蘭の花飾り新年迎へけり
お正月にといただきし蘭の花
咲き満てる蘭に勢のありにけり
瑞々しき日々でありたし蘭の花
凛と立ちたる門松に迎へられ
門松の辺り清気のありにけり
年越しはうどんと決めて列に着く
冬空に一時間待ちうどん食ぶ
名物の水車の辺り冬日差す
石臼の飛石の庭冬日差す
飛石と水車に冬日やはらかく
冬晴れの屋島の空の明るさよ
三が日好きな雑煮で過ごしけり
丸餅も角餅もある雑煮かな
数の子と鰻茶漬けの四日かな
十二人家族揃ひて新年会
スープより新年会の始まりぬ
前菜もまた美しき新年会
健啖の揃ひて嬉し新年会
新年会好きなパスタも平らげて
メインには舌平目なる新年会
手作りはやはり旨しと吊し柿
子も孫も喜びくれし吊し柿
手作りの晩白柚とて送りくれ
食べ方も書きて送らる晩白柚
晩白柚砂糖漬けしてくれし嫁
咳止めにと晩白柚の砂糖漬
山茶花の花を眺めて店に入る
もう一度山茶花眺め店を出る
青空に赤の際立つ実南天
青空へ真直ぐに伸びて実南天
金柑の満艦飾に実をつけて
金柑の一樹大事に五十年
金柑の穫れたお礼の寒肥と
金柑のジャム今年また作ろうか
坪庭に赤のまぶしき実万両
葉の下に色づく赤や実万両
整然と並ぶ椿の蕾かな
葉隠れに椿の蕾凛と立ち
アセチレンランプ懐かし初戎
見知らざる人にも会釈初戎
駄菓子屋の賑ほふてゐる初戎
路地裏にあれど賑やか初戎
福笹を背に斜め差しせし人も
福笹の列が駅までホームまで
福笹の列がシャッター通り行く
買初に日本橋まで行きし日も
買初に行くデパートも無くなりし
買初に行きたきほどのものも無し
薔薇園の寒肥臭ひ無かりけり
寒肥が大事と庭師来てくるる
寒肥をこんな木にまでする庭師
よく咲きし百日紅にも寒肥を
寒肥し窒素燐酸加里語る
寒肥を語る庭師の博識さ
寒肥は大事と庭師熱弁に
寒肥は後が楽しみてふ庭師
庭師来て確と寒肥され帰る
朝の間に消毒も寒肥もされ
室咲の蘭に勢のありにけり
室咲の蘭にほのかな香りかな
室咲の梅の大鉢土佐の宿
皸の昭和も遠くなりにけり
皸の死語となりゆく令和の世
皸の昭和の母は強かった
軟膏を注せど皸疼く夜
大寒に日本列島大寒波