かな

屋根光るドブロヴニクの小春かな

小春日のアドリア海の青さかな

白壁に冬の日差のやはらかく

城の濠水青々と澄みにけり

城壁の中に街あり暮早し

復興の街に冬日の暖かく

冬温しこの町どこかトルコ風

この門を入れば中世冬日差す

アカペラの声暖かく冬温し

日向ぼこアドリア海を前にして

椰子茂る海岸カンナ咲き続く

秋晴や海岸の街遥かまで

大砲を照らす冬日の暖かく

行く秋やアドリア海の荒れて来し

行く秋や人気少なきリゾート地

無事祈る乙女の像に冬日差す

庭園は名画の舞台冬紅葉

暮れ早き街にやさしき灯の点る

時雨来てモノトーンへとなりし街

市庁舎の時計の音も冬めける

2015年10月9日

 

 大塚製薬株式会社時代の親友がはるばるとアルゼンチンからご夫婦で来日されました。私も夫婦で東京まで出かけて目白の椿山荘でともに食事をしながら旧交を温めました。

 

 時間の経つのを忘れるほどに会話が弾みました。親友は若いころを振り返りながら現在の若者のためにと夢にあふれた本を出版され、今も世界中を旅行されているとのことでした。ご夫婦で定年後の人生を大いに楽しまれているご様子でした。

 

 お二人はアルゼンチンからロンドン経由で36時間、飛行機に乗り継いで日本に来られたのですが、私たちのためにアルゼンチンのワインを持参してくれました。

 

 私は手荷物になっては申し訳ないと思って土産を持参しなかったのですが「お会いできて嬉しかった。おいしいランチを御馳走になっていろいろなお話ができ、楽しい思い出を作ることができました」とメールでお礼をいただき恐縮しました。

 

 お二人とはまたの再会を約して別れたのですが、この上京の機会を生かして私たちは家内の弟夫婦と潮来、佐原などの観光地を巡ってきました。

 

 潮来では舟で十二橋巡りをしました。かんぽの宿で宿泊したのですが「秋さきどり松茸プラン」という夕食では松茸を堪能しました。

 

 潮来ではコスモスの畑も見ました。最盛期は過ぎていましたが、広い畑に咲き乱れるコスモスを見ようと多くの人々が来ていました。

 

 伊能忠敬の出生地である水郷佐原では伊能忠敬の旧宅を訪問したり、蔵の商店街で買い物を楽しみました。水郷を舟で遊覧する風景は味わい深いものがありました。

 

 今回の旅行でこんな句ができました。

 

・舟で行く潮来の水の澄みにけり

・十二橋巡りの水路萩の花

・カナダ産なれど松茸尽くしかな

・カナダ産松茸の香の芳しく

・カナダ産松茸の肌真白かな

・部屋中に焼き松茸の香りして

・松茸の炊き込みご飯お焦げよし

・コスモスや潮来の原のひろびろと

・コスモスのまだ咲いてゐるひとところ

・芙蓉咲く水の佐原は蔵の町

・柿実る水の佐原の舟着場

・凛と立つホテルの庭の尾花かな

・野仏に秋の日差のやはらかく 

2015年9月28日

 

 秋の連休に子供や孫たちと三重、愛知、滋賀、京都の観光地を巡ってきました。どこも春の連休を越える渋滞で大変でしたが無事に帰ってこれました。

 

 三重県では長島温泉、愛知県では南知多ビーチランド、滋賀県では彦根城と大塚比叡山荘、京都では三千院と鞍馬、貴船に行ってきました。

 

 長島温泉にはナガシマスパーランドという子供たちが一日中遊べる施設がありました。大きなショッピングモールも併設されていて世界の有名ブランドが軒を並べていました。

 

 夜になると遊園地に照明が灯され、閉場間際には花火も揚がりました。家族連れが多く子供たちの歓声が夜遅くまで響いていました。

 

 南知多ビーチランドでは海豹と海豚のショーが人気を呼んでいました。同じプールで競泳したり、宙に釣られた球に向かって大きくジャンプする度に歓声が上がっていました。

 

 彦根城では有名になった「ひこにゃん」に迎えられて天守閣の周りを散策しました。国宝の彦根城は井伊直弼の居城でもあり、あちらこちらに咲く曼珠沙華は直弼の霊を弔っているかのように見えました。

 

 大塚比叡山荘には交通の渋滞で予定時刻より大幅に遅れて到着したのですが、スタッフの皆さんに笑顔で迎えていただきました。温かいお接待本当にありがとうございました。

 

 京都では街中の渋滞を避けて三千院と鞍馬山そして貴船に参りました。鞍馬から貴船口までは叡山電車にも乗りました。3泊4日の家族旅行で楽しい思い出を作ることができました。

 

 今回の旅行でこんな句ができました。

 

・爽やかや海峡越えて来る風も

・秋晴や波なき湖に観光船

・ちちろ鳴く夜も明るき遊園地

・遊園地花火上がりて御開きに

・ペンギンと秋の一と日を過ごしけり

・海豹と海豚のプール水澄めり

・水澄めりショーの海豚の艶もよく

・直弼の城は国宝秋高し

・直弼の居城ここにも曼珠沙華

・曼珠沙華井伊直弼の城に咲く

・日没のあとの青空夕焼来る

・比良比叡描き出したる夕焼かな

・薄明き霧の琵琶湖の日の出かな

・朝露の芝生歩けば音のして

・曼珠沙華三千院へあと半里

・石垣の続く坂道葉鶏頭

・登り来て三千院の心太

・参道の上に鞍馬寺秋高し

・鞍馬寺の門前の茶屋秋簾

・秋簾越しに参道見下ろして

・貴船への道は山道そぞろ寒

・暮れてゆく町の灯にある愁思かな

2015年9月15日

 

 日本伝統俳句協会の第26回全国俳句大会が13日、新潟県南魚沼郡湯沢町で行われました。徳島県からは岩田公次さん、勝瀬千津さん、先山咲さん、多田まさ子さん、吉田有子さんと私の6人が出席しました。

 

 大会の前々日に大会の会場である湯沢町のホテルにチェックインした私たちはまず、三国街道の塩沢宿に参りました。

 

 塩沢宿は江戸と越後を結ぶ三国街道の宿場町として栄え、全国有数の豪雪地帯として知られています。現在の塩沢宿「牧之通り」は往時の宿場町、雪国特有の雁木の街並を平成22年に再現したものです。

 

 「北越雪譜」や「秋山紀行」の著者であり、江戸時代の文人である鈴木牧之の生家もここにあります。その生家には鈴木牧之が生活していた頃の太い梁が今も大切の保存されていて豪雪地帯の生活がしのばれました。

 

 大会の前日は午前中にロープウエイで湯沢高原に登りました。この高原には高山植物園もあり、たくさんのハイカーが広大な高原を思い思いにトレッキングしていました。

 

 午後は全国の大会参加者とともに十日町市にある上越高原国立公園の清津峡と南魚沼市の雲洞庵に吟行しました。

 

 清津峡は日本三大渓谷の一つであり、雄大な景観美を形成している柱状の岩は「柱状節理」と言われるものですがトンネルの見晴所から間近に見ることができました。渓谷を見るためのトンネルは往復1500メートルもありますが一番奥のパノラマステーションからの眺望は圧巻でした。

 

 雲洞庵は越後一の寺、日本一の尼寺と言われ、上杉景勝や直江兼続が幼少の頃に教育を受けた寺としても知られています。太い杉木立の中にある古刹には回廊の庭に萩や紫苑が咲き競っていました。

 

 今回の旅行でこんな句ができました。

 

・トンネルを出れば初雪降りそうな

・冬近き湯の町を行く駒子かも

・読み返す北越雪譜冬の雲

・梁太き牧之の生家雪近し

・山頂は平なりけり蕎麦の花

・高原の空を占領赤蜻蛉

・すいっちょを一番に聞く山の駅

・爽やかや橅の木陰の座談会

・渓谷の空は三角鰯雲

・激流の逆巻く岸辺秋桜

・逆巻ける怒涛の岸辺女郎花

・魚沼は見渡す限り豊の秋

・どこまでも続く明るさ豊の秋

・米どころなる魚沼に蕎麦の花

・蕎麦も咲く日本一の米の里

・露しとど石の参道真っすぐに

・名刹の庭広々と萩の花

・客殿へ回廊の庭紫苑咲く

・雑魚寝して虚子語り継ぐ夜長かな

2015年8月2日

 

 私は7月29日から8月1日にかけ、北海道へ34日の旅をしてきました。行きは徳島空港から羽田空港を経由して釧路空港へ。帰りは新千歳空港から直行便で徳島空港へ。

 

 その間にサロマ湖、博物館網走監獄、知床五湖、知床観光船、摩周湖、阿寒湖温泉、富良野、美瑛、登別温泉などの観光地を巡る旅でした。

 

 釧路空港からサロマ湖までの湿原では丹頂を見ることができましたし、宿泊したサロマ湖温泉のホテルから見たサロマ湖の夕焼は前評判通りの美しさでした。

 

・波一つなきサロマ湖の夕焼かな

・広々と北の大地の蕎麦の花

・じゃがいもの花の大地の果てまでも

 

 博物館網走監獄は緑の美しい中に歴史を刻む建物が大切に保存されている感じがしました。かつてはここに囚われていた人々の手で北海道の開拓がなされたことも興味深く教えていただきました。

 

・万緑の中の監獄記念館

・開拓の歴史の大地麦の秋

・浜茄子や原生花園なる砂丘

 

 知床五湖は歩きやすい高架の木道が設えられていましたが、世界遺産知床の絶景を洋上から見ることのできる観光船が霧のために欠航になってしまったことは誠に残念でした。

 

・老鶯を知床五湖の木道に

・木道の彼方に雪の残る峰

・夏霧や観光船は欠航に

 

 オシンコシンの滝や摩周湖を見て阿寒湖温泉に宿泊したのですが、ホテルの近くにはアイヌコタンがあり、私たちも買い物を楽しみました。

 

・ほとばしりオシンコシンの滝となる

・流れ落ち逆巻く怒涛雪解水

・夏霧の底に摩周湖閑もれる

・夏の夜のアイヌコタンの森として

・夏の月アイヌコタンを照らし行く

 

 翌日は阿寒湖温泉から富良野を経由して登別温泉まで一日に524キロメートルを走りましたが、お花畑やパッチワークの丘など北海道らしい風景を見ながらの楽しい旅となりました。

 

・山越えてさびたの花の続く道

・立葵富良野は蝦夷のど真ん中

・紫陽花や北の富良野に梅雨はなく

・向日葵の畑民家の庭先に

・収穫は今も手仕事ラベンダー

・派手な色並ぶ真夏の花畑

・原色といふ夏の色なり花畑

・ゴッホにも見せたし夏の花畑

 

 登別温泉の泉質は格別によかったと私は思いました。最終日の朝、ホテルから10分ほど歩いて泉源である地獄谷を見学しましたがその迫力には圧倒されました。

 

・紫陽花のまだ残り咲く登別

・炎天に硫黄の臭ふ地獄谷

 

 新千歳から徳島への直行便は夏だけ運行されるもので私たちが乗った便は初便でしたので徳島空港で記念品をいただきました。

 

・夏だけの直行便の初便に

・千歳より阿波へ幾峰雲の峰

 

 天気予報は雨の日が続いたのですが、私たちは上手に雨雲をかいくぐって旅行を続けることができました。治安もよく料理もよく温泉もよい国内旅行のよさをつくづく感じました。

2015年7月20日

 

 静岡大学工学部の同窓会である浜松工業会の全国支部長会が母校でありました。私は四国の支部長を務めていますので今年も喜んで参加させていただきました。

 

 台風11号が四国を直撃しましたので台風を避けて16日に浜松に行ったのですが、浜松で全国から7000人が参加するという日本消化器外科学会の総会が開催されていた関係でどこのホテルも満室です。

 

 そんな窮状を浜松工業会の方に連絡しましたら同窓会会館の宿泊室を手配してくださり、3連泊させてくださいました。本当に助かりました。心から感謝申し上げます。

 

 そんなわけで全国支部長会と懇親会のあった18日を除く日を利用して17日には浜松城に登ったり、天竜浜名湖線に乗車したり、ヤマハの先輩や同僚と懇親会をしたり、して有意義な時間を過ごさせていただきました。

 

 全国支部長かが終わって徳島に帰る19日にはヤマハ俳句クラブの吟行句会にも出席させていただきました。吟行の会場となった掛川城は高知に来る前の山内一豊がいた城です。

 

 城の周囲は綺麗に整備されていて、城内にある明治時代に創建された掛川市指定有形文化財「竹の丸」での句会は格別の趣がありました。

 

 今回の旅行でこんな句ができました。

 

・台風に追ひ立てられて旅に出る

・銅像の家康若し青楓

・若き日の家康の城露涼し

・雲の峰浜松城は出世城

・万緑や天浜線は森の中

・万緑の中を天浜線走る

・梅雨晴の掛川城の白さかな

・梅雨晴のステンドグラスまぶしかり

・蒸し暑さかきたててゐる蝉時雨

・雨傘の日傘となりぬ旅の空

・緑陰のさやけき風に吹かれゐる

・蒲焼の香に召し捕られ鰻屋へ

・待たされて食べる土用の鰻かな

・昼暗き城の一隅百合の花

・開け放ち風鈴の音の途切れなく

・風通る明治の庭の青楓

・涼風の通り抜け行く館かな

2015年6月28日

 

 3人の子供たちが「伊予灘ものがたり」の観光旅行を私たち夫婦にプレゼントしてくれました。この企画はJR四国が昨年3月から「駅長推薦あじな散歩道」として始めたものです。

 

 天候も梅雨の晴れ間となり、リュックを背負った私たちは地元の勝瑞駅からJRに乗車して松山から八幡浜までの伊予灘をレトロモダンな特別列車でゆったりと旅を楽しんできました。

 

 いつもは車ですからJRの旅は久しぶりです。車窓から瀬戸大橋やしまなみ海道もよく見えました。伊予灘を眺めながらゆっくり走る「伊予灘ものがたり」ではおいしい食事も出ました。

 

 「伊予灘ものがたり」は松山から八幡浜まで23の駅を2時間30分かけて普通列車より遅く走ります。観光スポットでは停車したり徐行するので伊予灘の風景を存分に味わえました。

 

 

 帰りは八幡浜から松山まで内子線の特急で約50分。午後6時には予定通り道後温泉の大和屋本店にチェックイン。ホテルにある能楽堂で薪能を鑑賞することもできました。

 

 大和屋本店は坊っちゃん湯として知られる道後温泉本館の隣にあり、一度は宿泊したいと思っていましたが期待通りの素晴らしいホテルでした。

 

 チェックインもチェックアウトも12時です。道後での一日をゆったりと満喫してほしいと旅人への配慮がうかがえました。

 

 瀬戸内海の新鮮な食材を使った料理も素晴らしかったです。また、朝の坊っちゃん湯は観光客も少なく心ゆくまで温泉を楽しめました。

 

 今回の旅行でこんな句ができました。

 

・梅雨晴れて子に贈られし伊予の旅

・梅雨晴の伊予灘青く空青く

・伊予灘の駅の向日葵よく育ち

・向日葵の駅に観光列車かな

・大洲城見て肱川の鵜飼見て

・道後かな薪能なるサプライズ

・薪能夜風涼しくなりにけり

・青簾香し朝の坊っちゃん湯

・青簾巡らす二階坊っちゃん湯

・湯籠提げ湯籠に出会ふ宿浴衣

・梅雨晴や道後は句碑の多き町 

2015年6月5日

 

 大塚製薬株式会社前代表取締役社長、岩本太郎さんのお別れ会が東京でありました。私も監査役として8年間お付き合いをした格別な思い出があり、家内とともに出席させていただきました。

 

 お別れ会には大勢の方々がお見えになっていました。岩本さんの子供の頃の写真や静岡大学の学生だった頃の写真も飾られていました。

 

 大塚製薬に入社して以来、アメリカをはじめ世界で活躍された岩本さんの写真ははつらつとしていました。48歳で社長となり54歳で逝去されたのですが、その若すぎるご逝去は惜しみてもあまりあるものがあります。

 

 大塚製薬を世界に飛翔させた大塚明彦大塚ホールディングス代表取締役会長のご逝去に続いての今回の悲報ですが、後継の皆様がこの悲しみを乗り越えて大塚製薬を世界の人々のために活躍するビッグベンチャーにしてくれることを私は心から期待しています。

 

 岩本さんのお別れ会に出席するための久しぶりの上京の機会を活用して私たちは1週間ほど滞在して築地の寿司、銀座の三越、川越の蔵の町、福生の酒造、忍野八海、河口湖のオルゴールの森、勝沼のワイナリー、椿山荘の蛍、神田のやぶそば、東御苑の花菖蒲なども楽しんできました。

 

 衆議院議議員としての同期生であり、公明党の代表もされた神崎武法さんご夫妻との懇親会を用意してくださる友もあり、実り多い東京での日々を送ることができました。

 

 今回の上京中にこんな句ができました。

 

・風薫る道幅広き蔵の町

・奥多摩の清水を汲みて酒造る

・底見えぬ泉の畔雪の下

・暁の皐月富士見る旅の宿

・欧州にゐる気分かな薔薇咲いて

・都心にも蛍の闇のありにけり

・掴まんとすればするりと蛍逃げ

・蛍の飛ぶといふより湧き出でて

・外つ国の人も御苑の菖蒲好き

・見比べてやはり紫菖蒲園

2015年5月9日


 昭和58年に衆議院議員選挙に初当選した神崎武法さん森本晃司さん日笠勝之さんと私の4人で今年も夫婦同伴の小旅行を楽しみました。


 今年は私が幹事を務めましたので春の鳴門の大潮を観潮船から見ていただこうと5月7日の大潮に合わせて鳴門で開催しました。


 神崎さんご夫婦は東京から森本さんご夫婦は奈良から日笠さんご夫婦は岡山から駆け付けてくださいました。


 皆さんお元気で楽しく充実した時間を過ごすことができました。小旅行は7日午前11時30分に鳴門の大毛島にあるリゾートホテルのイタリアンランチから始まりました。


 天気予報では雨だったのですが、素晴らしい快晴となり気分は最高。おいしい料理をいただきながら最初から会話が弾みました。


 大潮の時刻に合わせて13時40分発の観潮船に乗り込みました。皆さん観潮船は初めてということで乗り出すように海を見ていました。


 大鳴門橋の下まで来ると大きな渦が巻いては解けて行く様子が手に取るように見えました。鳴門の山々の新緑も素晴らしく皆さんからいい思い出になりますと感謝されました。


 山上のホテルからは静かな瀬戸内海が眺望されました。露天湯に入ると鶯の鳴き声が聞かれました。ホテルでの夕食懇談会と翌日の朝食会では俳句の話も出て、朝食後には天井の高いホテルのロビーレストランで即席の句会も行いました。


 この時の皆さんの出句です。


・新緑や鳴門の渦の藍も濃く     武法

・囀や露天の湯より瀬戸の海     邦子

・春潮の鳴門に集ひ皆元気      晃司

・五月晴友の笑顔も五月晴     美千子

・瀬戸内の薫風頬に阿波路行く    勝之

・葉山葵を摘み取る媼玉の汗    佐知恵

・ご覧あれ春の鳴門の大潮を     和良

・囀に負けじと弾む会話かな    恵美子


 皆さん遠路鳴門までお越しくださいましてありがとうございました。ともどもに健康に気を付けて来年もまた元気に集い合いましょう。楽しみにしています。

2015年5月6日

 

 今年の連休も3人の息子とその嫁と孫たちが勢ぞろいしました。私たちを加えて15人です。毎日忙しかったですが楽しい日々でした。

 

 5月2日は香川県の山越うどんとレオマワールドに行きました。山越うどんは数ある讃岐うどんのお店の中でも一番人気のあるうどん屋さんです。

 

 釜玉うどんの最初の発祥地でもあり、私も釜玉うどんを注文しました。一杯250円です。その安さにびっくりしましたが、その味の良さには更にびっくりしました。

 

 遠く関東や九州からもこの店の釜玉うどんを食べにくる意味が分かったような気持ちがしました。

 

 私たちが行った日も県外ナンバーの車やバイクが広い駐車場に並んでいました。列を作って45分ほど待ちましたが、お店の人が日傘や麦わら帽子を貸して呉れ、その細かい配慮にも感動しました。

 

 レオマワールドは一度倒産した後、newレオマワールドとして再開したと聞いていますが大勢の家族連れでにぎわっていました。

 

 5月3日は阿波市土成町でミニSLに乗ってきました。このミニSLは私の古くからお世話になっている鉄道マニアの方が自ら手作りされたものです。

 

 石炭をたいて走る本格的な蒸気機関車です。毎年子供たちのために自ら運転して披露してくださっているのです。その真心にひたすら感謝するばかりです。私の7人の孫たちも大喜びで何回も乗車させていただきました。

 

 5月4日は我が家の隣に新築した二男宅のテラスでバーベキューをしました。七輪で焼いた鰻の蒲焼は格別の味がしました。この鰻は私の古くからの友人が差し入れてくださったものです。


 友人からは新鮮な鰹もいただきました。これは家内と二男の嫁が手際よく叩きにしてくれました。旬の鰹はおいしくて、子供や孫たちも大喜びでした。

 

 家族15人が揃ってするバーベキューは今年が初めてでしたが、これからは我が家の年中行事の一つになりそうです。

 

 5月5日に長男の家族は愛知県へ。3男の家族は兵庫県に帰りました。大変な渋滞だったそうですが、無事に到着したとの報に胸をなでおろしました。振り返ってみるとあっという間に終わった我が家の連休でした。 

2015年4月5日


 大鳴門橋開通30周年特別企画イベントとして鳴門公園全周クルージングがあり、友人とともに参加してきました。


 このクルージングは、鳴門観光汽船所有の観潮船「わんだーなると」を使用して春の大潮とお花見を見るサンセットクルージングと紹介されていました。


 航路は亀浦観光港から播磨灘に出て、北泊、堂浦、小鳴門橋、岡崎、鳴門海峡を経由して亀浦観光港に戻る90分の鳴門公園全周コースです。


 前評判も高く、当日は大勢の人々が早くから詰めかけていました。朝から降っていた雨もやみ、太陽も顔を見せました。風もなく、絶好のクルージングとなりました。


 北泊や堂浦の漁師町では山の山桜と海岸の染井吉野が咲き競う風景が見られました。船からの花見ならではの趣がありました。


 春の大潮に合わせた鳴門海峡の観潮はこのクルージングのクライマックスでもあり、格別の迫力がありました。


 こんな句ができました。


・船に乗る春の大潮見んとして

・渦の底見んと傾く観潮船

・傾斜する観潮船にすくむ足

・春潮の渦の四重五重六重にも

・春の潮怒涛の如く流れゆく

・春潮の怒涛逆巻く鳴門かな

・巻く潮の解ける速さ春の潮

・一瞬に巻きて解ける春の潮

・満足を乗せて観潮船帰る

2015年3月16日

 

 四国の春一番を告げる原田家の蜂須賀桜が、今年も綺麗に咲き誇りました。創立10周年を迎えるNPО法人「蜂須賀桜と武家屋敷の会」の皆さんが今年も頑張ってくださり、蜂須賀桜と原田家(国指定有形文化財の武家屋敷)が一般公開されました。

 

 蜂須賀桜は沖縄系の寒緋桜と山桜の一代交配種の寒桜です。江戸時代まで徳島城御殿にあったものですが、廃藩置県に伴って最後の徳島藩主となった蜂須賀茂韶がその育成を重臣の原田一平に託したとされています。

 

 以来、原田家で育てられ今では樹齢250年を数えると伝えられています。毎年3月中旬には満開となる早咲きの桜で紅が濃く小振りで可憐な咲きようは乙女桜と呼ばれるにふさわしく古くから徳島の人々に愛されてきました。

 

 ことにNPО法人「蜂須賀桜と武家屋敷の会」が有志の人々の手で結成されてからは、毎年一般公開されるようになり、より多くの人々に知られるようになりました。

 

 また、苗の育成に成功してからは徳島県内に限らず、東京都、大阪府、神奈川県、長野県、石川県、奈良県、高知県、香川県など日本の各地で栽培されるようになりました。

 

 徳島県内では原田家の原木のほか、徳島中央公園の助任川河畔をはじめ眉山や徳島植物園など各地で見られるようになりました。

 

 NPО法人「蜂須賀桜と武家屋敷の会」の皆さんは毎年、厳冬期に各地で植樹されており、その地道な活動には頭が下がる思いがします。

 

 今年のNPО法人「蜂須賀桜と武家屋敷の会」による蜂須賀桜のお花見は3月14、15日の一般公開のあと、16日には平成16年に植樹された助任川河畔でも行われました。

 

 私は14日の一般公開と16日の助任川河畔のお花見に出席させていただきましたが、どちらも見事な咲きっぷりでした。

 

 お花見の宴を開いていただいたNPО法人「蜂須賀桜と武家屋敷の会」の会員の皆様のご尽力に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

 こんな句ができました。

 

・先駆けて蜂須賀桜咲き満てる

・蜂須賀の時代を今に咲く桜

・この街にこんなに目白桜咲く

・桜見てさくらさくらの琴も聞き

・一本の桜に人の切れ目なく

・桜見る平和なる世のありがたく

・こんなにも蜂須賀桜赤きかな

・緋毛氈敷きて花見の準備終ゆ

2015年2月8日

 

 私事で誠に恐縮ですが、今年、二つのカレンダーに私の俳句が掲載されました。一つは日本伝統俳句協会のカレンダーです。

 

 日本伝統俳句協会は稲畑汀子さん、稲畑廣太郎さんをはじめとするホトトギスの人たちが作った協会で公益社団法人の認可を受けています。

 

 この協会のカレンダーの11月の俳句として私の句が掲載されました。「あれほどの大綿消えてそれつきり」という句です。

 

 この句は徳島市の金比羅さんであったホトトギス系の俳句結社「祖谷」の吟行でできたものです。ありのままの風景をそのままに詠んだものですが、そこが良かったのかも知れません。

 

 もう一つは第18回ふるさと情報全国俳句大会のふるさと情報カレンダーです。このカレンダーには「咲き満ちて花の名所となる札所」の句が掲載されました。

 

 この句は阿波市土成町の熊谷寺であった「祖谷」の吟行でできたものです。江戸時代に創建された山門から始まる桜並木は多宝塔、中門、本堂そして大師堂へと続き、全山が満開の桜で覆い尽されていました。

 

 あまりの見事さに足をとどめて桜見物していくお遍路さんも多くいました。まさに桜の名所となっていました。そんな風景をそのまま詠んだものです。

 

 俳句の句会には吟行句会と兼題の季題を詠む句会がありますが、私は吟行句会の方が好きです。同じ場所に吟行しても季節により、天候によって全く風景は違います。

 

 少し大げさですが、今日はどんな句を賜ることができるだろうかと、私はいつもわくわくした気分で吟行に参加しています。

 

 心を真っ白なキャンバスにして参加すると意外にもいい句の浮かんでくることがあります。そんな嬉しさを味わいながら私は俳句を楽しんでいます。

2015年1月9日

 

 徳島市の渭水苑で俳誌「祖谷」の主宰である岩田公次さんを囲んでの初句会がありました。私も参加させていただきました。

 

 渭水苑は昭和52年、当時16億円の巨費を投じて作られた個人の邸宅です。現在では重厚で瀟洒な木造の家屋と広い庭園を誰もが楽しめる新しい形の料亭として親しまれています。

 

 掃き清められた正門には門松が立てられ、石の鉢に正月を寿ぐ花々が活けられていました。臘梅がよい香りを放っていました。

 

 注連飾りの門を入ると敷石に水が打たれ、玄関に餅花が飾られていました。初日の掛軸が掛けられ、大きな鏡餅も祀られていました。

 

 琴の音を聞きながら初句会の会場に入ると皆さんお揃いでした。和服を召された方もあり、お正月らしい雰囲気が漂っていました。

 

 私も皆さんと同じように句帳を開いて句を作り始めましたが、なかなか筆が進みません。そのうちお正月の料理が運ばれてきました。

 

 最初の小鉢は黒豆とごまめと数の子でした。蕾のほころび始めた白梅の小枝も添えられていました。なんと季題ばかりではありませんか。目の前の季題を観察しながら私は句を作り始めました。

 

 この日の私の句です。

 

・門松の松青々とありにけり

・門前の臘梅の香に迎えられ

・注連縄の門より入り初句会

・盛塩のありし門より初句会

・餅花の垂るるほどに咲き満ちて

・和やかや白梅の早やほころびて

・金まぶし黒豆の黒いよいよに

・お印のお屠蘇に酔ってしまひけり

・初句会さらりと和服着こなされ

・初句会皆健啖でありにけり

・初句会九十六歳お元気に

・健啖の健吟嬉し初句会