2019年

2019年12月28日

 

 今年もあと3日となりました。齢をとるほどに一年の過ぎ行く速さを実感します。今年もいろいろありましたが、この12月には記念すべきことが二つありました。

 

 一つは12月1日に徳島市にある黒崎楽器の4階ホールで開かれた「大人のサロンコンサート2019」でピアノ演奏したことです。このコンサートではヤマハ音楽教室でピアノとエレクトーンを学ぶ10人のメンバーが日ごろの練習の成果を披露しあいました。

 

 私が孫とともにヤマハ音楽教室でピアノを習い始めたのは2018年の2月でしたからこの12月で1年と10か月になります。いつまでたってもなかなか上達しませんが担当の先生は根気強く教えてくださっています。

 

 この日、私が演奏したのはショパンの「ノクターン第2番変ホ長調」と担当の先生と連弾したフォスターの「スワニー川」です。ショパンの曲を選んだのはポーランドを訪問した時にショパンの生家を訪ねる機会があり、ショパンの曲に心を惹かれたからです。

 

 演奏は何か所か間違ったところがあったのですが、会場の皆さんは大きな拍手を送ってくださりとてもうれしかったです。連弾も少し間違いましたが先生のフォローで弾き終えることができました。

 

 もう一つの記念すべきことは12月22日に藍住町のユニスタイルとくしま北で開かれた「大人のクリスマスコンサート2019」でピアノ演奏したことです。このコンサートにはヤマハ音楽教室でピアノ、エレクトーン、トランペット、サクソフォンを学ぶ大人25人が出演しました。

 

 ここでも私はショパンの「ノクターン第2番変ホ長調」を演奏し、フォスターの「スワニー川」を担当の先生と連弾しました。このコンサートは前回をリベンジしたいと練習を重ねてきた成果もありほぼ完ぺきに弾き終えることができました。担当の先生からも「よかったね」と褒めていただきました。

 

 私がピアノを習い始めた動機はもう50年以上前のことになりますが当時勤めていたヤマハの独身寮にあったピアノを上手に弾いていた同僚を見て私もいつかピアノが弾けるようになりたいと思ったことにあります。

 

 10年ほど前に習い始めたことがあるのですが中断していました。2年ほど前に自宅の近所にヤマハ音楽教室ができたことを知り孫とともにピアノを本格的に学ぼうと決意した次第です。

 

 決意が揺らがないように新しいピアノも購入しました。一か月に2回のヤマハ音楽教室ですが、家ではできるだけ毎日ピアノを弾くように努めています。ピアノの演奏は私にとって初めての挑戦ですが新しいことに挑戦できるのは嬉しいことだと思っています。

 

 昨年はベートーベンの「エリーゼのために」に挑戦しました。今年はショパンの「ノクターン」に挑戦しました。さて来年はモーツアルトの「トルコ行進曲」にでも挑戦しようかなと小さな夢を膨らませています。

2019年12月1日

 

 日本伝統俳句協会の四国支部俳句大会が11月24日、高松市でありました。私も徳島の俳句結社である祖谷の皆さんとともに参加しました。ここでは高松港の近くにある薔薇園や史跡高松城跡(玉藻公園)などで吟行して三句を出句しました。

 

 大会では互選の後、選者の選が発表され募集句とともに特選句三句が発表されました。徳島県の方々の句も選出され大会は大いに盛り上がりました。

 

 大会の終了後、祖谷の私達は岩田公次主宰をはじめ9人で小豆島に一泊吟行しました。宿泊は土庄町の小豆島国際ホテル。ここでは引き潮になると島と島をつなぐ径ができることで有名なエンジェルロードが宿泊した部屋の窓から見えました。

 

 夕食も小豆島の海の幸山の幸が並ぶ会席料理を堪能しました。名物の小豆島の素麺は食べ放題で素麺が茹で上がる度に大きな声で案内がありました。

 

 翌日は午前中に紅葉の名所である寒霞渓に上り、ロープウエイで渓谷の紅葉を思う存分楽しみました。ロープウエイを下るときも上るときも絶景が見られました。前日の日曜日はロープウエイに乗るのに2時間待ちだったそうですが私達は待つことなくスムーズに乗ることができました。

 

 寒霞渓から下山した後、私の大学時代の同窓生である株式会社タケサンフーズの富田孝之輔社長の案内でオリーブ園に参りました。オリーブ園では永井順也社長が出迎えてくださり、小豆島でなければ食べられないこの園名物の醤丼を美味しくいただきました。

 

 昼食の後は富田孝之輔社長の案内でタケサンフーズの工場を見学しました。ここでは醤油の元になる諸味を製造する諸味蔵などを見学。綺麗に清掃された工場の中を約一時間にわたって案内していただきました。

 

 このあと醤の郷に向かいました。ここでは醤油の香りが町中に立ち込んでいました。醤油の工場を改築した「一徳庵」で醤油や佃煮、オリーブオイルなどのお土産を買いました。

 

 富田孝之輔社長には昼食を御馳走になった上にお土産までいただき、祖谷のメンバーは心から感謝していました。ありがとうございました。

 

 今回の吟行でこんな句ができました。

 

おむすびのやうなお山も粧ほひて

落ちしもの一つもなくて木守柿

駅毎に残る柿ある高徳線

風痛みせずに凛々しき冬薔薇

冬帽を忘れ園出し人は誰

薔薇園に忘れられゐし冬帽子

園ぬくし冬帽忘れしは誰ぞ

黒鯛の跳ねるお城の菊花宴

石垣と松の緑と菊花展

年寄りは無料お城の菊花展

冬霧の島の灯りの頼りなく

猪の泳ぎ渡りてくる島と

猪の瀬戸の島々渡るてふ

島つなぐ径に潮満ち鴨渡る

鴨渡るエンジェルロード潮満ちて

見るうちに潮満ち鴨の渡りゆく

紅葉散る中を我らのバスは行く

霧晴れて洗はれしごと冬紅葉

渓谷に綾なす錦寒霞渓

山頂駅下りたるそこに笹子鳴く

大綿の一つの消えてそれっきり

渓谷を埋め尽くしたる冬紅葉

赤と黄の緑綾なす冬紅葉

赤と黄を極める緑冬紅葉

絶壁の谷を埋めて冬紅葉

断崖の谷底までも冬紅葉

パノラマの野山の錦果てしなく

ゴンドラの下界紅葉の大斜面

紅葉また紅葉の山を下りて来し

曲がる度上がる歓声冬紅葉

鈴生りのオリーブの実の地まで垂れ

完熟のオリーブの実の艶々と

オリーブの実のこんなにも落ちし朝

オリーブの落果つぶせばクリームに

オリーブの落果つぶして手に頬に

諸味蔵出でれば冬日の暖かく

小春日の諸味の桶の黴の香よ

小春日の醤油の町の香りかな

2019年11月21日

 

 久しぶりに東京に行く機会がありましたので家内とともに深大寺の新蕎麦を堪能してきました。深大寺の門前にはたくさんの蕎麦屋さんがあります。私が初めて深大寺に連れて行っていただいたのは22歳のときでした。入社間もない私を東京の先輩が自家用車で連れて行ってくださいました。

 

 当時自家用車を持っている人は少なかったのですが、先輩は素晴らしいスポーツカーで連れて行ってくれました。仕事のよくできて格好のよい素晴らしい先輩でした。ごちそうになった深大寺の蕎麦のおいしかったことはもう50年以上前になりましたがよく覚えています。

 

 今年は新蕎麦をいただいた後、深大寺の境内を散策しました。尊敬する高浜虚子の句碑と石像もありました。「遠山に日の当たりたる枯野かな」の句が刻まれていました。句碑の周りに植えられた花芒が句碑の風情を醸し出していました。

 

 渋谷にできた渋谷スカイにも参りました。新築のビルは渋谷駅にあり、屋根のない屋上に登りますと360度全く視野を遮るものがない東京の風景が楽しめます。私たちが参りました日は絶好の小春日和に恵まれ、屋上では寝転んで日向ぼっこをしている外国人もたくさん見られました。

 

 目の下に広がる東京の街は高層ビルが建ち並び、高速道路を行く車が豆粒のように見えました。渋谷のスクランブル交差点も直下に眺められました。出来上がったばかりの東京国立競技場もよく見えました。

 

 正倉院展が開かれている上野の国立博物館にも参りました。皇室が守り伝えてきた正倉院の世界が天皇陛下即位記念特別展としてと展示されたのです。博物館に入場するまでに2時間かかりましたが、鏡や椀、琵琶など貴重な美術品の数々を見ることができました。

 

 今回の旅行でこんな句ができました。

 

新蕎麦は深大寺へと今年また

深大寺門前に来て新蕎麦を

門前の蕎麦の老舗の菊の花

江戸の世に創業なりし新蕎麦と

無患子の大樹青々深大寺

葉と葉との間に無患子顔を出し

虚子詠みし枯野の句碑に花芒

虚子しのぶ小春日和の深大寺

小春日の東京の街見下ろして

後光差すやうに冬日の雲間より

天空のビルに冬日の暖かく

眼の下の渋谷の街に差す冬日

正倉院展へ樫の実踏みもして

冬空を二時間待ちて見る展示

正倉院の世界へ木の実踏み

秋の日を正倉院展見て過ごす

正倉院展出れば秋の日暮れてをり

正倉院の琵琶見し小春の日

2019年10月15日

 

 徳島市とポルトガルのレイリア市の姉妹都市提携50周年を記念してレイリア市を訪問する訪問団の副団長として10月5日から13日まで妻とともにポルトガルを訪問してきました。

 

 5日深夜、エミレーツ航空で関西国際空港を出発。約10時間後、ドバイに到着。約3時間かけてトランジットした後、エミレーツ航空でドバイ発。約8時間後にリスボンに到着。日本からリスボンには約21時間。ポルトガルは今もなお遠い国であることを実感しました。

 

 6日、リスボンに到着した私達はサンタアボロニア駅から一等車で約3時間かかってポルトへ。ポルトは9年前に日本・ポルトガル修好条約締結150周年を記念してジャパンウイークが開かれ参加した懐かしいポルトガルの古都です。

 

 ここで2泊して市内を見学。ポルトを象徴するドン・ルイス一世橋はフランスのエッフェル塔を設計したエッフェルが設計したことで知られています。この橋の架かる両岸でポルトガルワインの老舗であるサンデルマンワイナリーを見学したり、リベイラ地区でのショッピングを楽しみました。

 

 8日には世界遺産で欧州一歴史のあるコインブラ大学のある学生の街・コインブラに移動して2泊。宮殿の施設からできているカステロ国立博物館や有名なコインブラ大学の図書館を見学しました。

 

 レイリア市招待の夕食会は古城の見えるホテルで開かれました。ここでは民族衣装で伝統のダンスで披露していただいた後、ファティマに住む日本人の音楽家が美しい歌声で私たちを歓迎してくれました。ファティマには9年前に訪問したことがあり話が弾みました。

 

 9日には午前中に徳島市の新町小学校と姉妹校であるレイリア第6小学校を訪問。140人の小学生や幼稚園児と懇談して楽しいひとときを過ごしました。

 

 午後はレイリア市役所を訪問。ロペス市長はじめ大勢の人々から歓迎の挨拶を受けました。在ポルトガル日本国大使館からは新美潤大使が出席され両市の姉妹都市交流が50年間も続いてきたことを祝福しました。

 

 この後「とくしま通り」の新プレートの除幕式、モラエスのポストカード展示会などを見学したあと夕食。夜はミゲル・フランコ劇場で「あわ工芸座」一行が人形浄瑠璃「傾城阿波の鳴門 巡礼歌の段」を上演。娘に母であることを名乗れない辛さを見事に歌い上げました。また「戎舞」ではポルトガル名物の鰯を釣り上げ大きな拍手喝采を受けました。

 

 人形浄瑠璃は翌10日、リスボンのドン・ペドロ5世高等学校でも上演され「親子の情愛には国境がない」と称賛する声も寄せられました。徳島で余生を送ったモラエスの旧居は坂の上にあり、ケーブルカーに乗って訪問してきました。

 

 夜は在ポルトガル日本大使公邸での夕食会に招かれ、新美大使自身のご配慮で鳴門の日本酒をはじめ大西洋の黒鮪などの鮨が用意され、懐かしい日本の味を堪能しました。

 

 11日は路面電車に乗ってリスボン市内を観光した後、ユーラシア大陸最西端のロカ岬まで足を伸ばしました。ここでは最西端に来た証明書をいただき、世界遺産であるジェロニモス修道院、ベレンの塔、発見のモニュメントも見学しました。

 

 12日にはエミレーツ航空でリスボン発、ドバイ経由で13日に関西国際空港に到着。遠藤彰良徳島市長の待つ徳島市役所で解団式をしました。

 

 今回のポルトガル旅行でこんな句ができました。

 

お月見をして来し月のリスボンに

爽やかな風来る高架鉄道に

古都の川染めゆく秋の夕焼かな

月の夜のポルトの街の明るさよ

ワイナリー巡ればそぞろ寒くなる

澄む水にワイン運びし舟浮かぶ

焼栗の香に誘はるる屋台かな

水青く秋空青き古都なりし

古都の空キャンパスにして鰯雲

丸焼きの鰯旨かり鰯雲

爽やかな青いタイルの駅なりし

秋の旅タイルの描く歴史も見

大学の街は白亜や秋高し

金平糖生まれし街に秋惜しむ

伝統のダンスも見たる秋の旅

秋空に子らの歓声届きさう

菊植ゑて日本に姉妹都市ありと

レイリアに古城ありけり秋高し

娘に母と名乗れぬ辛さ身にぞ入む

身に入みる話に国境なかりしと

ジャカランタ帰り咲きをり遠目にも

刑務所に帰り咲きゐるジャカランタ

リスボンは坂多き街秋深し

坂上がり秋の風吹く高台へ

モラエスの旧居も訪ね秋深し

モラエスの旧居に冬日暖かく

招かるる大使公邸秋麗

圧巻は大西洋の黒鮪

リスボンの空の青さよ鰯雲

秋の日に赤い煉瓦の美しく

行く秋や観光客の絶え間なく

教会のばったの像に冬日濃し

霧晴れてここは地の果てロカ岬

ユーラシア大陸果てて冬の波

航海王子エンリケの像秋高し

秋晴や大航海の勇者像

街灯の暗きリスボン冬近し

夜の更けてコートの客の多くなる

飛行機の窓ヒマラヤの雪も見て

ヒマラヤの氷河も飛行機の窓に

2019年9月16日

 

 日本伝統俳句協会の全国俳句大会が大阪でありました。徳島からは岩田公次さん、吉田有子さんと私の三人で参加しました。今回は第30回を記念する俳句大会であり、地元の大阪を中心に広いホテルの会場を埋め尽くすほどの盛況ぶりでした。

 

 大会前日の9月14日には四天王寺、浪花七坂、真田山などを吟行しました。私たちも四天王寺にタクシーで駆け付けましたが、大阪の残暑は厳しく小一時間ほどで吟行を切り上げ、近くのアベノハルカスまで歩き、屋上の庭園で休憩しました。

 

 屋上の庭園は綺麗に整備されていて四方の眺めも良く、大阪城まで眺望できました。庭園には紫式部が植えられていて色づいていました。植え込みの中からは虫の音も聞こえてきました。

 

 ホテルに帰って風呂に入って汗を流した後、前夜祭に出席しました。ここでは上方舞が奉祝され山村流六世宗家家元の三代目山村友五郎の舞を堪能しました。この日はちょうど十六夜でもあり、大きな月がかかっていました。

 

 15日の俳句大会の午前中にも吟行の機会があり、ホテル近くの生國魂神社の芭蕉の句碑を見てきました、芭蕉の月の句碑を十六夜の月を眺めた翌日に見ることができたのは感慨深く思いました。

 

 全国俳句大会は参加者全員の互選、選者選、汀子選と続きました。私たちは時間の関係もあり、途中で会場を後にしました。

 

 来年は福岡県で開催されることが決定しました。吟行地は令和の元号の起源となった万葉集の大伴旅人の梅花の宴で有名な大宰府の坂本八幡宮で行われるとのことです。今から参加を楽しみにしています。

 

 今回の全国俳句大会の吟行でこんな句ができました。

 

山峡にさ緑まぶし竹の春

街中に秋の風吹く大伽藍

大伽藍巡ればそよと風は秋

新涼の日本最古の寺静か

秋空を仰ぎ五重塔仰ぐ

虫すだくアベノハルカス屋上に

屋上に庭園のあり虫すだく

屋上の庭に紫式部かな

十六夜の今宵上方舞の宴

山村流宗家の舞や月の宴

月を観て翁の月の句碑を見る

一隅に小さき句碑あり虫すだく

寺巡り腰を下ろせば風は秋

2019年8月15日

 

 今日8月15日は令和になって初めて迎えた終戦記念日です。8月6日の広島原爆の日、8月9日の長崎原爆の日に誓った不戦の決意を改めて確認し合いたいと心から思います。

 

 私たちはかけがえのない多数の人々の生命を奪い、多大な損害を与えた愚かな戦争を深く反省し、戦後の74年間を平和国家として過ごしてきました。

 

 しかしながら現在の国際情勢は世界各地で対立や分断、紛争が絶えません。世界中が強い緊張感に覆われています。

 

 対立や緊張を生んでいるのは、自国の利益ばかりを優先させる自国中心主義的な動きや大衆迎合主義による排他主義がまかり通っているからではないでしょうか。

 

 こうした傾向は第二次世界大戦後、世界に広がってきた「多国間協調」「対話による平和志向」の大きな流れと逆行するものです。戦争の歴史を経験してきた人々が生み出してきた英知の活動を断絶させるものにほかなりません。

 

 日本国憲法の「恒久平和主義」と「国際協調主義」こそ現今の混迷する世界の灯台となるべきです。この素晴らしい憲法を持つ国として日本こそ粘り強い対話によって多国間協調の実績を生み上げていく使命があります。

 

 平和への最重要課題に核廃絶があります。2017年7月に国連で核兵器禁止条約が採択されました。私は核兵器を違法とした同条約を画期的な国際規範であると心から賛同し評価します。唯一の核被爆国として日本も進んで賛同すべきです。

 

 その上で日本は同条約に反対の核保有国と非保有国の対話ができる環境を整える役割を果たすべきです。そうした対話により核廃絶に向けて具体的に核軍縮を進めていく共通の基盤を作り出していくことが重要です。

 

 さらに戦争の温床となる貧困や人権侵害との戦いも不可欠です。国連の「持続的な開発目標」に掲げられた「誰も置き去りにしないために」の実現に世界中の政治家は率先して努力すべきです。

 

 8月は改めて恒久平和を誓い合う月であると私は思っています。太平洋戦争で海軍の一兵として南太平洋の島々で惨憺の日々を過ごし復員してきた父。戦後、食べるものにも事欠く貧困生活を逞しく乗り越えてきた母。両親の墓参でも私はそのことを心から誓いました。 

2019年7月23日

 

 第25回参議院議員選挙は21日に投開票され、自民、公明の与党両党が改選過半数の63議席を上回る71議席を獲得しました。安定した政権の運営を国民が望んだ結果と言えるかと思います。

 

 公明党は7選挙区で擁立した公明党候補7人が全員当選し、比例区でも7議席を獲得しました。合計で改選11議席から3議席増の14議席となりました。

 

 非改選と合わせた新勢力は28議席となり、1977年の参議院議員選挙で達成して以来の過去最高議席に並びました。

 

 全国屈指の大激戦区となった兵庫選挙区をはじめ福岡選挙区、愛知選挙区、埼玉選挙区、神奈川選挙区、大阪選挙区、東京選挙区。そして比例区を応援してくださった全国の支持者の皆様のご奮闘に心から感謝申し上げます。

 

 自公連立政権は20年目を迎えますが、政権内で公明党の果たす役割は一層重要になっています。政治と政権の安定とともに幅広い民意を政策決定の過程でどう反映するか。地域に根を張る公明党ならではのメットワークを生かして生活者の目線に立った政治を行うことを国民は期待しています。

 

 公明党は今回の参議院議員選挙で「小さな声を聴く力」を掲げて選挙戦を戦いました。公明党には全国に約3000人の「議員のネットワーク」があります。これをさらに強化して全議員の力を結集して国民のための政治を展開してほしいと思います。

 

 今回の参議院選挙で残念なことが一つだけあります。それは投票率の低さです。全国で48.8パーセント。有権者の半分以上が投票していないのです。それはどうしてなのか、これは政治家全員が考えなければならないことです。

 

 今の政治に関心がない。魅力を感じない。誰が当選しても政治は変わらないのではないか。そんな国民ばかりになってしまっては大変です。民主主義の主権者である国民をそんな気持ちにさせている政治家の責任はまことに大きいと言わざるを得ません。

 

 もう一度政治に瑞々しい活力を取り戻してほしいのです。国民の目の前で国民のために真面目でダイナミックな政策の論争をしてほしいのです。国民の琴線に触れる真剣な国民のための政治を展開していただきたいのです。

 

 次の国政選挙は間違いなく来年か再来年に行われる衆議院選挙です。これは政権を選ぶ選挙です。国民が関心を寄せる選挙、投票率が上がる総選挙となることを心から期待しています。

2019年6月7日

 

 恒例の衆議院議員会館での前議員総会と記念講演会並びに衆議院議長公邸での記念撮影と衆議院議長主催の懇親会が6月5日に開かれましたので上京して来ました。

 

 上京の機会にいつも吟行する皇居の東御苑にも足を伸ばしてきました。東御苑は菖蒲園の花菖蒲が咲き始めて大勢の観光客が詰めかけていました。

 

 東御苑に入って最初に出合った風景はこの日の訓練が終わったパレード用の馬車が引き上げていく場面でした。

 

 各国の大使が信任状を持参して天皇陛下に捧呈する儀式のときに使用する馬車です。また天皇皇后両陛下のパレードの際にも使用されることがあります。その馬車が日々鍛錬されていることを知り、その姿に出合えたことはまことに幸運なことでもありました。

 

 ところで東御苑の花菖蒲の見頃は6月1日から30日までとされていますが、菖蒲園に行ってみるとすでに9分咲きの花菖蒲も数多くありました。今年は開花が少し早いようでした。

 

 菖蒲園を見に来ている人々の中には外国人も大勢いましたが、特に西洋人の姿が多くみられました。団体旅行ではなく個人旅行で日本の伝統的な風情をじっくりと楽しんでいる様子がうかがえました。

 

 東御苑の菖蒲園は私の特に気に入っている菖蒲園です。綺麗に手入れされた菖蒲園には塵一つなく、流石に御苑ならではの感じがあります。

 

 株毎に名札が付けられている花菖蒲は一本として傾いているものがありません。花菖蒲の色彩も御苑ならではの清楚なものばかりが並んでいるのです。

 

 菖蒲園に引き込まれている水も清らかです。外国の人たちもそんな日本ならではの風景が気に入っている様子で静かに鑑賞している姿が印象に残りました。

 

 今回の旅行でこんな句ができました。

 

露霧の彼方に富士の浮かぶ海

鍛錬の御苑の馬車に風涼し

いよいよに艶やかなりし汗の馬

雨模様なる日生き生き菖蒲園

九分咲いて盛りなりけり花菖蒲

巡り来てやはり紫花菖蒲

濃き淡き紫並ぶ菖蒲園

傾ぐもの一つとてなき菖蒲園

揺るるもの一つとてなき菖蒲園

清らかな水や御苑の菖蒲園

御苑かな塵一つなき菖蒲園

九分咲きも二分咲きも好し花菖蒲

その中に際立てる白花菖蒲

色競ひいずれも清楚花菖蒲

清楚なる色や御苑の花菖蒲

外つ国の人と御苑の菖蒲園

外つ国の言葉飛び交ふ菖蒲園

2019年5月7日

 

 4月30日に天皇陛下が退位され、平成の時代が終わりました。5月1日には皇太子殿下が天皇陛下に即位され、令和の時代が始まりました。

 

 元号が平成から令和に変った今年のゴールデンウイークは10連休となり、各地の行楽地では連日大賑わいとなりました。

 

 我が家でも4月28日に長男の家族が帰省して以来、次男、三男と家族連れで来宅して総勢16人の大家族でこのゴールデンウイークを過ごしました。

 

 その中で、私は4月30日には牡丹の花で有名な阿波市土成町の神宮寺を吟行、平成最後の句会となった「かもじま句会」に参加しました。

 

 令和元年の初日である5月1日は家内や孫たちとともに岡山県倉敷市の美観地区まで参りました。また5月2日には鳴門海峡の観潮を家族とともに楽しみました。

 

 5月3日には子供たちに誕生日の前祝までしてもらいました。5月5日にはヤマハ時代の上司から遠州森の新茶を送っていただきました。

 

 長い連休が終わり元の静けさが帰ってきた我が家ですが、子供たちが家族全員元気に集まって来てくれたことにしみじみと感謝しています。

 

 この連休中にこんな句ができました。

 

牡丹の残花に残る夜半の雨

平成の御世を見届け牡丹散る

牡丹散る矢来の牡丹咲き続く

牡丹散りあやめの色の際立ちぬ

あやめ咲く寺となりゐし牡丹寺

遍路来る苗代寒に身をすくめ

退位の日普段の通り遍路来る

平成は今日で終りと草の餅

牡丹散り果て平成の世の終る

庫裏裏へ小手鞠の花咲ける道

木戸口を入れば小手鞠咲き満ちて

張る水に影を映してあやめ咲く

水田の畔に群れ咲くあやめかな

ゆったりと舟ゆったりと糸柳

両岸に川端柳続く町

雨上がり躑躅の色の際立ちぬ

貫禄の大球形の躑躅かな

中庭に小手鞠の咲く茶房かな

黒塀に小手鞠の白極まりぬ

海鼠壁並ぶ川端青柳

風止めど揺れの止まらぬ柳かな

大渦に行きつ戻りつ観潮船

春潮を蹴立て観潮船の行く

観潮の船のデッキに人あふれ

大渦の際の際まで観潮船

遠州の新茶はやばや届く朝

上司より送り下されたる新茶

石松の遠州森の新茶なる

新茶汲み遠州の日々懐かしむ

真心の新茶いただくありがたさ

新茶汲む一滴たりとこぼさずに

2019年4月15日

 

 4月13日に新宿御苑で開かれた安倍総理主催の「桜を見る会」に今年も御招待をいただきましたので、10日から14日まで上京しました。

 

 10日には羽田に着いた後、銀座の高速道路の下にある食堂街でタイ料理を屋台で賞味しました。ここではタイばかりでなくベトナムの料理もありました。国際化が一段と進んでいることを実感しました。

 

 11日には関越道で秩父に参りました。途中の高坂サービスエリアでは残雪の富士が遠望できました。秩父市では樹齢600年のしだれ桜で有名な清雲寺を見学しました。しだれ桜は散りかけていましたが、滝のようにしだれ落ちるしだれ桜には迫力がありました。

 

 秩父市から少し足を伸ばして秩父郡小鹿野町にある道の駅・両神温泉薬師の湯にも入ってきました。道の駅に温泉があるのは珍しいと思いますが、しっとりとした結構なお湯でした。

 

 12日には明治記念館で旧友の皆さんと食事を共にして旧交を温めました。話に花が咲いて3時間半の懇談会になりました。この後、明治神宮外苑にある聖徳記念絵画館を見学しました。

 

 13日は「桜を見る会」に出席しました。好天に恵まれ牡丹桜も見頃で盛大なお花見になりました。公明党の太田昭宏衆議院議員ともお会いすることができ、記念撮影もしていただきました。「桜を見る会」のあとは上野のアメ横や新橋を散策しました。

 

 14日は国営昭和記念公園でチューリップを鑑賞しました。桜も残っていてチューリップとの競演が見事でした。この記念公園は返還された米軍の基地を市民に開放したものですが緑が豊かで四季折々の風景が楽しめます。家族連れで一日遊べる公園としても親しまれています。

 

 4泊5日の小旅行でこんな句ができました。

 

はるかにも残雪の富士くっきりと

真白なる富士の残雪輝きて

六百年しだれ咲き継ぐ大桜

貫禄の秩父のしだれ桜かな

晴男自負の総理と桜見る

晴天となりお花見の盛り上がる

観桜会終り始まるお花見も

チューリップ群れて咲き満つ園広し

原色といふ美しき色チューリップ

真白とは際立てる色チューリップ

庭園の果ての果てまでチューリップ

花屑の流るる岸辺チューリップ

咲き満てるこの迫力はチューリップ

チューリップ園誰も彼もがカメラ持ち

木の茂る丘を敷き詰めチューリップ

川面にも色を映してチューリップ

ムスカリと色競ふごとチューリップ

2019年3月10日

 

 恒例の蜂須賀桜のお花見会が今年も3月9日から始まりました。9日、10日は蜂須賀桜の母樹がある原田家住宅で行われ、11日には助任川の寂聴桟橋対岸で行われます。

 

 蜂須賀桜は江戸時代、徳島城御殿に植えられていた桜で、明治の初年、第14代藩主・蜂須賀茂韶(もちあき)公が家臣の原田一平に移植し育てるように託したと伝えられています。

 

 元東京農大教授染郷正孝博士の調査で寒緋桜と日本固有の山桜との交配種と考えられ、蜂須賀桜と命名されています。この桜の花びらは上品なピンク、開花時期が早く花の見ごろが長いのが特徴です。

 

 母樹は徳島市の原田家住宅(武家屋敷)(国登録有形文化財)の庭にあります。この地に移植されてすでに140年が経過しています。樹齢は250年と推定されています。

 

 NPО法人「蜂須賀桜と武家屋敷の会」が蜂須賀桜の苗木の普及や武家屋敷の管理などを行っています。

 

 蜂須賀桜は徳島県内ではすでに5000本が県庁や徳島城公園、鳴門公園、祖谷のかずら橋周辺をはじめ動植物園、公園、大学、諸学校、会社、堤防、駅、神社、寺院、遍路道など各所に植えられています。

 

 県外では大阪城、四天王寺、京都下賀茂神社、豊国神社、大阪陸軍墓地、各地自衛隊、写楽の墓がある越谷市の法光寺などに植えられています。海外ではバチカン宮殿内庭園などに植樹されています。

 

 今回のお花見会もNPО法人「蜂須賀桜と武家屋敷の会」の皆さんのボランティアで開催され、たくさんの人で賑わいました。

 

 こんな句ができました。

 

蜂須賀の世より伝はる桜咲く

咲き満ちて蜂須賀桜紅殊に

一本の桜に人の押し寄せて

和装して武家屋敷へとお花見に

青空にピンクまぶしき初桜

菜の花の庭に大きな桜咲く

桜見て日本舞踊もお抹茶も

俯きて咲ける蜂須賀桜かな

花の紅幹黒ければいよいよに

焼夷弾落ちし跡にも桜散る

花吹雪武家の屋敷の茶席まで

上品なピンク蜂須賀桜らし

雨の日の蜂須賀桜真っ赤なる

雨の日は蜂須賀桜垂れ咲く

雨降ればいよいよ赤き紅桜

蜂須賀桜咲けば市長も知事も来て

2019年2月5日

 

 節分の日の2月3日、祖谷のふれあい句会が徳島市眉山町大滝山にある「滝のやき餅屋」の本店・和田の屋で行われました。この和田の屋はモラエスが愛した黄花亜麻が咲き競う茶屋としてもよく知られています。

 

 午前10時頃、私たちは寺町にある上崎暮潮さんの句碑を訪ねたりした後、和田の屋周辺を散策して吟行しました。この近辺には蜂須賀の藩主が愛飲した錦竜水をはじめたくさんの湧水があり、古い石段を上ると芭蕉や其角の苔むした句碑が立っていました。

 

 野水仙や山茶花に交じって梅もちらほらと咲き始めていました。古い歴史が刻まれた眉山の北の裾野で私たちは近づく春の気配を存分に味わうことができました。

 

 和田の屋の庭にある白糸の滝の周辺には黄色くてかわいい花が咲き競っていました。黄花亜麻です。この花は11月の中旬から3月の上旬にかけて咲き続けるようですが、この日はまさに満開の様子でした。

 

 白糸の滝の水を引いた池には寒鯉が元気よく泳いでいました。今年は池の水が暖かいのでしょうか。こんなによく動く寒鯉を見たのは初めてでした。

 

 和田の屋の2階には雛が飾られていました。私たちはその隣の部屋でお寿司をいただいた後、抹茶と名物の滝のやき餅もいただきました。

 

 滝のやき餅は天正13年、蜂須賀家政が阿波25万石の国主として徳島城を築城した時、その祝いに献上して以来、歴代藩主の御用菓子として愛用されてきたと伝えられています。

 

 焼きたての「滝のやき餅」は香ばしく美味しかったです。やき餅をいただいた後、その場で句会が始まりました。私はこの日こんな句を授かりました。

 

梅を見て芭蕉其角の句碑も見て

ほつほつと梅咲く芭蕉句碑の上に

志士之碑に座して一服梅探る

節分の日の句座滝のやき餅屋

黄花亜麻咲き雛飾るやき餅屋

正面に黄花亜麻見る二月句座

黄花亜麻見上げ二月の滝仰ぐ

滝茶屋の池の寒鯉よく動く

滝落つる池の寒鯉元気よく

やき餅を食べて始まる二月句座

雛の間を横目に句会始まりぬ  

2019年1月5日

 

 新年あけましておめでとうございます。今年は5月1日に新天皇が即位することが予定されている改元の年ですが、天候にも恵まれ穏やかなお正月を過ごすことができました。

 

 2日には平成に入って最多の15万4800人が皇居を訪れ、天皇ご在位中最後の一般参賀が執り行われました。

 

 一般参賀は午前中に3回午後に2回の計5回行われる予定でしたが、午後に2回増やして計7回行われました。宮内庁は6回目でいったん終了の案内をしたのですが、続々と入門してくる人たちを見た両陛下が7回目を行う判断をされたそうです。

 

 4日には安倍晋三首相が年頭記者会見に臨み、5月1日の皇太子さまの新天皇即位に伴って改める新元号について4月1日に閣議決定して現天皇が公布。5月1日の新天皇即位と共に改元すると発表しました。

 

 皇位継承前の新年号公表は憲政史上初めてのことですが「国民生活への影響を最小限に抑える観点から、先立って4月1日に発表する」とした安倍首相の判断はよく理解できます。

 

 我が家では今年も3人の息子たちが家族と共に集い、賑やかな年末年始を過ごしました。私たちには8人の孫たちへのお年玉に加えて4月に小学校に入学する2人の孫、中学校に入学する1人の孫への入学祝と大変でしたが嬉しい散財もさせていただくお正月でもありました。

 

 次の再会は4月から5月にかけての10連休。お互いに自分自身の目標に挑戦して一歩成長した姿で集い合うことを誓い合いました。

 

 この年末年始にこんな句ができました。

 

去年今年去年今年とて数へ喜寿

見ゆるもの何も変らず年変る

電子辞書新しくして年迎ふ

改元の年穏やかに明けにけり

変らねど変りて見ゆる初景色

太陽の光やさしき初景色

平成を惜しみ新年参賀へと

平成の御代の最後の年賀へと

七回も新年参賀に応へられ

老友の今年限りと云ふ賀状

大家族なりし正月母の味

手作りの料理の並ぶお正月

箱で買ふ林檎と蜜柑お正月

待ちに待ちをりし正月早や四日

子ら去にて元の二人となる四日

正月に閉店セールする店も

お歳暮の解体セールレジに列