2023年12月1日
去る11月23日の勤労感謝の日、高松市で日本伝統俳句協会四国支部の俳句大会が開かれ、私も参加しました。
徳島県からは日本伝統俳句協会四国支部長の岩田公次さんとともに6人で参りました。一行は高速バスで冬の深まる窓辺の風景を楽しみながら行きました。
栗林公園北口から徒歩3分にある俳句大会会場のカネミツキャピタルホテルに大きな荷物を預けて吟行地である栗林公園を散策しました。
国の特別名勝に指定されている文化財庭園の中で、最大の広さを持つ栗林公園は江戸初期の回遊式大名庭園であり、見どころがたくさんありました。
俳句大会は嘱目3句を投句した後、正午から開かれました。岩田公次四国支部長が開会の挨拶をするとともに「遍路の句に対する虚子と四国四県の関り」と題して講演もされました。
この後、選句、披講、選評、表彰と続き午後4時過ぎに閉会しました。今回の出席者は101人を数え近年にない盛会ぶりでした。
この日、私はこんな句を詠みました。
ふるさとの川にも田にも鴨の来て
この小さき鴨のはるばるロシアより
穭田もおむすび山も黄に染まり
この小さきため池にまで鴨の来て
敗荷田じっと眺めてゐる佳人
敗荷にたたずむ佳人ありにけり
名園の池に早くも鴨の陣
園広し鴨ゐる池とゐない池
赤と黄と緑の美しき冬紅葉
ゆったりと冬の紅葉を見て回る
根上がりの松の緑と冬紅葉
芒の穂越しに客乗る舟の見え
水澄みて鯉の口髭見える池
七五三帰りの子らも鯉の池
木の実降る磴を登りて下界見る
小春日の舟はゆったりのんびりと
舟で行く紅葉狩りかな贅沢な
名園の紅葉を舟でゆったりと
水面にも紅鮮やかに冬紅葉
青空を独り占めして鰯雲
鰯雲広がる空に昼の月
石庭の箒目確と冬日差す
紅葉に松の緑のいや増して
夕暮れとなりても美しき冬紅葉
やはらかき冬の日差の石庭に
冬紅葉とはこんなにも真っ赤っ赤
日の差していよいよ真っ赤冬紅葉
2023年11月7日
連休を利用して愛知県から長男が帰省したので3日には上勝町の月が谷温泉に行きました。また4日には吉野川市の鴨島菊人形展並びに菊花展を見て来ました。
月が谷温泉では紅葉が始まっていました。温泉の月の宿ではあめごの塩焼きや猪の肉と茸の朴葉焼など季節の味にあふれたランチをいただきました。
ランチの後は彩りの道を散策し吊橋も渡りました。吊橋を渡ると萩や赤のままや実南天が迎えてくれました。キャンピングカーもたくさん来ていて秋の山を楽しんでいました。
吉野川市の鴨島菊人形展並びに菊花展では晴れやかな青空の下で大勢の人が満開の菊を楽しんでいました。
今年の菊人形は今年の大河ドラマの徳川家康を中心に物語が綴られていました。菊花展では品評会を前にして出品者が最後の仕上げに取り組んでいました。
この二日間でこんな句ができました。
吊橋を渡れば萩の残り咲く
残り咲きなほも鮮やか萩の花
群れ咲けど何故か淋しき赤のまま
遠き日の遠き思い出赤のまま
山の湯の宿は黄葉に囲まれて
染め上げし黄葉の美しき大樹かな
山道に赤の鈴生り実南天
一つづつ粒の光りて実南天
キャンピングカーどっと来る秋の山
吊橋を渡り黄葉を見回して
コスモスの畑一枚埋め尽くし
夕日差しコスモスの色鮮やかに
遅速無く咲き満つ菊の美しさ
一株の菊がこんなに花つけて
それぞれの菊それぞれに美しく
菊咲けるチームワークのある如く
品評会あすに控へし菊の花
咲き揃ふこと難しき菊の花
美しき菊衣かな佳き香り
それぞれに視線の合はず菊人形
菊花展小学生の作品も
市役所の前で今年も菊花展
盆栽の菊それぞれにある形
盆栽の菊に貫禄ありにけり
2023年10月18日
今月初旬、東京に行く機会がありました。私は若いころから新蕎麦は深大寺で食べたいと思っていますので、まずは東京都調布市の深大寺に参りました。
深大寺は蕎麦で有名で若いころ東京の先輩が車で連れて行ってくださってから大好きになりました。蕎麦をいただいた後、深大寺の周辺を散策するのは情緒があり楽しいものです。
今年も行きつけの蕎麦屋さんで新蕎麦をいただきました。今年は九割蕎麦が人気を呼んでいました。蕎麦をいただいた後は、参道をゆっくりと歩き、深まり行く秋の風情を堪能しました。
深大寺には高浜虚子の像と句碑があります。句碑の周りには芒が植えられていて「遠山に日の当たりたる枯野かな」の句が一段と印象深く感じました。
私は金毘羅歌舞伎にはよく行きましたが、東銀座の歌舞伎座に入ったことがありませんでしたので思い切って歌舞伎も見に行ってきました。
この日の出し物は天竺徳兵衛韓話と文七元結物語でした。文七元結物語は歌舞伎の古典作品である人情噺文七元結を山田洋次さんが新たな構想で脚本・演出を一新したものです。
とくに人気を呼んでいるのは寺島しのぶさんが女性として初めて歌舞伎役者として舞台に立ったことです。
寺島しのぶさんは中村獅童さんと組んで貧乏暮らしをしている女房を演じているのですが、笑いあり涙ありの心温まる物語になっていました。
二泊三日の東京の旅でこんな句ができました。
機窓より今日初雪の富士を見る
雲の上に白雪の富士浮かびをり
秋空に東京タワーすくと立ち
秋晴れの空に東京タワーかな
宿泊のホテルくっきり秋空に
秋風にひるがえる旗よく見えて
新蕎麦は深大寺でと今年も来
九割蕎麦なる新蕎麦の香りかな
混み合ってゐる新蕎麦の深大寺
新蕎麦の幟がどこの老舗にも
参道に蕎麦の花咲く深大寺
蕎麦の花残り咲きても色褪せず
無患子の鈴生りなりし大樹かな
無患子の降る深大寺しんとして
手水桶には黄花コスモスの花
コスモスの手水の水に生き生きと
虚子像と枯野の句碑とむら薄
像の虚子凛としてをり秋風に
コスモスと竜胆の花大鉢に
コスモスは花やぎ竜胆つつましく
こぼれ落つ上にもこぼれ萩の花
門前に紅白の萩しだれ咲き
残りたる花は嫋やか曼珠沙華
残りゐる一つは白い曼珠沙華
錦秋の候や歌舞伎に人の列
歌舞伎見る穴子の鮨を弁当に
2023年10月1日
今年の中秋の名月は9月29日でした。私は前日の28日、藍住町の自宅の庭で明日は中秋の名月になる月をゆっくりと眺めました。
この日の天候は日本中でお月見できる好天に恵まれました。まだ青空の残る空に浮かんだ月は本当に美しかったです。
この月が明日は中秋の名月になるんだと思うと感慨は一入でした。明日の中秋の名月はぜひとも世界中の人々に見てもらいたいと思いました。
世界には今も戦争をしている国があります。ウクライナやロシアの人々にもぜひ見てもらいたいと思いました。そして一日も早く戦争が終ることを祈りました。
中秋の名月は29日午後6時から徳島市のホテルで蜂須賀桜と武家屋敷の会が開催した観月会で見ました。美味しいお料理をいただきながらお月見会を楽しませていただきました。
ホテルの窓辺から見る満月は美しく、会員の方が持ち込まれた芒と手作りのお団子が飾られた会場で私はご出席の皆さんと会食、懇談しながら、ゆっくりと時間をかけて名月を楽しみました。
この2日間でこんな句ができました。
名月の空の青さでありにけり
名月のウクライナにもロシアにも
まんまるは美しきかな月今宵
まんまるの今宵の月の凛として
観月会すすきと団子持ち込みて
献立を眺めてよりの観月会
無花果の天麩羅も出る観月会
観月会窓辺の月を眺めもし
観月会はねて団子をお土産に
観月会はねても月を見てをりぬ
2023年9月12日
10日の日曜日、阿波市土成町まで車で出かけて田村農園の葡萄園を見させていただきました。田村農園の田村二男さんは昔からよく知っている方で快く案内してくれました。
ご自宅の前にある葡萄園にはよく手入れされたそれぞれの葡萄棚にシャインマスカットと大粒のピオーネが鈴生りでした。
田村さんは来年米寿を迎えられるとのことですが、健康そのもので毎朝、一万歩歩いて健康を維持されていると話されました。
胆のう結石で入院し、手術されたと聞いていましたので心配していたのですが「手術していよいよ元気になりました」と満面の笑顔で話してくれました。
葡萄は近くの道の駅などに出荷するとのことですが、出荷する日は朝一番で葡萄を摘むそうです。道の駅には田村農園と出荷者の名前が書かれた葡萄が並んでいました。
葡萄作りが大好きで葡萄作りを生き甲斐にしておられる田村さんがこれからも元気に頑張ってくださるよう私は心から祈っています。
この日の葡萄園の見学からこんな句ができました。
来年は米寿の友の葡萄園
黒葡萄育てることが生き甲斐と
紫の極まってゐる黒葡萄
産直の市に出荷を待つ葡萄
出荷日は朝一番に葡萄摘む
まあ食べてみてと葡萄を進められ
日々万歩歩かれ葡萄作らるる
お元気で葡萄作りをなされよと
作り手の書かれて並ぶ葡萄かな
朝一に摘まれし葡萄並ぶ市
たわわなる柿のやうやく色づきて
庭先の柿も実ってをりにけり
2023年8月27日
8月は13日に長男の運転する新車で香川県の観音寺市にドライブし、20日には私の運転する新車で徳島県の美馬郡つるぎ町と美馬市にドライブしてきました。
13日の観音寺市では香川県の名物である饂飩の百名店の一つに参りました。瀬戸内海の海岸線にあるこの饂飩屋は雑魚の出汁が評判のお店でたくさんの観光客が来ていました。
食事を済ませると銭形公園の展望台に上りました。駐車場までの登山道が混んでいましたが何とか行き着くことができました。
展望台から眺める銭形は思っていた以上に大きく、瀬戸内海に浮かぶ島々までくっきりと見えました。帰りには高速道路の津田の松原サービスエリアからもう一度、爽やかな秋の風を全身に浴びながら瀬戸内海を眺望しました。
20日のつるぎ町では道の駅・貞光ゆうゆう館の産直市で買い物をした後、3年ほど前にできた美馬市の道の駅・みまの里に立ち寄りました。ここにも産直市があり、楽しく買い物ができました。
この後、美馬市脇町の道の駅・藍ランドうだつにも参りました。うだつの町にはどの家にも風鈴が吊るされており、涼しい音色が聞かれました。
藍屋敷には干し藍をはじめ染料の藍ができるまでの品々が展示されていました。店頭には藍の花も栽培展示されていました。
この2日間のドライブでこんな句ができました。
海よりの新涼の風心地よく
新涼に百名店の饂飩屋へ
銭形を見下ろしをれば秋の蝉
海よりの風やはらかく秋の蝉
瀬戸の海波一つ無く爽やかに
爽やかな浜風津田の松原に
胡蝶蘭飾られてゐる道の駅
紅白の対で飾られ胡蝶蘭
風鈴のうだつの町の家毎に
家毎の風鈴の音の涼しさよ
藍商の屋敷大きな扇風機
藍商の屋敷干し藍展示して
店頭に藍の花咲く藍屋敷
少しづつ咲き店頭の藍の花
2023年7月19日
7月16日、17日の連休を利用して長男が帰省しました。長男は車が大好きで、私が次に買う新車はこれにしたらとアドバイスしてくれていました。
新車は注文して一年後のこの6月末に届きました。このことを報告すると私も乗ってみたいからと帰って来たのです。
16日の日曜日。快晴でした。私と妻は長男の運転でドライブしました。善入寺島の向日葵を見に行きました。善入寺島は吉野川の中州で日本一広いと言われています。
昔は人が住んでいたのですが、今は田んぼと畑になっています。この畑に向日葵が咲いているのです。広大な畑の向日葵は今では夏の風物詩となっています。
善入寺島へは潜水橋を渡って行きます。狭い農道を通っていかなければなりません。長男は上手に運転していきました。
善入寺島で向日葵を見た私たちは清水峠を越えて香川県に入り、丸亀市で香川名物の饂飩をいただきました。
そのあと、栗林公園に参りました。この公園は国の特別名勝に指定されている文化財庭園の中で最大の広さを持っています。
公園には外国人の観光客の姿も見られ池を巡る舟遊びが人気を呼んでいました。
この日のドライブでこんな句ができました。
善入寺島なる中洲日輪草
太陽にいつも顔向け日輪草
日本一広い中洲の日輪草
向日葵を見んと潜水橋も行き
向日葵の黄色が視野の果てまでも
青空と真白き雲と向日葵と
睡蓮の池より広き園巡る
睡蓮の池に亀ゐてすっぽんも
天然の滝ぞ栗林公園は
滝落ちて我に冷気の心地よく
公園の池から池へ舟遊
外つ国の人に人気や舟遊
鯉の餌の麩を持ちアイスクリームも
群がれる鯉を見つめてゐる日傘
茶店では氷の旗をなびかせて
足取りを軽くさせたる氷の字
2023年7月10日
静岡大学浜松キャンパスの同窓会である浜松工業会の全国支部長会が4年ぶりに母校で開催されました。四国支部長を務める私も参加させていただきました。
会議では、昨年開催された100周年記念総会の詳細な報告もあり、静岡大学と浜松医科大学の統合・再編についての近況報告もありました。
また各支部からの報告も行われ、活動を活性化するために活発な意見の交換も行われました。支部長会終了後には大学の生協の食堂で懇親会も開催されました。
私は昨年の100周年記念総会に続いて浜松に来ることができた機会を活用して支部長会の前日にはともに青春時代を過ごしたヤマハの同期生と浜松名物の鰻をいただきながら旧交を温めました。
また、支部長会の翌日にはヤマハの60年前の上司ご夫妻と私が宿泊したホテルの日本料理店で会食懇談しました。上司ご夫妻とは長年にわたって家族ぐるみでお付き合いしているのですがこの日も話が弾みました。
2泊3日の浜松の旅でこんな句ができました。
豊葦原瑞穂の國の田を植ゑる
新幹線右も左も青田かな
新幹線青田の中をまっしぐら
鰻池今はソーラーパネル張り
養鰻業減れど鰻は浜松と
浜松に来て旧友と食ぶ鰻
傘寿打ち揃ひ鰻重平らげる
鰻重の鰻大きくたっぷりと
六十年ぶりの母校の緑濃く
母校の木どれも茂りて大緑蔭
玄関の蘇鉄も緑鮮やかに
贈られしプールに今日も水泳部
雨止みて西日明るき神戸港
青竹の茂り緑の淡路島
梅雨霧の鳴門海峡すっぽりと
2023年5月6日
連休に帰省した長男の運転する車で2日に倉敷市の美観地区、3日に小松島市の日の峰山と徳島市の大神子海岸、4日に姫路市の姫路城と3日続けて観光してきました。
倉敷の美観地区には大勢の観光客が来ていました。外国人の姿も散見されました。イタリアで修業してきた方が開店したレストランでいただいたピザはとても美味しかったです。
美観地区の川端柳は若葉が美しく、観光船からの眺めを楽しむ人もいました。大原美術館の創設者となる大原孫三郎さんの私邸兼迎賓館として1928年に誕生した有隣荘も特別公開されおり、拝見しました。
小松島市の日の峰山では展望台から小松島港や大神子海岸、そして淡路島までよく見えました。吉野川や新町川に完成したばかりの高速道路の橋も眺めることができました。
姫路城は修復工事が終了して初めて行ったのですが白鷺城の白さが際立って見えました。城内には歌舞伎の舞台も建ち上っていて幟が薫風にそよいでいました。
今回の旅行でこんな句っができました。
煉瓦塀覆ひ尽して蔦若葉
青柳そよぐ川辺に二人して
両岸に若葉の柳並木かな
若楓美しき倉敷美観地区
風薫る倉敷の町舟で行く
洋館に真っ赤や躑躅群れ咲いて
犇きて咲ける躑躅の白であり
海渡る橋に五月の空青く
新緑の山より下界眺めもし
鶯を背に淡路までよく見えて
連休を家族で初夏の海岸で
松林キャンプの人もちらほらと
みどりの日白鷺城を木陰より
白鷺城五月の晴に真白かな
初夏の日に城の白さの極まりぬ
大手門前にビールと穴子めし
薫風に歌舞伎の幟立つお城
緑陰で登城されたる人を待つ
眠る子と大樹の陰にみどりの日
天守閣見ゆるお濠で舟遊び
遊船の客の笠なる夏帽子
海峡の大橋越えて燕来る
大橋の花壇に躑躅金盞花
2023年4月15日
私は4月の2日から11日にかけ美馬市脇町のデ・レイケ公園や北島町のチューリップ公園、鳴門市の観音寺と阿波市土成町の神宮寺の牡丹、美馬市脇町の広棚の芝桜を鑑賞してきました。
こんな句ができました。
並ぶとは美しきことチューリプ
オランダは自転車の国チューリップ
オランダの風車懐かしチューリップ
チューリップ何色が好き赤が好き
白もまた美しき色チューリップ
オランダは山を見ぬ国チューリップ
バブル生みたるはこの花チューリップ
チューリップ運河を訪ひし日の遠く
デ・レイケの堰見ゆ岸辺チューリップ
その先に風車も見えてチューリップ
デ・レイケの堰ある川辺桜散る
チューリップ畑の中に散る桜
六十種五万本てふチューリップ
ログハウス風車も出来てチューリップ
カタカナの名札ばかりやチューリップ
これがまあてふものもありチューリップ
年毎に増える新種やチューリップ
家族皆来て楽しめるチューリップ
チューリップ畑に子らは走り出す
年配の夫婦は椅子にチューリップ
私らが植ゑたと木札チューリップ
畝毎に競ひて咲けるチューリップ
原色といふ美しさチューリップ
一巡しも一度赤いチューリップ
今日よりの牡丹祭りの牡丹見る
我独り初日の牡丹見て回る
初日より咲き満ちてゐる牡丹かな
住職も今年の牡丹早咲きと
雨の日の牡丹は午後も生き生きと
大輪の牡丹の凛とあでやかに
百五十種四百五十株の牡丹かな
牡丹咲き塵一つ無き朝の寺
晴れの日の牡丹の金の蕊光る
日の差してまぶしかりけり白牡丹
遠目にも際立ちをりし白牡丹
赤い牡丹白い牡丹と見て回る
庫裏の庭までも牡丹の続く寺
犇きて咲ける牡丹に犇ける
戻り来て同じ牡丹に見入りをり
ちらと見し赤い牡丹をしかと見る
とりどりの牡丹それぞれ美しく
百種三百五十株なる牡丹
三姉妹皆で育てし芝桜
総理より表彰されし芝桜
煙草畑今一面の芝桜
何たって除草除草よ芝桜
仰ぎ見て眼下にも見て芝桜
青空の戸口にまでも芝桜
日当りて影の無かりし芝桜
芝桜まつりはこれでお仕舞と
傘寿なほ好きで育てる芝桜
芝桜育てることが生き甲斐と
2023年4月1日
私は3月26日に徳島市の徳島中央公園で雨の日曜日の桜を祖谷の句友の皆さんとともに吟行しました。3月27日には晴天となった勝浦町の桜まつりに足を伸ばしました。3月29日には神山町のしだれ桜を見て来ました。この日も絶好のお花見日和となりました。
この三日間にこんな桜の句ができました。
花咲けど人来ぬ雨の日曜日
城中の桜を一つづつ巡る
濠の上までも迫り出し咲く桜
濠にまでしだれ咲き満つ桜かな
満開の桜を雨に独り占め
とりどりの桜の色でありにけり
美しき若葉をつけしこの桜
垂るるほど犇めき咲ける桜かな
雨の日のしだれ桜のしつとりと
ほんのりと紅差すしだれ桜かな
花冷えの城山巡り花巡る
咲き満ちてゐてもお花見できぬ雨
雨の日の桜を独り見て歩く
ゆつくりと花見る雨の日曜日
日本の野球に見惚れ桜見る
お花見の平和な日本いつまでも
出し物も揃へてさくら祭りかな
桜見てフラダンスも見る祭り
釣り堀もあるてふさくら祭かな
川沿いの桜並木に店も出て
満開の桜が川の両岸に
咲き満てるさくら祭りの桜かな
舟下りしながら桜眺めもし
舟からのお花見子供にも人気
順番を待って乗り込む花見舟
お花見の舟にも救命胴衣して
滝のごとしだれてしだれ桜かな
青空を透かししだるる桜かな
地に触るるほどにしだるる桜かな
やはらかにしだれしだるる桜かな
しなやかにしだれしだるる桜かな
満開のしだれ桜のあでやかさ
とりどりの色美しき糸桜
里山にしだれ桜の咲き競ふ
青空にしだれ桜のくつきりと
日本一しだれ桜を咲かさうと
花の下結婚式の前撮りも
お花見に丸太の椅子も用意され
2023年3月13日
NPО法人である蜂須賀桜と武家屋敷の会の皆さんがコロナ禍のためにできなかったお花見会を四年ぶりに再開しました。今年は徳島市の中央公園の助任川南岸のみの開催ですが3月11日から12日にかけて午前10時から午後4時まで行われました。
私は11日は助任川南岸の蜂須賀桜の並木路を歩きました。大勢の方々がお花見に来ていました。蜂須賀桜と武家屋敷の会の皆さんからコーヒーをいただき、用意された椅子に座ってゆっくりと満開の蜂須賀桜を鑑賞させていただきました。
12日には徳島市内の原田家住宅の蜂須賀桜を見て来ました。原田家住宅は武家屋敷でありこの日は部屋の窓が開かれていて山茱萸の花が飾られていました。
原田家住宅の庭にある大きな蜂須賀桜は明治維新の折、この桜を愛してきた蜂須賀の殿様から、育てるようにと原田家がお預かりしたものと伝えられています。
毎年、花を咲かせていますが、今年も見事に咲き満ちていました。見上げるほどの大樹となり、次々に来る人が満開の蜂須賀桜を四方から撮影していました。
この桜が蜂須賀桜の母樹となり、挿木して増えた苗木が徳島県はもちろん日本中にそして海外にまで運ばれ、蜂須賀桜を咲かせていると聞きました。
原田家住宅の蜂須賀桜を見た後、私はもう一度、助任川南岸の蜂須賀桜を見に行きました。この日も大勢の人々がお花見に来ていました。
外国人の姿も見受けられました。助任川を行く観光船からお花見をする人たちもいました。記念撮影のお手伝いをするカメラマンもいました。
どの人も早咲きの蜂須賀桜を見て、一足早く来た春を楽しんでいるようでした。お花見のできる平和な日本が本当にうれしくなりました。
この二日間でこんな句ができました。
いそいそと四年振りなるお花見に
川面まで赤く蜂須賀桜咲く
咲き満ちて赤き蜂須賀桜かな
お花見のできる平和のありがたく
花嫁も花婿も来るお花見に
朱に染めて蜂須賀桜咲き満てる
青空に赤き蜂須賀桜かな
船からも水の都のお花見は
早々と咲きて蜂須賀桜かな
早咲きの桜に小鳥鈴生りに
早咲きの桜に人も鳥も来て
母樹となる蜂須賀桜聳え立ち
蜂須賀の殿の愛せしこの桜
蜂須賀の世をさながらの桜かな
戦災も生き抜きて来し桜咲く
この桜見んと来る人絶え間なく
四方から仰ぎて眺むこの桜
2023年3月7日
徳島県勝浦町で第35回ビッグひな祭りが2月25日から3月31日まで開かれています。私は3月5日に勝浦町にある人形文化交流館まで出かけてゆっくりと鑑賞してきました。
私は第1回目のビッグひな祭りにも参加しました。風の強い日で受け付けのテントが膜れ上がるほどだったことを今でもよく憶えています。
あれから35年。このひな祭りは多くのボランティアの方々に支えられて発展し続けてきました。今では展示される雛人形は3万体を数え、毎年、人口5000人の町に3万人の観光客が訪れるイベントとなっています。
2016年には全国のひな祭り振興団体を集めた「ひな祭りサミット」の開催や平和とスポーツの祭典である「リオ五輪」での展示を行い、2021年の「東京五輪」でも雛人形の展示をしてきました。
今年のテーマは「美女と野獣」。勝浦町は町内の古い地層から恐竜の化石が相次いで発見され恐竜の町としても知られるようになりました。そんなことから雛人形とともに恐竜のモニュメントも会場に展示されていました。
会場では毎日のように様々なイベントがあり、人形浄瑠璃の公演や化石発掘体験なども行われていました。徳島県に避難してきたウクライナの家族を会場に招待して友好を深める催しもされていました。
広い会場にはお茶席もあり、ボランティアの方々が淹れてくださった抹茶や桜餅をいただきながら雛を鑑賞することもできました。
お茶席ではボランティアの方々からこのひな祭りを続けて来られた苦労談をゆっくりとお聞きすることができ、私にとって思い出深いひとときとなりました。
この日、こんな句ができました。
雛人形三万体のひな祭り
ビッグひな祭り今年三十五回目と
ひな祭り見んと三万人が来る
恐竜の町美女と野獣のひな祭り
人形の浄瑠璃も見て雛も見て
品の良き笑みたたえゐる古雛
選ばれし三万体の雛飾る
三万の雛を箱から出し飾る
丁寧に保ちて来たる雛飾る
子供らも混じり総出で雛飾る
とりどりの光を浴びし雛の顔
ウクライナから来し人も雛を見に
お茶席も設へビッグひな祭り
お抹茶を頂きながら雛を見る
泣き上戸一人をりけり仕丁雛
お澄ましの雛より仕丁雛が好き
見るほどに味あるお顔仕丁雛
仕丁雛ばかりを眺め雛巡る
どの顔も面白かりし仕丁雛
仕丁雛喜怒哀楽のお顔かな
表情の豊かなりけり仕丁雛
2023年2月17日
雛人形の変遷をたどった「ひな人形の世界」が今年も徳島市の徳島城博物館で開催されています。
私は昨年、俳句結社「祖谷」の皆さんとともに吟行しました。江戸時代以降の雛人形や関連資料などが飾られ、説明員がついて丁寧な解説をしてくださいました。
展覧会では江戸後期の「立雛」をはじめ、座った形で観賞用として豪華になった「享保雛」や公家の装束を再現した「有職雛」、目玉にガラスを使った「古今雛」などさまざまな様式の雛人形が並んでいました。
私はこの時の吟行でこんな句を作りました。
五節句の故事より雛を語らるる
天冠にガラス鏤め古今雛
首傾げゐるも御洒落や古今雛
贔屓雛引目鉤鼻おちよぼ口
丸顔は次郎左衛門雛かな
狆を曳く官女雛の柳腰
小さきてふ贅もありけり芥子雛
雛段の天児に涙らしき跡
東光斎玉翁作の内裏雛
雛祭守住貫魚の四季図掛け
欠けしもの何一つ無き雛飾
その中に泣き上戸なる仕丁雛
古い雛人形にはそれぞれに味わいがあります。最近、我が家にも神奈川県の友人から飾ってみませんかと今は飾ることのなくなった古雛を送ってくれる人がありました。
早速、宅急便の梱包を解いて我が家に飾ってみました。こんな句ができました。
飾りくれますかと届く古雛
飾りしは一度切りてふ古雛
古雛なれどお顔の若々し
色白で見目麗しき古雛
雪洞を灯せば雛のかしこまる
雪洞を灯してこその雛飾
もうすぐ三月。どこのご家庭でも雛飾りをされるかと思いますが、我が家では初めて雛飾りをしました。
2023年1月16日
新年あけましておめでとうございます。今年もたくさんの方々から心温まる年賀状をいただきました。ありがとうございました。
初暦めくり傘寿の日をめくる 私はこんな句を新年に詠みましたが、この一年を元気に過ごしてまいりたいと思っています。
昨日は小正月でありましたが、私の所属する俳句結社の祖谷では徳島市内の渭水苑で新年句会を開催しました。
この句会にはいつもの句会とは違って男性も多く参加されました。女性の方々も晴れがましく集われました。
参加者は18人でしたが、岩田公次主宰を囲んで小正月の美味しい料理をいただいた後、新年句会を開催しました。
出句は五句.互選も五句。どの句も選びに選び抜かれた句ばかりで緊迫感のある新年句会になりました。
私はこの日、こんな句ができました。
門松の立つ料亭で初句会
一番に来て門松の門くぐる
門松の脇に正月飾りかな
葉牡丹を芯に正月飾りして
屋敷まで正月飾り続く道
小さくとも正月飾り勢あり
老松に寄り添ふように実万両
日の差して赤の極まる実万両
庭園の岩抱けるかに実万両
遠目にも赤美しき実万両
庭園の箒目にある淑気かな
箒目の一際美しき小正月
山茶花のこぼれては咲き続く庭
山茶花を散らしてゆきし昨夜の雨
寒鯉の固まり合ひて動かざる
ぢつと見てをれば寒鯉動き出す
寒鯉の一つ動けば三つ四つと
寒鯉の水を蹴立てて走り出す
庭園を見てより新年句会へと
小正月ですと繭玉飾られて
繭玉に触れて大玄関に入る
雑煮も出女正月の日の句会
はじかみを添へて鰆の菜種焼き
数の子もごまめ雑煮も出る句会
小正月どなたも健啖なりしかな