今月の俳句

2026年7月

ショッピングモール七夕飾りして

短冊に秘め事書きて吊るしをり

葉を見れば確かに松葉牡丹かな

葉は松か花は菊かな松葉菊

アフリカ産松葉菊かな夏が好き

太陽に真面なりけり松葉菊

松葉菊なるはこの花夏の花

待ちかねし雨に紫陽花蘇る

雨滴置く紫陽花の葉の瑞々し

梅雨晴れにアガパンサスの清々し

梅雨に咲くアガパンサスの凛として

雨後の白美しき半夏生

庭先に小さけれども半夏生

里山に白の極まる山法師

庭木とし育ててをりぬ山法師

こふのとり巣立つ徳島モラエス忌

ジャカランタ咲ける徳島モラエス忌

ほととぎす眉山に鳴けばモラエス忌

モラエス忌来れば徳島梅雨明ける

孤愁とはファドの心よモラエス忌

モラエス忌修し皆んなでファド歌ふ

ポルトガルワインは甘しモラエス忌

焼餅もまた甘かりしモラエス忌

ケーブルで行きし旧居やモラエス忌

鰯焼くリスボンの路地モラエス忌

リスボンは坂の街かなモラエス忌

朝の日に凛々しかりけり古代蓮

梅雨明けてひろびろと咲く古代蓮

日を浴びて蓮の雨滴の光る朝

古代蓮咲いて人来る犬も来る

古代蓮見んと誰もがカメラマン

美しき紅の色かな古代蓮

青空の下一面の古代蓮

金の蕊眩しかりけり古代蓮

蓮田にはマムシ注意の札の立ち

青空に眩しかりけり古代蓮

千年の眠りから覚め古代蓮

古代蓮咲きて過疎地に人の来る

古代蓮咲きこふのとり巣立つ里

古代蓮育て自然を守らんと

古代蓮育て地球を守らんと

古代蓮咲かせ名所となりにけり

どつと来てもう止んでゐる夕立かな

川一つ渡れば止んでゐる夕立

吉野川渡り切る前夕立止む

夕立来る気配の雲となつて来し

土砂降りのもう青空となる夕立

さつと止む土佐の夕立の男ぶり

髭剃つて顔も洗つて髪洗ふ

髪洗ふドライヤーはいりません

夜濯し汗の一と日を締めくくる

夜濯し旅の初日を終りけり

明日も着るつもりのアロハ夜濯す

夜濯や軽装の旅楽しみて

土手刈ってあれども強き草いきれ

むつと来てよろけるほどの草いきれ

目の回りさうな臭ひや草いきれ

西の下の西日背にせし虚子の句碑

西の下に遍路の句碑に西日差す

モラエスの像は西日に向かひ立つ

西日にはサングラスして運転す

海月ゐる遊覧船の乗り場かな

薄暗き水族館に見る海月

宇宙遊泳してゐるやうな海月かな

がぶがぶと見ず飲むごとく西瓜食ふ

塩振ればいよいよ甘き西瓜かな

クール便なるマンゴーの重かりし

完熟のマンゴーとあり重かりし

熊本の友のマンゴー届く朝

朝一に届くマンゴー重かりし

完熟と云ふマンゴーの甘さかな

人の死す暑さとなりし大暑の日

青空に雲一つ無き大暑の日

人の死すほどなる暑さけふ大暑

2026年6月

庭中に酢漿草の花広がれる

酢漿草のこんもり茂り花数多

酢漿草の夕べの雨に花閉じて

酢漿草の花散るほどの雨でなく

酢漿草の雨滴を乗せて凛と咲き

酢漿草の昨日の雨に生き生きと

いよいよに酢漿草の花咲き満ちて

酢漿草の盛りの花の瑞々し

仙人掌の花の蕾のそこらじゅう

仙人掌の蕾日に日に膨らみて

仙人掌の蕾大きく膨らみて

仙人掌の蕾いづれも日に向かひ

仙人掌の蕾の赤くふつくらと

明日は咲きさうな仙人掌きつと咲く

ぱっと咲く仙人掌の花二十七

一と朝に咲き満てる仙人掌の花

爆発するかのやうに仙人掌の花

太陽を正面に仙人掌の花

はち切れんばかり仙人掌花開く

仙人掌の今日を限りと開く花

青空が好きと仙人掌花開く

仙人掌の花には棘の無かりけり

仙人掌の花美しく瑞々し

太陽を母に仙人掌花開く

仙人掌の今日を限りの花の彩

仙人掌の花に勢のありにけり

仙人掌の花に憂ひの無かりけり

仙人掌の花に希望をいただきぬ

紫の花菖蒲かな群れ咲きて

紫は貴き色よ花菖蒲

紫の菖蒲の花に気品あり

紫の菖蒲の花が特に好き

紫の菖蒲の花に見惚れゐる

花菖蒲と言へばやはり紫よ

これはまあ白い菖蒲の花なりし

紫の一本立ちの花菖蒲

群生の紫が好き花菖蒲

存分に見る紫の花菖蒲

仰ぎ見る夾竹桃の白い花

この白い花は夾竹桃の花

始まりは白でありけり七変化

紫の色の出て来し七変化

漬け方を書いて辣韮を売ってゐる

砂地なる鳴門の辣韮旨いよと

古漬のあるを知りつつ辣韮買ふ

大粒と小粒の辣韮買ってみる

守宮ゐしバスの始発の山の宿

屋根裏に守宮古宿守るかに

尻尾切り逃ぐる守宮を見しと聞く

大の字になり青芝に寝てゐる子

青芝は子らの大きなすべり台

青芝を踏んでゴルフをしたる日も

青芝と言へば寝転びみたくなる

醤油造る土蔵の黴を宝とし

醗酵と腐敗を語り黴語る

醤油屋は伝へ来し黴大切に

鯉よりも巧い鯰の泳ぎやう

清水にもこんな元気な鯰をり

鯰釣り蒲焼きにして食べたる日

旨かったですよ鯰の蒲焼きは

香りあり見上げて見れば栗の花

遥かより匂ひ来るなり栗の花

青臭く強き匂ひや栗の花

青芒掻き分け行けば斬られたり

青萱に触れ一の字の傷の跡

我が腕に残る傷跡青芒

太陽に怯まず真直ぐ青芒

青芒私もしゃんとしていかな

垣に咲く紫陽花の色増しにけり

色増せる紫陽花を見る楽しさよ

酢漿草は強き花かななほも咲く

咲き継げる酢漿草の花瑞々し

列なして花開きをり額の花

紫の色美しき額の花

鉢植の小さきも額の花ならん

小さくとも凛としてをり額の花

小さくとも品の好きかな額の花

ここもまた咲かせてをりぬ額の花

これもまた松葉牡丹と云ふけれど

葉を見れば確かに松葉牡丹かな

明日は雨明日こそ雨と濃紫陽花

紫陽花の雨待つ色でありにけり

2026年5月

ショッピングモールに泳ぐ鯉幟

二階から見下ろして見る鯉幟

東京の空の玄関五月晴れ

さわやかに昭和百年寿ぎぬ

長閑かな昭和百年なる日本

昭和百年を祝ひて夏に入る

寿ぎの初夏の東京大手門

懐かしき友と寿ぐさわやかに

頂きし紫蘭咲きけり我が庭に

紫蘭咲き庭の明るくなりにけり

甘き香や蜜柑の花の咲いてをり

犇きて咲くは蜜柑の花なりし

新緑の五色台より瀬戸の海

五月晴れ瀬戸大橋もよく見えて

鱏泳ぐ水の都の町川に

潮入の川に夏来ぬ鱏泳ぐ

薔薇園の甘き香りの中にゐる

薔薇の名は片仮名ばかりもう忘れ

春潮の鳴門の渦を目の下に

春潮の渦の広がる速さかな

そこらじゅう渦巻く春の鳴門かな

春潮の鳴門の渦の大きさよ

来合はせて春の鳴門の大渦を

巻き込まれまいと踏ん張る渦見かな

巻き込まれさうなスリルも観潮船

観潮船行き交ひをれど渦見えず

観潮の海鵜三匹見て帰る

観潮に来て平潮を見る我ら

春潮と云へど平潮渦は無し

観潮に来て石段を登るとは

観潮に来て平潮に出合ひたる

平潮の観潮船は静かなる

平潮の観潮船はのんびりと

潮見表通りの渦となりにけり

伊島までまっ平らなる夏の海

廣太郎迎へ徳島五月晴れ

母の日の緑清しき眉山かな

巡りたる薔薇の色香に酔ひにけり

一巡し薔薇を見てゐる人を見る

あれも好しこれも好かりと薔薇を見る

好きな薔薇探して園を巡る人

これこれと好きな薔薇へと誘はれて

一巡しも一度好きな薔薇を見る

忍冬の花や眉山の頂上に

忍冬の花の白さの遠目にも

母をふと山帰来の葉の柏餅

ふるさとは山帰来の葉の柏餅

柏餅大好きですと女の子

柏餅目当ての老舗混んでをり

柏餅一品だけの小商

堂々と正体見せろ根切虫

いかんぜよ隠れてするは根切虫

正体は知らねど憎き根切虫

卑怯とはお前の仕業根切虫

香り好く湯加減も好き菖蒲の湯

山の湯の子らに菖蒲湯プレゼント

香り好く疲れ吹き飛ぶ菖蒲の湯

朝の間の酢漿草の花生き生きと

夕べには酢漿草の花もう眠り

2026年4月

渦巻けば観潮船のどよめける

そこらじゅう渦巻く春の大潮よ

巻き込まれまいと踏ん張る渦見船

のけぞつてまた踏ん張つて渦見船

渦の巻く度に歓声観潮船

春潮の鳴門の渦に見惚れゐる

春潮の鳴門海峡目の前に

大渦の生まれ広がる速さかな

お互ひに手を振り合ひて観潮船

感動を乗せて観潮船帰る

春の旅ホテルの夕餉伊勢海老も

春の旅淡路牛なるステーキも

三年虎河豚を食べんと淡路島

なんたって鍋は三年虎河豚よ

子と孫と河豚鍋作る幸せよ

大家族揃ひ金婚祝ふ春

春の旅玉手箱なる朝食も

玉手箱明ければ春の香りして

花冷えの野外で淡路バーガーを

海沿いにお洒落なパン屋春日差す

玉葱は宿泊テント日脚伸ぶ

長椅子に寛ぎ春の日差し受く

イルカ見て春の連休過ごす子ら

春麗イルカ大きくジャンプして

春一と日乗馬楽しむ子らもゐて

ゆつたりと乗馬楽しむ春の旅

海沿ひのホテル窓から春日差す

春の旅酸素呼吸器にも慣れて

椅子並べ春の瀬戸内観られよと

淡路島一回りせし春の旅

瀬戸の海眺めてランチ風薫る

フルーツは苺苺の山盛りを

フルーツは苺と決めていただきぬ

春風や鐘打つ人の絶え間なく

磯遊び出来る処も作られて

春の旅大ブランコに集いもし

玉葱の形の椅子に春日指す

淡路かな春玉葱の発送も

石鎚のサービスエリアにて花見

お花見に立ち寄る人の途切れなく

公園の桜こんなに咲き満ちて

公園に桜咲き満つ明るさよ

音もなく始まってゐる花吹雪

花吹雪庭のバージンロードにも

海沿ひのホテルの庭で花見かな

お花見の用意されあるホテルかな

ゆつくりと椅子に座りて花見せん

仰ぎ見る花の中よりこぼる花

日本は平和と思ふ花見かな

日を浴びてしだれ桜の輝ける

お休みは今日でおしまひチューリップ

家族連れ年寄り仲間チューリップ

真っ白は子らの心やチューリップ

真っ赤なるチューリップみて口づさむ

白もまた口づさむ色チューリップ

黄色また口づさみみるチューリップ

紫のチューリップとは珍しき

尖りし花弁また好しチューリップ

桜見てチューリップ見て牡丹見る

牡丹見るなら朝の間に来られよと

牡丹咲く午後も凛々しくしなやかに

牡丹咲く午後となりても鮮やかに

日の陰にありし牡丹の美しく

生き生きとありし日陰の牡丹かな

捨てし物ばかりを使ひ鴉の巣

山葵田の覆ひの裏に小鳥の巣

針金も器用に曲げて鴉の巣

葱坊主並び一年生の行く

欄干の擬宝珠まさに葱坊主

モスクワの教会ここも葱坊主

種取るといふ気なけれど葱坊主

藍植うと畑の綺麗に均されて

藍が好きだから私も藍植うと

学びたく来てまづは藍植うと言ふ

藍植ゑてゐるは藍染学ぶ人

藍植うは根をしっかりと踏みつけて

一茶の句口づさみゐる雀の子

散らばってすぐ集まって雀の子

竹林に入ればぞろぞろ雀の子

土掘れば出て来し蛙痩せてをり

雨降ればぴよこんぴよこんと蛙の子

庫裏の池すいすいすいと蛙の子

お得意は平泳ぎかな蛙の子

柳絮とは丸きものなりふんはりと

札所への道を柳絮の集まりて

柳絮飛ぶふんはりとまたふんはりと

巣作りの燕飛び交ふ道の駅

遠く来て早も巣作りする燕

番かも二羽で巣作りする燕

燕らの巣作り競ひ合ふやうに

頬かすめ飛びたる燕大きかり 

泥付けて巣作り始む燕かな

捏ね回し泥が好きなる燕かな

散り始むしだれ桜を仰ぎ見る

青空にしだれ桜の吹雪かな

青空のど真ん中より飛花落花

いきなりの河鹿の声に迎へられ

川澄んで河鹿の声も澄み渡る

山吹のしだるる谷に河鹿鳴く

石楠花も二つ三つ四つ咲き始め

山里の石楠花の紅瑞々し

チューリップ園は米寿の生き甲斐と

花の里作ると米寿さわやかに

足元に散らばる瑠璃や犬ふぐり

紫の美しき地獄の釜の蓋

山の湯の木道行けば著莪の花

著莪の花存分に見て引き返す

山里に残花訪ねる我らかな

ふるさとの若葉のことに瑞々し

2026年3月

ショッピングモール今年も雛飾る

雛壇を寿ぐ吊るし飾りかな

雛壇を囲める吊るし飾りかな

雛壇に吊るし飾りの賑やかに

雛飾り吊るし飾りも飾られて

雛壇の左右に吊るし飾りかな

雛祭る吊るし飾りも飾られて

長城は霾なかにありにけり

黄砂降る北京の街を暗くして

黄砂降る贋アカシアの街路樹に

ワイパーの音の軋める黄砂かな

斜交ひに切つて次々挿木する

挿木して蜂須賀桜増やせしと

挿木して蜂須賀桜バチカンに

焼夷弾落ちたる庭に土筆摘む

土筆摘む四国三郎横に見て

ほどほどでいいよと云ひて土筆摘む

一面にあれば摘みたくなる土筆

鳰のゐて鴨のゐぬ川ひろびろと

鴨帰る予兆も無くて突然に

残るもの一つもをらず鴨帰る

雛飾り見て月食を見る一と日

山茱萸の花が屋敷の裏庭に

山茱萸の花の明るき武家屋敷

蜂須賀の殿の愛せし桜咲く

青空に咲き満つ蜂須賀桜かな

蜂須賀桜咲けば人来る次々に

蜂須賀の世をそのままに桜咲く

蜂須賀桜咲いて平和のありがたく

世の平和母樹の桜に祈りけり

蜂須賀の殿に見せたきこの桜

空襲に耐へし蜂須賀桜咲く

蜂須賀桜咲けばこんなに人の来る

花びらの紅濃き蜂須賀桜かな

武家屋敷客間に雛も飾られて

寄り添ふて幸せさうな内裏雛

江戸の世を今に蜂須賀桜咲く

殿も呼び蜂須賀桜見せたかり

トンネルの出来し蜂須賀桜かな

船からも手振り蜂須賀桜見る

お花見に熱きコーヒーありがたく

徳島は蜂須賀桜より花見

大きかり蜂須賀桜のトンネルは

まづ花のトンネル抜けてお茶席に

お花見はまづは蜂須賀桜より

バチカンに蜂須賀桜咲きしてふ

お花見に熱き甘酒コーヒーも

散り始むお花見もまたよろしかろ

川面にも赤き蜂須賀桜かな

青空の天辺よりの飛花落花

走り根に寄り合ってゐる飛花落花

遠目にもぱつと明るき黄水仙

ロンドンの古城の庭の黄水仙

2026年2月

艶の良き産直市の熟柿かな

産直の甘さ控へ目なる熟柿

出来立ての草餅ですと売られをり

出来立ての草餅らしく佳き香り

伊予柑も文旦もまた八朔も

皮剥きて春の果実の砂糖漬け

伊予柑のいよいよ甘き砂糖漬け

八朔は少し多めに砂糖入れ

産直の市にずらりと春苺

明るさの春の苺でありにけり

草餅も黍餅もまた手作りと

産直の市に草餅コーナーも

雛壇に迎へられたるロビーかな

雛壇の前で傘寿の友を待つ

おつとりと天辺にあり内裏雛

表情の豊かでありぬ仕丁雛

おきざり草今年も咲いて春近し

遠目にもおきざり草の明るさよ

開く花閉じる花ありおきざり草

夕べには眠りゐるかにおきざり草

満作の勝手気ままな捻じれやう

満作の先競ふかに咲きにけり

高々と咲く満作の遠目にも

金縷梅見てより御苑巡りたる

猫の恋叶えばしらつとして通る

猫の恋叶わぬ時はしょぼしょぼと

雨に濡れ恋に破れた猫帰る

春一は怖いと墓碑銘差して云ふ

春一は怖いと故老漁語る

春一は怖いと若き漁師さへ

春一は気引き締めてと伝へられ

どこもかも菠薐草に明け暮れて

どの家も菠薐草を作る里

早過ぎる菠薐草の育ちやう

休みなき菠薐草の出荷かな

あれほどの鱵の刺身これつぽち

これつぽちとなる鱵の刺身かな

透き通るほどの鱵の刺身かな

小鳴門の潮に乗り来るてふ鱵

鶯のとぎれとぎれに鳴くも佳し

鶯の声のいよいよ乗つて来る

正調をたつぷり聞かす鶯も

鶯の谷渡りなる名調子

去年咲きし牡丹の榾を焚きにけり

牡丹焚残れる灰の軽さかな

鎌倉も上野も佳かり寒牡丹

藁苞の童のやうな寒牡丹

藁苞に秘めた蕾や寒牡丹

藁苞のをみななるかな寒牡丹

藁苞に数多の蕾寒牡丹

藁苞を開ければぱつと寒牡丹

藁苞は別天地かな寒牡丹

金の蕊しつとりとして寒牡丹

藁苞に大きな花弁寒牡丹

下萌の大地にすくと立てる句碑

句碑の辺に早も咲き出で福寿草

句碑の辺に寄り添ふやうに福寿草

お互いに寄り添ひ咲ける福寿草

華やかに咲いて句碑守る淡紅梅

空蝉を付けて満開淡紅梅

椿咲く一輪なれど凛として

膨らめる椿の蕾そこここに

春を呼ぶ造り酒屋の催しに

春日差す造り酒屋の杉玉に

遠目にもミモザの花の鮮やかさ

鮮やかなミモザの花に迎へられ

お祝ひに春呼ぶ花の飾られて

祝典に春の花々飾られて

日脚伸ぶ子らと馴染の鮨屋へと

早春を祝ひ家族で旬の鮨

連休に帰省した子と鮨屋へと

九人の家族で春呼ぶ集ひかな

春のネタ並ぶ上鮨旨かりし

金婚の春と花束贈られて

人生の春と金婚祝ひくれ

春を呼ぶ大き花束嫁らより

金婚の春を卒寿の祝ひくれ

隣席も金婚の春祝ひくれ

卒寿なる人へ春呼ぶ花束を

春を呼ぶ花束囲み写真撮る

2026年1月

蘭の花飾り新年迎へけり

お正月にといただきし蘭の花

咲き満てる蘭に勢のありにけり

瑞々しき日々でありたし蘭の花

凛と立ちたる門松に迎へられ

門松の辺り清気のありにけり

年越しはうどんと決めて列に着く

冬空に一時間待ちうどん食ぶ

名物の水車の辺り冬日差す

石臼の飛石の庭冬日差す

飛石と水車に冬日やはらかく

冬晴れの屋島の空の明るさよ

三が日好きな雑煮で過ごしけり

丸餅も角餅もある雑煮かな

数の子と鰻茶漬けの四日かな

十二人家族揃ひて新年会

スープより新年会の始まりぬ

前菜もまた美しき新年会

健啖の揃ひて嬉し新年会

新年会好きなパスタも平らげて

メインには舌平目なる新年会

手作りはやはり旨しと吊し柿

子も孫も喜びくれし吊し柿

手作りの晩白柚とて送りくれ

食べ方も書きて送らる晩白柚

晩白柚砂糖漬けしてくれし嫁

咳止めにと晩白柚の砂糖漬

山茶花の花を眺めて店に入る

もう一度山茶花眺め店を出る

青空に赤の際立つ実南天

青空へ真直ぐに伸びて実南天

金柑の満艦飾に実をつけて

金柑の一樹大事に五十年

金柑の穫れたお礼の寒肥と

金柑のジャム今年また作ろうか

坪庭に赤のまぶしき実万両

葉の下に色づく赤や実万両

整然と並ぶ椿の蕾かな

葉隠れに椿の蕾凛と立ち

アセチレンランプ懐かし初戎

見知らざる人にも会釈初戎

駄菓子屋の賑ほふてゐる初戎

路地裏にあれど賑やか初戎

福笹を背に斜め差しせし人も

福笹の列が駅までホームまで

福笹の列がシャッター通り行く

買初に日本橋まで行きし日も

買初に行くデパートも無くなりし

買初に行きたきほどのものも無し

薔薇園の寒肥臭ひ無かりけり

寒肥が大事と庭師来てくるる

寒肥をこんな木にまでする庭師

よく咲きし百日紅にも寒肥を

寒肥し窒素燐酸加里語る

寒肥を語る庭師の博識さ

寒肥は大事と庭師熱弁に

寒肥は後が楽しみてふ庭師

庭師来て確と寒肥され帰る

朝の間に消毒も寒肥もされ

室咲の蘭に勢のありにけり

室咲の蘭にほのかな香りかな

室咲の梅の大鉢土佐の宿

皸の昭和も遠くなりにけり

皸の死語となりゆく令和の世

皸の昭和の母は強かった

軟膏を注せど皸疼く夜

大寒に日本列島大寒波