2025年4月10日

 

 4月6日の日曜日、俳句結社・祖谷の吟行句会が上勝町の月ヶ谷温泉で行われました。この日は朝、徳島駅まで温泉のバスが迎えに来てくださり、バスの運転手さんが勝浦町や上勝町の桜の名所を案内してくださった後、吟行地の温泉に送ってくれました。

 

 最初にバスが停車した上勝町の道の駅は「よってネ市」という愛称で愛されている産直市があります。店頭に鮮やかなミモザの花が売り出されていました。

 

 次に停車したのは上勝町の正木ダムの下にある集落の実家でいろいろな花を咲かせておられる方の庭園を見学させていただきました。

 

 庭園でまず目に飛び込んできたのはよく手入れされたチューリップ園です。遅速無く咲き揃ったチューリップを取り囲むように桜が咲き満ちていました。

 

 庭園の奥には山吹がしだれ咲く崖もあり、囀りがあちらこちらから聞こえてきました。まるで別天地にいるような気分になりました。

 

 上勝町には桜の名所が多くありますが、一番すごいと感じたのは病院の横にある山の斜面を覆い尽くして咲いている枝垂桜でした。

 

 月ヶ谷温泉では下に流れる勝浦川の源流付近を散策しました。ここでは期待していた河鹿の声も聴くことができました。

 

 この日、私はこんな句が出来ました。

 

店頭にミモザの花の並ぶ市

朝の間に売れて仕舞し花ミモザ

チューリップ園にも桜桜かな

遅速無く咲き揃ひたるチューリップ

連翹としだれ桜と青空と

連翹と白と赤なるこの桜

苔の道行き山吹の茂る崖

山吹のしだるるやうに咲ける崖

鶯をこぼるる花を浴びながら

花吹雪越しに鶯鳴くを聞く

しだれ咲く桜の幹の太さかな

中空を飛び行く落花ありにけり

飛花落花とはこんなにも艶やかな

花吹雪く中に動かぬ黒き幹

しだれ咲く花のこぼるる中にゐる

花万朶渓染め地染め山染めて

桜咲き彼岸桜も合はせ咲く

河鹿なきゐると両手で〇の字を

連呼するやうに河鹿の迎へくれ

桜見る旅の仕上げの桜餅

山菜の炊き込みご飯旨き宿

2025年4月3日

 

 3月の28日から30日まで長男と次男の家族とともに愛知県の南知多町内海のホテルに2泊して愛知県の各地に旅行してきました。

 

 今回は仕事を休めないため、三男家族がこれなくて残念でしたが、家族12人で二泊三日の旅を楽しんできました。

 

 宿泊したホテルはご家族で経営しており、行き届いたおもてなしを受けました。知多半島の海で捕れたばかりの新鮮な活魚料理はとても美味しかったです。

 

 わたり蟹、鮑、伊勢海老、桜鯛の舟盛り、鯛めし、ステーキなどをいただきながら、皆で近況を語り合いました。

 

 第一志望の大学に合格した長男の次女を皆で祝福しました。私の退院を皆で祝ってもくれました。

 

 名古屋城は桜が満開でした。新しい御殿も完成していて大勢の観光客で賑わっていました。インドをはじめとする外国人観光客の多いことに驚かされました。

 

 名古屋市の中心市街地である栄の新しい中日ビルや三越百貨店にも行きました。花冷えの一日となりましたが楽しい時間を過ごしました。

 

 常滑市は陶器で有名な街ですが、陶器の専門店が並ぶセラモールや陶器の会社のミュージアムにも足を延ばしました。半田市では芽柳の美しい川べりを眺めました。

 

 今回の旅行でこんな句ができました。

 

鰻重を御馳走になり桜見に

花人で賑はってゐる名古屋城

清正の幟も立ちて花の城

天守閣見てお花見も楽しまん

雪洞の揺れて咲き満つ桜かな

外つ国の人らとともに桜見る

お花見の出店の並ぶ名古屋城

満開の桜の下で憩う人

天守閣一回りして桜見る

名古屋城見て満開の花も見て

わたり蟹鮑と旨し知多の宿

入学と退院祝ふ知多の旅

ミュージアムへと雪柳咲く道を

ゆつたりと揺れてしだれて雪柳

春風の歴史を刻む煙突に

木瓜の花真つ赤や陶器の美術館

伊勢海老も虎河豚も出る知多の宿

名物の桜の舟盛り鯛めしも

芽柳の萌黄色なる温かさ

芽柳のふつくらとまたほつこりと 

2025年3月19日

 

 蜂須賀桜と武家屋敷の会のお花見会が今年は3月8日と9日に徳島市の助任川南岸と原田家住宅で行われました。

 

 寒さが厳しかったせいでしょうか。昨年より一週間遅く開催したにもかかわらず、寒風の中で蕾の蜂須賀桜を見るお花見会になってしまいました。

 

 それでも原田家住宅の蜂須賀桜の母樹は二部咲きになっていて見応えがありました。原田家住宅では期間中、安達流の華道展が開催されており私も見てきました。

 

 昨年に続いて両会場には投句箱が設置されていました。昨年の入選句が張り出さていてそれを眺めながら俳句を楽しんでいる人たちも散見されました。

 

 一週間後の16日には俳句結社・祖谷の吟行句会が両会場でありました。この時は原田家住宅の母樹の蜂須賀桜は満開になっており、助任川南岸の蜂須賀桜も七分咲きになっていました。しかしながら冷たい雨が降り続き、お花見にも来る人はまばらでした。

 

 お花見会と吟行句会でこんな句ができました。

 

退院の出来て蜂須賀桜見る

二年目の蜂須賀桜投句会

入選句展示されある花見かな

寒風の中の花見となりにけり

三代の家族揃ひて見る桜

蕾から赤き蜂須賀桜かな

ほのと咲き赤き蜂須賀桜かな

植ゑし人そこにゐるかに桜見る

植ゑし人皆で語りて桜見る

植ゑし日を昨日のやうに見る桜

あの人もこの人も逝き桜見る

孫たちに囲まれて見る桜かな

川べりは花の名所となりにけり

蜂須賀の桜の母樹の大きかり

蜂須賀の時代いかにと桜見る

大戦を耐えて蜂須賀桜咲く

焼夷弾落ちたる庭に桜咲く

一本の桜に人の絶え間なく

次の世を担う子らも来桜見る

幹太き母樹の蜂須賀桜かな

一本の桜に鳥来る人も来る

一本の桜に名士次々に

外つ国の賓客までも来る桜

川からのピアノも聞きて桜見る

船からのピアノも聞こへ桜見る

そこそことほころぶ花を教へられ

見るほどにほころぶ花の増えにけり

二分咲きて赤き蜂須賀桜かな

仰ぎ見る母樹の蜂須賀桜かな

桜見て華道展にも足運び

落椿浮かべてありぬ玄関に

雛壇に添へてありしは桃の花

この桃も小さき花を付け初めし

こじんまり活けられゐるは黄水仙

床の間の桃も小さき花つけて

連翹と椿の赤と雪柳

菜の花とほころび初めし桃の花

江戸の世を今に伝へし桜咲く

二百歳と聞く蜂須賀桜咲く

咲き満てる母樹の蜂須賀桜かな

満開の蜂須賀桜見て嬉し

一本の桜に人来る鳥も来る

手入れさる庭に蜂須賀桜かな

薔薇の芽の小さき棘に降る小雨

犇ける白木蓮の蕾かな

雨の日の蜂須賀桜赤殊に

七分咲き蜂須賀桜らしき赤

春寒の公園鳩も丸くなり

落椿真っ赤や城の搦手に

雨に濡れ赤瑞々し落椿

2025年2月2日

 

 美馬市脇町のうだつの町並みにある吉田家住宅では華道家の假屋崎省吾さんの「うだつをいける~花のひなまつり~」が1月19日から3月9日まで開催されています。假屋崎省吾さんのこの催しは今年で17回を数えるということです。

 

 私は昨2月1日、行ってきました。入場料を払って吉田家住宅の展示場に入ると広い邸内には1階にも2階にも雛が飾られ、豪華な花嫁衣裳の打掛が飾られ、豪快で繊細な假屋崎省吾さんならではの華道展となっていました。

 

 今回は~花のひなまつり~の副題が付けられているように私には華やかな雛祭りを見に来ている感じがしました。

 

 飾られた雛人形の一つ一つに刻まれた歴史を感じながら展示ごとにゆっくりと鑑賞させていただきました。

 

 吉田家住宅は1792年からの歴史を刻む藍商の館であり、美馬市の指定文化財になっています。館の壁にはうだつの街の歴史が絵で描かれており、三味線餅つきやお正月の初売りの様子、そして阿波木偶まわしで賑わう正月風景などが生き生きと今に伝えられていました。

 

 今回の吉田家住宅の訪問でこんな句ができました。

 

艶やかな打掛に添へ実南天

金銀の打掛まぶし実南天

花やかな打掛の前雛飾る

雛壇は花また花に飾られて

吊るし雛壇の雛と飾られて

可愛くて美しきかな雛の顔

二階への階段にまで雛飾る

お優しいお顔でおわす内裏雛

賢さうなお顔でありし内裏雛

お若かき美男美女かな内裏雛

このごろの雛壇の雛可愛らし

このごろの雛の顔は幼顔

雛壇の雛にハートの花飾り

飾られしハートの中に内裏雛

弓矢持つ随身雛の凛として

仕丁雛沓台待ちし泣き上戸

脇町に三味線餅つきなる歴史

三味線に合はせ餅つき楽しまん

脇町の正月風景絵に残る

正月に阿波木偶まはし来しと絵に

2025年1月4日

 

 皆様、新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。私は新年をふるさと徳島県で迎えました。

 

 正月の一日には初日の出を見た後、家族揃って北島町で新年勤行会に出席。この一年の家族全員の健康と幸せそして世界の平和を祈りました。

 

 その後、鳴門市のホテルで新年会をしました。このホテルでの新年会はこのところ恒例となった感がありますが、初凪の鳴門の海を眺めながら美味しいイタリア料理をいただきました。

 

 料理をいただいた後は、会場を移して喫茶を楽しみました。会場から見えるホテルの広い庭園の木々は綺麗な冬紅葉になっていました。

 

 ホテルを出た後、自宅で少し休憩して皆で買い物に出かけました。私は二人の孫とともに藍住町のショッピングモールに行きました。ここで獅子舞と出合いました。元旦に獅子舞に出合えたことは嬉しいことでした。

 

 元旦と二日を11人の家族で過ごした後、三日には長男の運転する車で室戸岬の海を見に行きました。

 

 途中で高知県の白浜海水浴場にある道の駅・東洋町で土佐の取れ立ての鮪が盛られたランチをいただきました。

 

 室戸岬では最初に岬の道路際にある三階建ての展望台に登って太平洋を眺望しました。そのあと、室戸スカイラインから室戸岬の燈台に参りました。

 

 室戸岬の燈台までは室戸スカイラインの駐車場から登りと降りの山道を歩きました。登りの道は険しかったですが、道路際にキバナアマが咲いているところもあり、いい思い出になりました。

 

 燈台からは視界270度で太平洋が展望されました。ちょうど日没が始まっており、私たちはたくさんのカメラマンとともに落暉の瞬間をカメラに収めることができました。

 

 こうして過ごした正月にこんな句ができました。

 

正月を家族揃って健啖で

正月を家族で過ごす楽しさよ

初鏡する子に育ち待たさるる

冬紅葉眺めながらの談弾む

元旦に一年の計語り合ふ

ふるさとの川を染め上げ初明り

初明り浮寝の鴨にやさしかり

蓮の田のこふのとりへも初明り

ふるさとの海染め上げて初日の出

初日の出見たとの知らせ次々に

獅子舞のショッピングモール踊り抜け

獅子舞を面白がる子怖がる子

初旅は室戸岬の海を見に

南が恵方と決めてただ走る

初春の南の海の優しかり

初旅は土佐の鮪をいただきて

正月の太平洋の長閑さよ

のんびりと土佐の正月楽しまん

初旅は視野一杯の太平洋

初凪の室戸の海の静けさよ

初凪の鯨の海の真つ平

初凪の太平洋の見渡さるる

初凪の室戸の漁港鎮もりて

灯台へキバナアマ咲く道を行く

正月の光り眩しきキバナアマ

初春の太平洋の青さかな

正月の灯台真白に輝きて

正月の海染めて上げてゐる入日

正月の室戸岬の落暉かな

日落ちれば大寒燈の燈台に

太平洋までも寒燈送る崎

寒灯の灯らぬ家の多き里

寒灯を見ぬ道なれど国道と