今月の俳句

2024年2月

ふるさとの歌作りしと初便り

ふるさとの山河を歌ひ春を待つ

あっぱれな年の始めでありにけり

坪庭に三つ四つ五つ蕗の薹

水仙の四つ並んで咲きにけり

何たって生が一番寒卵

小豆島醤油一滴寒卵

卵かけ醤油を少し寒卵

炊き立ての御飯最高寒卵

黄身二つありてめでたし寒卵

放し飼いしたるを選び寒卵

ぷりぷりの黄身でありけり寒卵

やはらかき日差にまぶし猫柳

門前にせせらぎのあり猫柳

活けられてなほも艶やか猫柳

かはいいと皆に触られ猫柳

水音のかすかに聞こえ猫柳

猫柳触れれば仄と温かし

ぎんねずの控へ目が好き猫柳

青空へぽつりぽつりと梅咲きぬ

梅咲いて寺訪ふ人の増えて来し

青空へ咲き初む梅の白さかな

剪定をされたる梅の花大き

剪定のされし梅林勢あり

春菊はささっと入れてさっと煮る

好き嫌ひあれど菊菜は香りかな

金縷梅何でそんなに縮れ咲く

満作は枯葉大事と咲きにけり

まづ咲くと云ふ満作の咲き初めし

満作の咲きてもうじき一年生

満作の松の廊下のありし地に

満作の町見下ろして咲きにけり

コロナではないです春の風邪ですと

立春の一位当選めでたけり

春立つ日一位で町議会議員

春立つ日見事一位で初当選

春立つ日青年議員誕生す

春立つ日子の旧友が議員へと

新人が一位当選春立つ日

あっぱれや一位当選春立てり

雛段の雛を囲みて吊し雛

高々と雛段の雛飾られて

様々な願ひ込められ吊し雛

手作りの情のありけり吊し雛

鳴門かな詰め放題の新若布

新若布詰め放題と聞くからは

鳴門産牡蠣にも人の押し寄せて

新若布牡蠣と見る間に売れ尽くし

新若布詰め放題に長き列

若布牡蠣ともに完売昼までに

新若布入りのふるまひ汁も出て

新若布牡蠣で祭となる鳴門

ウィスキーボンボンバレンタインの日

孫からもチョコ来るバレンタインの日

義理チョコのバレンタインの日は遠く

その人は知らねどバレンタインの日

春一に船戻り来る戻り来る

春一の恐さを語る老漁師

黄花亜麻大事に育て句碑の春

黄花亜麻句碑を囲みて咲き競ふ

句碑囲み幸せ招く福寿草

日を浴びて開き始めし福寿草

忘れらる日干しの蛙鵙の贄

生殺与奪句碑の辺にあり鵙の贄

日の差せど菰に隠れて寒牡丹

隠れん坊してゐるやうな寒牡丹

句碑の辺に白梅紅梅濃紅梅

句碑の辺に今年も出でし蕗の薹

句碑の辺は土筆に薺犬ふぐり

紅梅は枝も芯まで赤かりし

万両の赤に見惚れて足止まる

紅白の万両句碑を守るかに

水温み目高の親子すいすいと

幕上がる春の選抜出場と

雨に濡れ椿の花に勢あり

句碑よりも少し離れて椿咲く

秩父かな雪の武甲の朝焼けは

朝焼けに輝く雪の武甲山

早春の武甲はなほも雪乗せて

春を呼ぶおきざり草のまぶしさよ

おきざり草春はそこまで来てをりぬ

2024年1月

うっすらと初冠雪の眉山かな

徳島の初雪夕べには晴れて

一年のあっといふ間や去年今年

年毎に速く過ぎゆき去年今年

戦争の無き世を願ひ年迎ふ

辰年に願ひを託し年迎ふ

手作りの小さき門松並ぶ市

小さくとも門松らしく凛として

寒風の仕上げてくれし吊し柿

やはらかく甘く仕上がり吊し柿

正月の道後温泉賑はひて

初売の道後の町の華やかさ

初売の街ぶつからぬやう歩く

初旅は伊予の名所を駆け足で

初旅は内子座にまで立ち寄りて

西伊予の初旅魚尽くしかな

好きなだけ蜜柑どうぞとあるホテル

冬晴の宇和島駅の明るさよ

冬晴の宇和島駅の椰子仰ぐ

松山へ土佐へ行こうか乗初めは

宇和島の駅の綺麗な松飾

正月の四万十川のゆったりと

水澄める四万十川の青さかな

冬日差す足摺岬灯台に

正月の光真白き灯台に

初旅の遠く足摺岬まで

新年を足摺岬より始む

初旅は丸い水平線も見て

初旅ははるか黒潮見ゆ岬

野路菊のへばりつくかに咲く岬

野路菊も見て寒椿咲く岬

冬晴の太平洋の明るさよ

正月の太平洋の青さかな

寒晴にジョン万の像高き岬

初春や土佐は偉人の多き国

門松の立てる鳴門の菓子屋へと

買初めのひっきりなしに来る老舗

歳の数なるは遠き日雑煮餅

塗碗を出していただく雑煮かな

雑煮餅一つで足りる歳となり

子供らの食べっぷりよき雑煮餅

子ら去にて四日の雑煮ゆつくりと

大正の芝居小屋にも松飾り

産直の市の門松蜜柑付け

餅花の柳の枝のよく撓る

料亭の表玄関餅の花

撓るほど花餅つけて客迎ふ

繭玉のふはりふはりと吊されて

繭玉の一つが回ってをりにけり

繭玉の捩れ戻して吊しけり

餅花の咲ける如くに飾られて

女子会と云ふ女礼者の集ひかな

皸の昭和も遠くなりにけり

普段着の女礼者でありにけり

スーパーで女礼者と鉢合ひぬ

霜焼は見れど皸見ぬ令和

皸の子を見ぬ令和の小学校

皸の血が包帯に滲み出て

寒椿咲き満つ端にある岬

寒椿くぐり足摺岬へと

寒椿へばりつくかに咲く岬

寒椿野路菊競ひ咲く岬

天狗の鼻なる岬にも寒椿

橙の転がってゐるどんど跡

爆竹の音凄まじく炎立つ

石庭の箒目にある淑気かな

箒目に踏むをためらふ淑気かな

寒鯉の底にちっとも動かざる

阿呆息災と云ふ長老も初句会

初句会和服のありて花やかに

門松の竹に瑞気のほとばしる

小さくとも正月飾凛として

手水鉢にも正月の飾りかな

浴びるほど日差を集め実万両

枯山水紅一点の実万両

寒晴の枯山水の明るさよ

色とりどりなるもめでたし繭の花

繭花を見れば触れてもみたくなり

美しき花も飾られ初句会

初めてといふ人も来て初句会

初句会全ての料理平らげて

健啖を確かめ合ひて初句会

喜寿傘寿米寿白寿も初句会

新春を祝ひて駅に蘭の花

駅頭に春を先駆け蘭の花

大寒波能登の地震の被災地に

寒波来る命からがら逃げし身に

何もかも失ひし身に寒波来る